ぼけねここ。

　ゆうべ、初めてスズムシが鳴いた。

　ああ、まるでタルコフスキーの映画を観ているようだわ。

　シャンシャンシャンとトナカイか馬かが、
　橇だか馬車だかを曳いて、
　シベリアの大地をかけて行くような音色だわ・・。
　すてき・・
　ええもんやなあ・・。

　夢うつつで朝がやってきた・・。

　ロールカーテンをあけてベランダに出ると、
　「あれ、ココちゃん、溝に流れてる
　エアコンの水なんか飲みなや！！」

　・・・とちゃうわ。
　何か観てるで、このひと・・。

　ひえ～～、ムシのケースひっくり返して
　そこらに、スズムシの無残な足や遺体が・・。

　何がタルコフスキーや、このボケ猫！！


　なんとか無事だったムシちゃんが
　今夜も鳴いています・・。
　シャンシャンシャン・・・。



　　　　　　　　　　　　　　　ボケネココ。