ひとり井戸端会議

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民主大敗の分析と

2010年07月14日 | 国政事情考察
民主敗因「鳩山・小沢氏にも」蓮舫刷新相が指摘(読売新聞) - goo ニュース

 菅首相は13日午前の閣議後の閣僚懇談会で、参院選で与党が過半数割れしたことについて、「自らのやや唐突感を与えてしまった(消費税を巡る)発言もあって、重い選挙をさせてしまった」と述べ、自らの責任を改めて認めた。
 その上で、「メディアを中心に責任論が全くないとは言わないが、内閣一致して求心力を高めて、この国の現在置かれている課題を解決し、改革を進めていく決意なので協力をお願いしたい」として、結束して政権運営にあたるよう求めた。
 ただ、閣僚からは枝野幹事長ら党執行部の責任を問う声も上がった。北沢防衛相は閣議後の記者会見で「これだけ負けると、党の方でなにがしかのけじめは必要だ」と述べた。
 一方で、首相を擁護する声も相次いだ。
 蓮舫行政刷新相は記者会見で、「(敗因は)消費税だけが大きな原因だったかというとそうではない。これまでの民主党政権が期待に必ずしも応えていないどころか、逆に『政治とカネ』や普天間(飛行場移設問題)で失望に近い思いを抱かせてしまったことが前提としてあった」と述べた。



 自分なりに、今回の選挙の総括を行いたい。まずは民主の敗因分析からはじめたい。

 今回民主が大敗したことは、結果としてはよかったと思う。というのは、民主の議会運営はあまりにも稚拙かつ乱暴であったからだ。

 こうしたことを言うと必ず、「自民も強行採決をしたりしてきたではないか」という批判をする者がいる。しかしながら、強行採決とはいっても、民主と自民のそれとでは大きな差がある。

 自民の強行採決というのは、民主が総選挙をさせるために恣意的に審議を欠席したり拒否したりしたので、これでは一向に埒があかないとして、強行採決に踏み切ったというものだ。

 対して民主のは、審議もほとんどすることなく(1、2時間程度の審議で採決に踏み切ったものもあった)、野党側ときちんと意見を交換することなく、一方的に審議を終了し、数の力で押し切るというものだ。したがって、同じ強行採決でもその事情は全く異なる。


 民主の議会運営というのは、ナチスを彷彿とさせる国家社会主義的なものを感じざるにはいられない。村田晃嗣教授の言葉を借りるならば、民主は権力を今まで握ったことがなかったのに、大勝したために一気に巨大な権力を握ることになったから権力の扱い方を知らない「成金」ならぬ「成権」なのである。

 だから、民主の議会運営を見ていると、権力者にとって必須の「謙虚さ」と「慎重さ」がまるで感じられない。「数こそは正義なり」と言わんばかりに、民意を笠に取り、暴れているだけだ。

 したがって私は、「もっと長い目で見守ってやろう」などと呑気に構えていたら、この政党は絶対に勘違いをし、日本をとんでもない方向に持って行ってしまうと思っている。なので今回民主が大敗したのは、この政党に「勘違い」をさせないためにも、非常に良かった。



 民主の敗因を菅氏の「消費税発言」に見出そうとする意見にも、私は非常に懐疑的である。

 もし本当に消費税発言が今回の民主大敗の主たる原因ならば、どうして増税路線の本家である自民が勝ったのか。自民の増税はよくて民主の増税はダメなどという世論があるはずもない。増税路線に本当にノーならば、増税に反対のみんなの党の議席がもっと伸びていい。

 国民の多くは、私も含め増税は将来的には仕方のないことだと思っているはずだ。しかし、民主は去年の衆院選の前、「無駄をなくすことにより増税せずにも財源は捻出できる」と言っていた。

 にもかかわらず、たかが1年弱で「やっぱり増税させてください」では、国民が反発するのも当然だ。要するに、民主は増税までに経るべきの、当然のプロセスを経ずに、増税ありきのようなポーズを取ったのがまずかった。

 そこで思うに、確かに菅氏の発言は選挙結果に影響を及ぼしたが、それはあくまでも小さなファクターに過ぎず、実のところは、これまでの民主の危なっかしい国のかじ取りに、国民がブレーキをかけたと解釈するのが妥当ではないのか。



 また、「国民は民主を見放すのが早すぎる」という批判も的外れだ。なぜならば、獲得議席数で比較すれば、民主は自民よりも比例で440万票以上も獲得しているし、20~70代の有権者全てで、自民よりも民主のほうが得票率が高かったのだ。

 にもかかわらず民主が大敗したのは、いわゆる「一票の格差」も大きいだろう。このことは、都心部ではたとえば千葉法相が60数万票を獲得したにもかかわらず落選したのに対し、同じ民主の輿石氏は187000票で当選している。自民の「躍進」の背景には、都市部では依然として民主が堅調なのに対し、地方での、とりわけ1人区での圧勝が証明するように、この格差があり、これが自民の勝利に「貢献」したことは明らかだろう。

 よって、国民が民主を見放したという批判は当てはまらない。そもそも誰だって、50年以上続いた自民党政権からようやく政権交代が起こったわけで、それにもかかわらず一朝一夕で具体的な成果が上がるとは思ってはいないだろう。せっかちなのは、こうした批判をする民主支持者であると言える(笑)。



 最後に。確かに民主が勝てば政治は安定しただろう。しかし、そこには熟議の民主主義は存在せず、ひたすらに数だけが正義と吠えて、強権的に議会運営をする民主の姿しか存在しないだろう。したがって私は、長い目で見れば今回の民主大敗は日本の民主主義にとってプラスになったと思っている。

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