春の気候は厳しい。
農家になってから痛感しています。
気温の乱高下、そして強風。
春の猛烈で乾いた風が吹く日、しげファームの向かい側に広がっている慣行農法の畑は派手に土を飛ばします。
来るぞ来るぞ・・・
来た~ (手前:しげファーム 土が飛んでいる所:向かいの畑)
何も植わっておらず、草を生やさぬよう頻繁にトラクターで耕運している向かいの畑の土。
有機物が長い年月をかけて分解して作られた腐植の層や、草の残渣などは無く、いかにもパサパサして軽そうに見える。
ここに毎年殺菌剤や除草剤や殺虫剤で土を無の状態にし、化学肥料を投入して野菜が作られています。
作る野菜は人参とさつま芋、大根など決まったものだけ。
春になっても、生態系の営みは感じられない。
まさに「沈黙の春」の世界です。
麦を緑肥がわりに植えたり、草を生やしたり、何かしら作物が植わっていれば、ここまで強烈に土は飛んだりしません(多少は飛びますが)。
飛んでゆくう向かいの畑の土と、うちの畑。
でも、これは向かいの畑に限ったことではなく、今の日本のごくごく一般的な畑作地帯の風景なのだと思います。
有機農業では、畑の生態系が作物を育ててくれると考えるので、その生態系になくてはならない土がこんなふうに強風で飛びまくってしまうのは、悲しい現象です。
だから、慣行農法とは土に対する思いが全然違うんだろうなと実感するのです。
でも、向かいの畑の人は、わんさと生えているうちの畑の草のほうが、ずっと信じがたい光景なんだろうな。
はたまた、TPPという枠組みで考えると、両者ともたいした違いではないのかもしれません。
そんなことより、海外の農産物に対抗できる農業をしようよ、というような。