不一致

いちばん好きな人と、いちばん大切な人がイコールじゃないのはどうしてなんだろう。

頭で考えれば、守るべき人が浮かんでくるというのに、その結果に胸が痛むのはどうしてなんだろう。

身動きできないほど想いに縛られるわけでもなく、いつでも飛び立てるほどの勇気を持つわけでもない。

縛られていれば、諦められるかもしれないというのに。

そして、この『言い訳』で自分を傷つけて、押さえ込もうとしてる気持ちを認識してしまうんだ。
なんて堂々巡り。

いつか、いつかと思いながら過ごした日々は、そびえ立つ鉄壁に阻まれ、立ち向かう為の気力を持つことを己で許さなかったというのに。

あのやるせない想いと苦い季節は、今も私の中で痛いくらいの鮮やかさを持っているというのに。
差し出された手を取らなかったのは私。
現実に歯向かえなかったのは私。
いまを捨てられなかったのは私。

ほんの少しの後悔を抱えるのは私。
今でも想ってしまうのは私。

でも、でも、を繰り返し、あの日の気持ちを過去にできない。
生温い場所に漂う気持ちは、いつか傷んでしまうというのに。
あの季節の出来事さえ、キレイなものではなかったのに。

思いだし、想いを募らせ、それでも駆け出すことはせず。

捨てられなかった『いま』にたゆたうのだ。