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アロマな日々

一条の光に誘われて歩くうちに、この世とあの世を繋ぐ魔法の世界に紛れ込んでいました。夢のワンダーランド体験を綴ります。

自分の存在を許してくれる人

2007年01月01日 | 映画
「暗いところで待ち合わせ」という映画を観てきました。この映画の持つニュアンスに、もうちょっと近いタイトルがあったのではないだろうかと、ちょっと残念な気はしますが、原作の題名がそうなのですから仕方がありません。主人公二人の心の動きを丁寧に描いたサスペンスタッチの気の利いた小品でした。

自動車事故のため、光を失ってしまったために家に閉じこもりがちの女性と、中国からやってきて、どんな環境においても周囲に溶け込めず、うつうつと暮らしている、‘心に闇を抱える’男性との、(ある殺人事件をきっかけに、ある目的のために女性の家に潜んだその男性との)同じ家でのそれぞれの暮らしが始まります。映画の説明書きには二人の共同生活とありますが、共同生活というような体裁をなしたものではありません。

二人の距離感がとてもいいです。彼女にとって、彼はちょっとだけサポートしてくれる人であり、ずっと居場所を探していた彼にとっては、彼女は、彼がずっと探し続けていたものが場所ではなく、「自分の存在を許してくれる人」だったことを気づかせてくれる人として描かれています。

最近の映画が素晴らしいと思うのは、人と人との関係を「べったり」とは描かないところにあるような気がしています。尤も、私が選ぶから、結果的にはそういう映画ばかりになってしまうのかもしれませんが、微かな触れ合い、しかも、息遣いを確かめるようにして、ちょっとずつ、ちょっとずつ相手の感触を感じながら距離を測りながら近づいたり遠ざかったりする関係。相手の気持ちの都合を尊重する思いやりとやさしさがひっそりと感じられて、観ているこちらの気持ちも静かに安定したものになっていきます。

こういう良質な映画を観ていると、どんなに寂しくても、どんなに辛くても、だからこそ、相手に受け入れてもらうためには、一人でも、ここに立っていることのできる(強がりかもしれないけれど…)気持ちの確かさが必要だと思わざるを得なくなります。

暗いところで待ち合わせ

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