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読書と映画とガーデニング

読書&映画&ガーデニング&落語&野球などなど、毎日アクティブに楽しく暮らしたいですね!

杉浦日向子「うつくしく、やさしく、おろかなりー私の惚れた「江戸」」

2011年04月29日 | さ行の作家
  ちくま文庫2009年11月 第1刷発行解説・松田哲夫225頁 あっけらかんとお目出度く生きようとしていた江戸の人たち彼らの暮らしや紡ぎ出した文化にとことん惚れこんだ著者が思いの丈を綴った最後のラブレター 大きく以下の3つの章に分けられています壱・江戸の粋と遊び弐・江戸のくらし参・江戸の食事情 以下は、特に気になった部分です 江戸の頃には「時間がない」という考え方はなかった時 . . . 本文を読む

佐川光晴「おれのおばさん」

2011年02月06日 | さ行の作家
  集英社2010年6月 第1刷発行2010年9月 第2刷発行187頁 「家族芝居」の数年後東京の有名私立中学に通うおれおれの生活は、父親が会社のお金の使い込みで逮捕されたことで一変する一人息子のおれは母の姉が経営する北海道の養護施設に預けられることになる母親の姉というのが、おれのおばさん「家族芝居」で老人介護施設を運営していた義男の元妻です どちらかといえば裕福で勉強も出来る人よ . . . 本文を読む

青来有一「眼球の毛」

2010年12月22日 | さ行の作家
  講談社2003年12月 第1刷発行309頁 西暦2040年近未来都市東京で妻と双子の娘と暮らす大学教授の木邑、40歳土曜の午後を研究室の助手であり、恩師の娘である、愛人、安楽聖子と過ごす時間に無上の喜びを見い出している但し、家族と別れる気持ちは毛頭無い しかし、最近は自分の立場を不安定に追いやるような出来事が続いている研究を続けてきた素粒子論に新しい理論が登場し完全に情熱を失っ . . . 本文を読む

島田雅彦「優しいサヨクのための嬉遊曲」

2010年12月09日 | さ行の作家
新潮文庫2001年8月 発行解説・北島敬三187頁 島田さんのデビュー作1983年8月 福武書店より刊行この年上半期、この作品で芥川賞候補にあがるも受賞出来ずそれ以来芥川賞に6回も落選しているにもかかわらず2010年10月、芥川賞の選考委員に加わったそうです このところ芥川賞、直木賞とも「?」だったのですが、島田さんがどのような評価をされるのかという点で再び注目したいと思います 村上春樹はア . . . 本文を読む

佐川光晴「家族芝居」

2010年11月25日 | さ行の作家
文藝春秋2005年2月 第1刷230頁 「おれのおばさん」の前編ということでこちらを先に読んでみました 医学部希望のアキラ北海道大学に合格したものの、東京へ行け!父親の強い勧めで東京の大学を目指すことになる物語の中心は東京で暮らす年の離れた従兄、善男が経営するグループホーム「八方園」に住まわせてもらいながら、従兄の手伝いと勉強を続けるアキラの視線で描いた笑いあり涙ありの日常です バツイチ、元 . . . 本文を読む

志賀直哉「小僧の神様・城の崎にて」

2010年10月21日 | さ行の作家
新潮文庫1968年7月 発行2005年4月 67刷改版2005年6月 68刷解説・阿川弘之、高田瑞穂301頁 短編集です気に入ったのは「城の崎にて」「好人物の夫婦」「赤西蠣太」「小僧の神様」「真鶴」 日常の些細な、なんでもない出来事や、自然、人間心理を微細に渡って簡潔で精緻な美しい言葉で描いています特に「城の崎にて」情景を頭で描きながらでないと読めないので随分時間がかかりました 後半に収録さ . . . 本文を読む

須賀敦子「ユルスナールの靴」

2010年10月07日 | さ行の作家
河出文庫1998年10月 初版発行2010年3月 10刷発行解説・多田智満子253頁   フランス人作家ユルスナールの作品や生い立ちに須賀さん自身の思いを重ねたものとても魅力的な文章です堀江敏幸さんや小川洋子さんに近しいものを感じます 冒頭文きっちり足に合った靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだそう心のどこかで思いつづけ、完璧な靴に出会わなかった不幸をかこちながら、私 . . . 本文を読む

酒井順子「たのしい・わるくち」

2010年10月05日 | さ行の作家
文春文庫1999年8月 第1刷2009年4月 第12刷246頁 美人のわるくちやり手のわるくち大人のわるくち 大きく上の3つに分けて「わるくち」について具体例を挙げ、著者自身の性格分析と共に楽しく読ませてくれます 女性が多い環境にいる人など特に思い当たる事ばかりじゃないかしら 悪口の分析をしてみれば、他人の悪口とはすなわち、ひがみ・やっかみの裏返しであったり、自分の位置を確保するための手段 . . . 本文を読む

小路幸也「カレンダーボーイ」

2010年09月10日 | さ行の作家
ノスタルジックタイムトラベル小説2006年東京で暮らす48歳の安斎と三都小学校時代からの友人である二人がある日目が覚めたら1968年の札幌にいたもちろん小学校5年生の少年として過去と現代を行き来する二人はクラスのアイドル里美ちゃんの一家心中を未然に防ぐことができるのか過去を変えれば、現代が歪む何かを得れば、何かを失ううまく取り込んでいますが纏まりすぎ、分かりやすすぎの感あり話を纏める為に登場させた . . . 本文を読む

佐伯一麦「遠き山に日は落ちて」「読むクラシック」

2010年09月08日 | さ行の作家
毎晩午後9時になると町道の電柱の所々に設置されたスピーカーから流される ドヴォルザーク「新世界から・第二楽章・家路」 中学校のとき、下校の時刻が来たことを知らせるのがそれでした 部活が終わっても友達とお喋りしてて、先生に『早く帰れよ~』と言われ薄暗くなった道を家路についたことを思い出します いつもの佐伯さんらしい作品 事件らしい事件は起きないけれど、しみじみとしたいい小説です バツイチの小 . . . 本文を読む

佐藤亜紀「ミノタウロス」

2010年09月07日 | さ行の作家
毎回同じこと書きますが 佐藤亜紀さんって 女性? 日本人? ロシア人作家の書いた作品を邦訳したんじゃなくて? ミノタウロス ギリシャ神話に出てくる牛頭人身の怪物 舞台は20世紀初頭、内戦が続くウクライナ地方 主人公は成上がり者の地主の次男 戦争と革命の中 全てを失い盗みと殺戮を繰り返す悪党として生きる 戦争のおぞましさ 人心に巣食う獣心 ロシア人の名前や地名はなかなか覚わり . . . 本文を読む

島田荘司「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」

2010年09月05日 | さ行の作家
英国に留学中の夏目漱石は夜毎亡霊の声に悩まされ思い余ってシャーロック・ホームズの許を訪ねた そして、ホームズが抱えていた難事件に東洋の文字か関係あるらしいことから、漱石も事件の解決に一役買うことになる ミステリーは勿論のこと、漱石から見たホームズとワトソン、倫敦市民の生活、ワトソンから見た漱石 文句なしに面白く楽しめます 『つね61』 解けなかったなぁ~ 総ルビ版なので小学生、中学生でも充 . . . 本文を読む

沢村凜「あやまち」

2010年08月18日 | さ行の作家
プロローグでこのお話が成就しなかった恋愛小説だということがわかります 一体どんなストーリーなのでしょう 美人でもなく、特技もなく、恋人もなく、誰にでもできそうな仕事をこなして、ぎりぎりの生活費を稼いでいる30代間近の一人暮らしの女性・のぞみ 貯金もたいしてなく、誰の役にも立たず、まるで暮らすために暮らしているような毎日 でも、新聞やテレビのニュースで、世の中には自分よりずっとつまらない人間が . . . 本文を読む

佐藤亜紀「バルタザールの遍歴」

2010年08月11日 | さ行の作家
一つの肉体に共棲する双子、メルヒオールとバルタザール オーストリアの公爵の跡取り息子であった彼らは、ナチス=ドイツが台頭してくる中、放蕩と遍歴を重ねる 文体は一人称でありながら、ふたりの人物が、ときに一人となり、ときに二人となって語るという個性的なもの 通常の二重人格者とは違い、一人が身体から抜け出て(鏡に映らない・影が無い・一種の心霊的栄養失調を除けば普通の人間に見える)行動する、他者の . . . 本文を読む

佐藤正午「Y」

2010年08月02日 | さ行の作家
あの時,あの人と別れなければ,今,自分の人生は違ったはず… ふと思ったりしませんか? 「Y」 アルファベットのYのように人生は右と左に分かれていった Yとは即ち人生の分岐点 人生は瞬間瞬間に枝分かれし,そうして枝分かれした分だけの異世界がこの世には存在する それを観測する人間=北川 北川自らが量子論的タイムマシン化してしまい1998年から1980年に舞い戻り二度目の人生を送る 一 . . . 本文を読む