集英社
2010年6月 第1刷発行
2010年9月 第2刷発行
187頁
「家族芝居」の数年後
東京の有名私立中学に通うおれ
おれの生活は、父親が会社のお金の使い込みで逮捕されたことで一変する
一人息子のおれは母の姉が経営する北海道の養護施設に預けられることになる
母親の姉というのが、おれのおばさん
「家族芝居」で老人介護施設を運営していた義男の元妻です
どちらかといえば裕福で勉強も出来る
人より上にいた中学生が本人の意思とは全く関係なく、一転、施設の子、犯罪者の子、として見られる立場に置かれる
辛くて泣きたくなる状況の中でも、おれは強い気持ちで人生に負けまいと頑張ります
おれを含めた施設の子供たちを身体を張って応援してくれ見守っていてくれるおれのおばさん
肝っ玉母さんを越えています
優しさより、逞しさ、大きさ、強さが前面に出ていますが、これが良いのです
おれをこんな立場に追いやった元凶の父親
おばさんに比べれば、ぬるま湯に浸かっているようだと見下していた母親
両親に対する見方もおれが精神的に成長していくなかで徐々に変化していきます
あまり描かれていませんがおれの母親も随分頑張っています
(おばさんの妹だけあって、それなりの素養はあったようです)
おれもおばさんのように全力で生きたいと思った
自分がこれだと思う仕事に全力で取り組んで、その結果どれほどみじめな目にあおうともおばさんに胸を張れるだけの生き方をしたい
頑張る大人を見て育つ子供は自然頑張るようになるんですね
続編もありそうな終わり方です
次の主人公は、おばさんの娘さんかも?
これは、彼のどの小説にも言える一貫した姿勢です。
訪問&コメントありがとうございます
佐川さんはこれで2冊目なのでまだよくわかりませんが、若い世代に読んで欲しい、という感想です
誠実に生きること
大切なことですね