あたらしき年を迎えてふじのねの
高きすがたを仰ぎみるかな
明治天皇
この秋もところどころにきくの花
うゑてたのしむ九重のには
明治天皇
いにしへの姿のままにあらためぬ
神のやしろそたふとかりける
明治天皇
たらちねのおやの心はたもみな手ふるままにおもひしるらむ
明治天皇
日にそひてけしきやはらぐ春の風
よもの草木にいよよふかせむ
明治天皇
新しき都市を迎えて富士の峰の高き姿を扇ぎ見るかな
明治天皇
かぎりなき世に残さむと国のため
たふれし人の名をぞとどむる
明治天皇
山の端をはなれもあへず久方の
空にみちぬる月のかげかな 明治天皇
白波のよせてはかへす長浜のまさごこちとほく照らす月かな
まさかりの梅の林にさす月の
かけさへかをる春の夕ぐれ
四方の海みなはらからと思ふ世に
など波風のたちさわぐらむ 明治天皇
四方の海にある国々はみな兄弟だとおもっているこの世の中で
あるのにどうして波風が立ち騒ぐのであろうか
この秋もところどころに菊の花
うえてたのしむ九重のには
明治天皇
