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マイクのヘタうま写真館

馬を追いかけ、カメラ片手に東奔西走しているマイクのブログ

カールじいさんの空飛ぶ家

2009-12-23 23:51:43 | 映画レビュー

                --いつも通りネタばれあり--

連チャンでアニメですが、人がバタバタ死ぬ「戦場でワルツを」と違い、そこは家族で
安心して見られるディズニー=ピクサーだから・・・と思いきや今回は人が死にます!!

同じように落下しても、犬たちは川に落ちて助かるシーンがあるというのに
元は国民的英雄の冒険家にして、周りの無知、無理解のために徐々に偏執狂に
なってしまった老人を、あんなふうに死なせてしまうのは意外でした。

映画そのものは、ばあさんに死別するまでの冒頭のシークエンスが切なくて若干涙腺を
刺激するものの、目的地への移動があっさりすぎて(雷雨にもまれて昏倒したじいさんが
目覚めたら、もう大陸1つ分飛んでいて目的地は目の前)ちょっと拍子抜けします。

その後は空飛ぶ家じゃなくて「カールじいさんと浮かびながら引きずられる家」になります。
さらにしゃべる犬の大群が出てきたりと、やや荒唐無稽な話になっていきますが、新しい
仲間を救うため大切な想い出を捨てて家を再浮上させるシーンや、ついに家そのものを
失った時には、すでに守るべき新たな「家族」ができているので悲しみを引きずらないあたり
そして、じいさんとの生活こそ楽しい冒険の日々だったとばあさんが思っていたことが
明らかになるシーンなど、ちょこちょこいい場面があります。

ピクサー史上最高傑作じゃないし、2番目でも3番目でもないとは思うけど
全体としてそんなに悪い映画ではありません。

併映の短編「晴れ ときどき くもり」も良かったですよ。


戦場でワルツを

2009-12-22 12:34:49 | 映画レビュー

陰影の効いた劇画タッチの人物、幻想的な風景、あくまでメカニカルな兵器・・・
なんとも不思議な組み合わせが独創的な絵となって迫ってくるアニメーション「戦場でワルツを」

消えた記憶を取り戻す旅を続けるうちに、徐々に思い出される悲惨な戦争の姿。
特に、精神を開放させるため記憶を消去するにいたったほど強烈なトラウマの正体は
映画のラストで明らかになる。

・・・中東情勢に関しては本当に疎い。この映画の舞台であるレバノン戦争について
恥ずかしながらまったく知識が無かったのですが、ここで描かれる凄惨で不条理な殺戮は
全ての戦争や紛争で行われているし、市街戦では多くの老若男女が犠牲になっている。

戦争自体絶対反対だが、長年の怨嗟は話し合いでは解決しないというなら
せめて非戦闘員を巻き込まないでやってくれ!と言いたい。

骸となって横たわる少女に対し「聖戦に犠牲者は付き物。」と言いはなてる
人は誰もいないはずだから。

・・・で、なかなかガツンとくる反戦映画だったのですが、エンディングの処理は
アニメとしてはどうなのよ?と思いますね。そこが少し減点かなあ。


キャピタリズム~マネーは踊る~

2009-12-18 21:38:40 | 映画レビュー
いやはや、もはやドキュメンタリーというより主演マイケル・ムーアによる
メッセージ映画ですねえ。たぶんに恣意的ではあったものの、銃社会やブッシュ政権、
保健医療制度に噛みつく彼の姿勢には、どこかシニカルで自虐的なユーモアが
感じられ、かなり好きだったですが・・・。

今作では資本主義とは何か?を問うというより資本主義=悪という前提で話が進められ
サブプライムローンの破綻で手放される家と、メガバンクや投資ファンドの豪華なビルが
対比的に描かれて、真面目に働く人が路頭に迷うのが資本主義ですよと
言わんばかりですが・・・そうかなあ?

確かに複雑な金融商品を次々と「発明」し、錬金術のように大金を稼いだあげく
逃げ切った感のある「資本家」たちは許し難く、非難されて当然と思うが、資本主義
そのものを全否定されてもなあ。

労働者の生活水準が低くなりすぎるのはどうかと思うし、富の不平等が行き過ぎるのも
大問題だけど、少数の資本家が良い生活をし、多数の労働者がそれを支える構図が
あるから、労働階級から抜け出す競争が起こりそのエネルギーが社会の進歩を
生むのも事実じゃないのかな。

イングロリアス・バスターズ

2009-12-08 22:44:51 | 映画レビュー
タラちゃん、1作ごとに堕ちていくなあ。
映画へのオマージュの捧げ方としても明らかに間違ってると思う。

多国語が乱れ飛び、「言語」がさまざまな緊張を呼ぶ展開が新しいと言えば新しいけど
戦争映画という新ジャンルに取り組んだ割にはいつものタランティーノムービーで
新鮮さに欠けるし、他愛ないおしゃべりも今回さすがに冗長すぎる。

芝居は相対的に良かったけどブラピはなんかマーロン・ブランドみたいだったね。

どうもいい口コミは起きてないみたいで、観客は私を含めて4人でした。

#私なりのヒネリでイタリア版のポスター採用(笑)




沈まぬ太陽

2009-12-02 23:16:01 | 映画レビュー
インターミッション付きの映画を観たのはリバイバルの「2001年宇宙の旅」以来かな?
でも、緊張感あふれた作品なので長さは全然感じなかったですよ。個人的には一気に
上映してもらっても全然構わなかったですね。

山崎豊子の原作は全5巻の大著、発売後すぐに読みましたが最期までカタルシスは
訪れず憤りまくって終わった記憶があります。さあ、映画化でどうなったか・・・

すぐに顔と名前が一致する名のある役者だけで40人以上、大変なオールスターキャスト
ですが、なんと言っても主役の渡辺謙がいい。報復人事で辛酸を舐めながらなお妥協せず
信念を貫く。むろん悩みもある。時に弱音も吐く。けしてスーパーマンじゃないヒーローを
生身の人間として演じきっています。

ただ第2の主役と言ってもいいジャンボ機がまったく頂けません。そりゃJALの協力は
得られないだろうけど、今どきあんなしょぼいCGとは興ざめ。セコのジャンボ買ってきて
塗り替えて飛ばすくらいのことはして欲しかった。事故のシーンの緊迫感も今いち。

他に気になった点として、恩地の被害者対策をもうちょっと丁寧に描いて欲しかった。
じゃないと遺族がなぜ恩地を信頼したのかが分からない。悲しみに暮れる家族の前で
ただ言葉を失くしてうつむいてるだけだったような・・・。

あと新会長の下で旧労組メンバーが復権していく中、なぜ支店でくすぶってる八木を
救ってやらなかったのか謎、そのことで恩地が後悔するシーンもないし。まあ、あそこで
救ってたらストーリーは続かないんだけど。

いろいろ貶しましたが全体としては真面目に作られたいい映画でした。
「クライマーズハイ」に比べて客層が高齢だったのが残念、若い企業人にも
観てもらいたいですね。

母なる証明

2009-11-26 14:27:24 | 映画レビュー

ポン・ジュノも新作が来るたび観に行きたい監督の一人です。
昨日ほぼ8割の入りの京都シネマで「母なる証明」を観てきました。

障害を持つ子供を産んだ責任を感じるのか、私が知ってる人でも自閉症の息子さんを
溺愛しすぎて子離れできないお母さんがいるけど、事件に巻き込まれる前から、この
お母さんの愛情は狂気を孕んでいて、正直感情移入できない。だから息子の疑惑を
晴らすため駆けずり回る彼女に「頑張れ!」の気持ちが湧いてこなかった。

わりと分かりやすい伏線が張ってあるので「真犯人」は途中でわかるんだけど
じゃあ物語をどう落とすかという興味で最後までぐいぐい見せる力はある。でも
あのオチはどうなんだ?と言われると私はまったく納得できない。平均的日本人には
共感を得られない結末なんじゃないでしょうか?

緻密に練られた脚本なので1シーン1シーンに意味があり、非常に映画的な映画に
なってるんだけど、その分息を継げる暇がないというか重たい作品になっています。
あと、ストーリーを成立させるためにしょうがなかったんだろうけど、いくら殺人事件が
めったに起きない田舎とはいえ、警察があそこまで杜撰か?っていう疑問は残りました。

お母さん役の人の演技は、鬼気迫るものがありおおいに目立つけど
息子の友人役の人も、清濁併せ持つしたたかさが上手かったですね。


マイケル・ジャクソン THIS IS IT

2009-11-18 20:54:19 | 映画レビュー
家内が観に行こうと誘ってきたのですが断固拒否。理由は2つ。

第1に完璧主義者のマイコーがリハーサルを公開したいとは思っていないと
確信するから。デビューしたての新人ならともかく、彼ほどのプロフェッショナルが
リハから全力でやるとは思えないし、客がいてこそのライブ、リハは所詮リハ。
「たとえばやなあ、ディープインパクトは装鞍所で故障したから今日のレースには
出ません、かわりにターフビジョンで調教ビデオ流します、有料で。」というのと同じ。
と言ったら「あなたのたとえは分らない。」と家内に言われましたw

第2に死亡からたった4か月でワールドプレミアというのはあまりにも早過ぎる。
どう考えてもやっつけ仕事だろうし、それほど公開を急いだのは急死のショックが
癒えぬうちに上映しないと客入りが落ちる。すなわちマイケルの死を金儲けに
利用しようとする魂胆が見え隠れするから。

・・・で、結局家内は息子と一緒に見に行ったんだけど、これが大絶賛なのですよ。
ほぼK-POPしかかかって無かった我が家がいまやMJオンリーになるくらい(笑)

でまあ、半ば粗捜しのつもりで見に行ったんですがね、はははは・・・
めっちゃ良かったですわ。

バックダンサー、コーラス、ミュージシャン・・・参加する予定だったメンバーたち。
すべてのスタッフのために1回、たった1公演でいいからやらせてあげたかったなあ。

終盤にマイケルのスピーチがあるんだけど、エンターテイナーの頂点に立つ
彼の言葉だからこそ心に響きます。音痴を売りにしてる感のある某グループの
リーダーにも響いたかしら?

私の中のあなた

2009-11-18 20:30:09 | 映画レビュー

いわゆる難病ものなんだけど、これはなかなか斬新な家族愛の映画。
泣ける映画として盛んに宣伝されてましたけど、泣けません。いい意味で。

私に言わせればこれは観客を泣かせないための苦心の跡が随所に見られる映画です。

泣くっていうのは相当な悲しみの爆発なので
泣いてしまうことで時として感情がリセットされちゃうじゃないですか。

さめざめと泣いて「ああ、いい映画見た、さあご飯食べて帰ろ。」じゃ困る。
鑑賞後もこの映画のテーマについてしっかり考えて欲しい。だから泣かさない。
そんな決意のもとに計算された演出だと私は思ったのですがたぶんはずれです。

だってそこかしこからすすり泣く声が聞こえてましたから。


空気人形

2009-11-18 20:06:16 | 映画レビュー
映画のレビューをさぼってました。今日は一挙3本立てでどうぞ・
もう公開終了した作品もあるかな?

是枝監督の新作「空気人形」は大人のファンタジー。
人形が生命と感情を持つ話は古今東西一杯あるけど、本作の主役は
ずばり性欲処理の代用品「空気人形」こと昔で言うところのダッチワイフです。
と言うことでなかなか艶めかしいシーンもあったりします。

股間から空気人形の空気人形たる部分を外して洗うシーンなど
ペーソスを感じるべきなのか、グロいと嫌悪すべきか、はたまた滑稽と笑うべきか
いろんな感情が渦巻く映画ではあります。

主役の空気人形にぺ・ドゥナを起用したのは大正解。外国人である彼女が
演じることで、人形ならではの無機質感がよく出ていました。

ただ、是枝監督に対しては期待値のバーが相当高い所に設定されているので
相対的には少々期待はずれ。意外と映画の文法を踏み出して無いというか・・・。

ヴィヨンの妻 -桜桃とタンポポ-

2009-10-20 23:24:23 | 映画レビュー

超破滅型の主人公にまったく共感できないんだけど、松たか子演じる奥さんの
健気さにほだされますね、あんたの大らか過ぎるその態度が、一層旦那をダメに
してるんじゃないか?という気もしますが・・・。

いずれにしても、これは松たか子を観に行く映画でしょう。
今まであまり思ったことがなかったけど、大人のかわいらしさがありますね。
なかなか魅力的でした。