読書と映画とガーデニング

読書&映画&ガーデニング&落語&野球などなど、毎日アクティブに楽しく暮らしたいですね!

青来有一「眼球の毛」

2010年12月22日 | さ行の作家

 

講談社
2003年12月 第1刷発行
309頁


西暦2040年
近未来都市東京で妻と双子の娘と暮らす大学教授の木邑、40歳
土曜の午後を研究室の助手であり、恩師の娘である、愛人、安楽聖子と過ごす時間に無上の喜びを見い出している
但し、家族と別れる気持ちは毛頭無い

しかし、最近は自分の立場を不安定に追いやるような出来事が続いている
研究を続けてきた素粒子論に新しい理論が登場し完全に情熱を失ってしまう
大学の査問会から呼び出しを受ける、結果によっては大学から追い出されることになるかもしれない
愛人の聖子に若い恋人が出来たのではないか、という嫉妬に苛まれている


人間の持つ権力欲、愛欲、そこに宗教や、物理、クローン人間、体外受精など科学分野の要素を盛り込んだ作品
タイトルの「眼球の毛」
誰にも告げていませんが、木邑は、その名の通り、眼球に毛が生える、そして突然世界が灰色に見えてしまう、という奇病を持っています

聖子から自分が聖子の父親のクローン人間だという秘密を聞かされます
聖子が自分と別れるために作り出した嘘だと言い張る木邑
聖子の父親も同じ奇病を持っていたことを聞かされ、愕然とします
つまりは、聖子と自分は、娘と父親の関係になるというわけです

その事実を突きつけられても聖子を求める気持ちを抑えることが出来ない木邑

科学技術が著しく発展した近未来でも人間の本質は変わらない、ということでしょう

読後感は悪くありませんでしたが「聖水」「爆心」に比べると物足りなく感じられる作品でした

 

 

 

 

 

 

 

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 熊谷達也「漂泊の牙」 | トップ | 池澤夏樹「異国の客」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

さ行の作家」カテゴリの最新記事