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読書と映画とガーデニング

読書&映画&ガーデニング&落語&野球などなど、毎日アクティブに楽しく暮らしたいですね!

佐藤亜紀「鏡の影」

2010年08月01日 | さ行の作家
中世ヨーロッパ ドイツの片田舎で百姓の倅として生まれたヨハネスは全世界を変えるにはある一点を変えれば十分であるという考えに取りつかれ、その探求の旅に出る ある時,彼はシュピーゲルグランツと名乗る不思議な少年と出会う 少年は一つの願いと引き換えに、ヨハネスのすべてを引き渡す契約をちらつかせる ストイックなヨハネスはその誘いを断りながらも少年と旅をする 偏屈な騎士フィヒテンガウアー、街を支配する修道士 . . . 本文を読む

沢村凜「瞳の中の大河」

2010年07月29日 | さ行の作家
沢村さんの著書の中で最も評価されている作品です 架空の王国内で続く軍と野賊の戦いの物語 主人公は軍人のアマヨク・テミズ 野賊の頭領、オーマと 国とは国民の為にどうあるべきか 理想の社会とはどのようなものであるか 邂逅の度、議論を戦わすのだが、互いの考えに歩み寄りは見られない アマヨクの出生の秘密 アマヨクと野賊の女・カーミラとの愛 などを盛り込みながらアマヨクが貫き通した信念と追い求めた . . . 本文を読む

白石一文「見えないドアと鶴の空」

2010年07月21日 | さ行の作家
本屋さんで,変わったタイトルだな,と パラパラ捲ってみたのが 良かったのか悪かったのか 人は親しい相手をよく知っていると思い込みがちだが,案外それは反対なのだろう。親しくなればなるほど,その人をより深く知るべきであり,知る努力を継続すべきにもかかわらず,親しいと自覚した途端に実は無関心になるのかもしれない 巻頭のこの一文に引き込まれました 白石さんの根底に流れるもの,死生観,哲学的思 . . . 本文を読む

佐伯一麦「ア・ルース・ボーイ」

2010年07月20日 | さ行の作家
ルース loose 緩んだ 杜撰な だらしの無い などの否定的な意味と併せ 自由な 解き放たれた といった肯定的な意味も含んでいる 圧倒的な現実から逃げたり、無視したりするのではなく、きちんと真正面から見据えて生き抜こうとする少年 斉木鮮 県下有数の進学校である高校を中退し、生後一ヶ月になろうとする赤ん坊を持つ、同じく女子高を退学した幹と、古いアパートで同棲している 彼らは自分たちだけの力で生 . . . 本文を読む

佐伯一麦「ノルゲ」

2010年07月17日 | さ行の作家
美術大学に留学する妻とともにノルウェーにやってきた日本人作家「おれ」が過ごす平穏な日々を描いています 筋立てに取り立てて起伏があるわけでもなく,特別な盛り上がりを見せるわけでもない しかしノルウェーでの小春日和ともいえる平穏な日々が人生におけるほんの一時であり,どんなに大切な時間であるのか 「おれ」が日本にいる間に味わった数々の苦難が思い出の形で淡々と語られていることで,さらに深く胸に沁みてきま . . . 本文を読む

佐藤正午「5」

2010年07月11日 | さ行の作家
佐藤正午さん 昔、何かを読んだのですが何だったのか? 忘れました それほど印象に残らない作品だったのかもしれませんね 本作、7年ぶりの新作長編だそうです 帯には、新感覚の大人の恋愛小説とありますが ミステリー? 幻想? 浮世離れした物語? 最終章で、やはり恋愛小説であったか、と 誰でも過去の気持ちを忘れてしまうもの 誰かを好きになった頃のときめきを持ち続けること、誰かを愛し続けることは出来な . . . 本文を読む

白石一文「不自由な心」

2010年07月08日 | さ行の作家
5篇の短編集です 人は何の為に人を愛するのか? その愛とは? 幸福とは? 死とは何なのか? 白石さんらしいテーマが白石さんらしい文体で語られます う~ん 考えさせられます 直接物語のテーマに関わる文ではありませんが 「卵の夢」に 心に残る文がありました 『これ迄、営々と会社の為に実績を積上げてきた人間の首を簡単に切る二世社長』 『人間、ただ一生懸命働けば、それでいいってものでもない . . . 本文を読む

重松清「小学五年生」

2010年07月07日 | さ行の作家
小学五年生の少年が主人公 笑顔と涙の少年物語 17篇が収められています 父の死 転校 身体の変化 両親の離婚 バレンタインデー などなど まだまだ子供なんだけど、大人の一面をもった年齢 自分もそうだったよね~ 重松さんの作品は 家族や友人、人生への優しさに溢れており、読後いつも暖い心持ちになります . . . 本文を読む

周利重孝「夏の扉」

2010年06月22日 | さ行の作家
19歳の若者が主人公です。 19歳の夏突然失踪した親友の行方を追うぼくと遥香。ミステリーではありますが友情・恋愛子供でも大人でもない『青春』の苦悩が描かれ物語が進むにつれて明らかになる事実に切なく胸を打たれ結末がこれまたグワ~ンと迫ってきます。 青春時代を通り過ぎて早何年…そんな私にもう一度あの頃のみずみずしい心を思い出させてくれた良品です周利さんこれ1作品しか発 . . . 本文を読む

佐伯一麦「草の輝き」

2010年06月16日 | さ行の作家
映画配給会社を辞め草木染の修行のために都会から山形に移り住んできた若い女性・柊子の一年を描いています 舞台となる山形、仙台 草木染 柊子が恋心を抱く離婚歴のある男性・深津、男性の友人・広瀬 本作の数々のエピソードはこれまで読んだ佐伯さんの作品と共通部分が多く 柊子のモデルは佐伯さんの奥様で、深津と広瀬のモデルは佐伯さん自身でしょう 師匠と一緒に山野に自生する草木を探して歩く日々 師匠の気 . . . 本文を読む

重松清「小さき者へ」

2010年06月15日 | さ行の作家
短篇集です。 「海へ」 東京に暮らすボク・妻・二人の息子 田舎で独り暮らすボクの母親 年を重ね健康に自信の無くなった母親が、独り暮らしの寂しさ・不安に耐えられなくなり孫の前で泣いてしまう 孫は泣きながら祖母の膝を撫で続ける 誰にも訪れる老後 年老いた親を抱える子供達 それぞれの思いに溜息が洩れます 「団旗はためく下に」 元応援団団長の父・高校を二年で中退し美容師になる決心をした娘 父が娘に お . . . 本文を読む

白石一文「僕の中の壊れていない部分」

2010年06月10日 | さ行の作家
主人公の男性は3人の女性と同時に関係を持ちながら誰とも深い繋がりを持とうとしない。自分は生まれてこなければよかったという絶望感を抱いている 読み始めて2/3位までは、何?この主人公、歪んでる、ひずんでる、おかしい、間違っている と思っていました 読み終えて 主人公の、生・死に対する考え方がぼんやりですが分ってきました 生きることの深い意味を考える前提として何が必要なのか 人間は他者と繋がり、 . . . 本文を読む

沢村凜「黄金の王 白銀の王」

2010年05月25日 | さ行の作家
今からおよそ250年前 架空の島国「翠」 穡(しょく)大王によって統一された翠の国 50年にわたる治世により繁栄を極めた 続く三代の王も穡大王の残した教えを守り、国を守ったが、その後双子が誕生したことにより部族は二つに別れる 国の支配をかけて争いを続けてきた鳳穐(ほうしゅう)一族と旺廈(おうか)一族 8年前覇権を握った鳳穐の頭領・穭(ひづち)は幽閉されている旺廈の頭領・薫衣(くのえ)と協力し 翠を . . . 本文を読む

真保裕一「デパートへ行こう!」

2010年05月24日 | さ行の作家
深夜のデパートのあちこちに蠢く人の気配 取締役会で退任させられそうなデパートの3代目社長 自分を棄てた男への復讐を考えるデパートの女性店員 宝飾品コーナーのゼネラル・マネージャー 仕事も家族も住むところも無くした中年の男 元警察官、転落の一途を辿り、ヤクザに追われ傷を負った男 まだ10代、家出してきたらしき若い男女 警備会社の面々 真っ暗なデパートの中で各々の思惑がぶつかり混乱し 最後には全く . . . 本文を読む

重松清「みぞれ」

2010年05月21日 | さ行の作家
普通の人々の人生を暖かな眼差しでとらえた11の短編集 主人公は10代から40代まで様々 夫婦を描いて良かったのは 「砲丸ママ」 高校時代、陸上部のマネージャーだったパパと砲丸投げの選手だったママ 息子の夏休みの宿題 『家族の得意わざ』 ママのことはたくさん書くことがあるのにパパのことを書こうとすると鉛筆が進まない 「電光セッカチ」 せっかちな夫 のんびり屋の妻 とにかくダンナは待つことが嫌 . . . 本文を読む