ひとり井戸端会議

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非嫡出子法定相続分規定は憲法違反

2007年11月19日 | 民事法関係
 民法900条4号但書には次のような規定がある。すなわち、「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし」という件である。ちなみに、嫡出子とは簡単に言えば、妻が婚姻中に懐胎した、夫との間に生まれた子のことである。非嫡出子とは、父と母との間に婚姻関係のないときに生まれた子である。

 民法900条4号は明確に憲法14条の「法の下の平等」に反する規定であるので、早急に見直す必要があると思われる。

 では、どこがどう具体的に憲法に反しているのかを考えてみたい。そこで、憲法14条の「法の下の平等」において禁止している差別待遇とは、「一時的なものではなく、自らの手ではどうしようもない地位」によって不当に差別待遇を受けることと定義されている。これを上記の900条4号に当て嵌めて考えてみればどうか。

 神ではない限り、その人自身の出生は自分の力で後天的に変えようとしても、それは不可能であって、こればかりはどうしようもないことである。この、「自らの手ではどうしようもならない地位」によって、相続分が差別されることは、憲法の要請している平等概念に反する。

 とはいうものの、最高裁では、民法900条4号但書を立法理由に合理的根拠ありとして、これを合憲としている。しかしながら、私の900条4号但書削除論は、非嫡出子という民法上の規定そのものが憲法に反すると言うわけではない。
 
 ただ、先天的に与えられた境遇によって婚姻関係にあったときに生まれた子と、その相続分が半分も違うというのは、あまりにも差別的な規定であって、900条4号但書の部分だけ削除すればいい、と主張するにすぎない。

 よって、最高裁決定平成7年7月5日において、「出生について何の責任も負わない非嫡出子をそのことを理由に法律上差別することは、婚姻の尊重・保護という立法目的の枠を超えるものであ」るとした反対意見に同意するものである。

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