

またまた、村上春樹さんの話で恐縮です。「そうだ、村上さんに聞いてみよう」の面白さの一つに、質問者への回答と一緒に、村上さんが、必ず、全員にコードネームをつけてあげていることが挙げられると思います。ハンドルネームと一緒の意味でしょうが、これがなかなか洒落ているのです。もちろん意味もなく命名しているわけではありません。質問者の質問の内容などと照らし合わせて、きちんとした根拠に基づいて付けてあげているわけなのです。たとえば、『「限りなくOに近いA型という世界観は、一種の裏切りです。A型はA型としての重荷をしっかりと背負って生きていかなくてはなりません。よそにすりよるのはやめましょう。あなたのコードネームは「死ぬまでA型」です。肝に銘じてくださいね。』とか、ビストロを開きたいと思っている質問者への回答では、村上さんの、経営のノウハウについての考えを述べられた上で、『あなたのコードネームは「ビストロの夜は更けて」です。頑張ってくださいね。』などという感じで、軽やかに、でもかなり本質的な内容は外さずに、しっかりと誠実に応えていかれます。それから、よく、最後にチャオ!という言葉で文章を結んで終わるのが、とてもいい感じです。チャオ!なんて言われたら、眉を真ん中に寄せられなくなります。「そうだよネ!」って思わず微笑んでしまいます。他にも、「もうすぐお茶の時間です」なんていうコードネームもありました。

ちなみに、チャオの意味について、村上さんは次のように説明しています。『チャオというのはペルシャ語で「神があなたの家で美味しい食事をなさるように」という意味の、挨拶の言葉です。意味が長いわりには言葉は短いですね。なぜ使うのか?ただの挨拶です。チャオ。』ですって!!お茶目な人ですよネ。