お別れの日を七夕に決めたのはどうしてだったかな?
「本当に会えなくなる前に、お別れしよう」
2人でそう決めて、
お互い初めてできた恋人と、七夕の日を最後に、会うのをやめた。
今でも忘れられないあの日。
私はまだ高校2年生だった。
毎日、ほんの少しの時間でも一緒に過ごした。
中学、高校と電車通学だった私を駅まで迎えに来てくれて、
家までの道を遠回りして一緒に歩いた。
毎日、学校であった出来事や将来のことをたくさん話した。
隣にいるのが当たり前で、
2人で歩く道は、そのまま未来につながってると思っていた。
あなたを記憶の中にとどめながら、
大人になって、
たくさんの出会いと別れ、たくさんの恋を経験する私。
頭ではわかっていても、実感がなくて、
今でもあなたと偶然どこかで会えるんじゃないかなんて考えてる。
そんなこと、あるわけないのにね。
織姫と彦星が、1年に1度会える日。
1年に1度、確実に会える日があるなら、
離れていても2人の心は移ろわないのかな?
それとも、培った強い絆があるから平気なの?
何度恋をしても、どんなに人を好きになっても、
私の中にある七夕の日の思い出はたった1つだけ。
もう二度と会うことのできない私たちと違って、
織姫と彦星は明日も愛を語らうんだね。
私、あなたとの出会いも一緒にいた時間も、そしてお別れも、
全部全部忘れてないよ。胸の中にしまってあるよ。
それでも・・・
ほかの人を好きになってしまうのだけど、
許してくれる?
見守ってくれる?
7月7日には必ずあなたを思い出すから・・・。