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佐藤正午「Y」

2010年08月02日 | さ行の作家

あの時,あの人と別れなければ,今,自分の人生は違ったはず…
ふと思ったりしませんか?

「Y」
アルファベットのYのように人生は右と左に分かれていった
Yとは即ち人生の分岐点

人生は瞬間瞬間に枝分かれし,そうして枝分かれした分だけの異世界がこの世には存在する
それを観測する人間=北川
北川自らが量子論的タイムマシン化してしまい1998年から1980年に舞い戻り二度目の人生を送る
一度目の人生で北川の親友だった秋間,北川の妻だった真紀,二度目の人生で秋間の妻である弓子
時空間が捩れたふたつの世界で展開する男女関係の妙
ある時点でひとりの人生の歯車が狂えば,その人に関わる人々の運命も狂わざるを得ない
だが,全く接点がなくなってしまうわけではなく,『縁』というものが存在する

帯には,渾身のラヴ・ストーリーとありますが
サスペンス小説
SF小説
として,より面白く読めました

『時間』を扱ったお話
好きです


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