インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

ベンガル湾季節便り/浸水式のあと

2012-10-26 18:13:51 | 季節・自然
今日は昨日よりさらに早い午後4時40分前に、浜に出た。
100枚弱の短編小説がほぼ形になったため、時間的に余裕があったのだ。
海辺に出ると、日はまだ高めのところにあったが、すでに色づいていた。
半月より太い月で満潮の今日は、波に浸食された汀が土手のように盛り上がっていた。

ドゥルガー女神のお祭りは終わったが、引き続きラクシュミー富貴女神、サラスワティー知恵と芸術の女神、旧正月祭ディワリーと続くので、人出は多い。

夕暮れ間近の浜にはたくさんの人が群れていた。
たぷたぷの潮に身を浸して歓声をあげる子供たちと、にぎやかだ。
沖には昨夕同様、何十艘と漁船が連なっている。

女神様の浸水式のせいで、海の色はやや濁り、ワラ屑や鮮やかな橙のマリーゴールドの供花、青い椰子の実の残骸と、波が絡ませて足元に押し寄せてくる。くるぶしにワラ屑がまとわりついて、不快だ。
毎度お祭りの後は、神様の偶像が河や海に流されるわけで、深刻な汚染問題ともなっているが、ヒンドゥの宗教儀式だけに、この慣習ばかりは止みそうにない。
東寄りの高い上空に白いおぼろ月がかかっている。

西の水際の上空に浮かんだ落日は、強いこんじきがかったオレンジから、光輝の鎮まったオレンジへ、赤みを帯びた朱色へと変わり、灰色の天幕をくっきりうがっていた。
夕もやに呑まれて、薄いベールがかかり沈んだ臙脂に、そのうちさらに濃いもやに侵食され瀕死の半円になると、するすると幕のうちに没してしまった。

西半分の海は薄陽にきらめき白みがかった淡緑、東半分の海は青みを帯びた青磁、水平線は地球の丸みを帯びた壮大さだ。

薄青い空に徐々に月がくっきりと浮かび上がる。

西半分の海が桜色に燃えていた。


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