この度、国土社よりパステルショートストーリーシリーズとして『ぼくの町の妖怪』を上梓いたしました。
この作品では、身近な妖怪伝承に目を向ける面白さを、少々恐ろし気に、かつコミカルに表現してみました。
物語の舞台である「森里町」は、現在わたしが住む宮城県加美郡加美町をモデルとしています。物語中の「九転橋」は、加美町の玄関口ともいえる【鳴瀬大橋】、「矢食らい山」は、加美富士とも呼ばれる【薬来山】、「森里城」はかつて伊達政宗によって滅ぼされた【宮崎城】、「水守神社」は色麻町の河童を祀る【磯良神社】を、それぞれ思い浮かべて書きました。
そして、わたしが勝手に妖怪研究の師と仰ぐ、偉大なお二人の名前もお借りしました。主人公の柳邦彦くんは、妖怪伝承満載の「遠野物語」を世に広めた柳田邦男先生、井上円先生は、妖怪伝承を合理的な視点で研究をされた井上円了先生からです。
妖怪伝承を紐解くと、過去の人々の暮らしぶりが垣間見えてきます。わたし自身、加美町の現地調査をすることで、郷土の歴史や文化を学ぶことができました。子供たちにも、妖怪を通して歴史や文化を探る面白さを知って欲しいと願っています。 野泉マヤ
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妖怪作家・野泉マヤの新刊、ぜひお読みください。
なお、このパステルショートストーリーシリーズでは、堀米薫(2冊・『夕ぐれどきのふしぎ』『動物たちのささやき』)、おおぎやなぎちか『友だちの木』のございます。こちらも合わせてお楽しみくださいませ。学校での朝読にぴったりのシリーズです。