くせはなかなか直らない。
人のくせを見なくても、自分でわかっている、そんなくせがある。
心の中で、亡くした恋人に話しかける。
ねぇ。とか、ほら。とか。
人は二度死ぬ、と言う人がいる。
命が尽きたとき、と、誰からも思い出されなくなったとき、の二度。
それならば、彼はまだ死んでいない。
だけど、もう会えない。
もう触れあえないし、おしゃべりもできない。
そう頭の中でわかっていても、くせだから。
このくせは直る日がくるのでしょうか。
それとも、直さなきゃいけないのかな。
そんなことを考えながら、失くして亡くした人を想って涙を流した夜。