ITエンジニアの九十九折(新)

これまで経験したことや考えを思いつくままに綴って行こうと開設しました。マラソンをするように長く続けて行くつもりです。

29.ビッグブルーが首位の座を譲るとき(990字)

2006-12-14 | IT(ICT)
この年末、私の考え方を大きく転換させる出来事が起きようとしています。

それは、ビッグブルーの名で親しまれている米国IBM社が同じ米国に本社を置くHP社にIT業界の売上高世界一の座を明渡すことが確実になったというニュースを聞いたからです。

報道の詳細は、こちらのURLより
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20061207/256295/

IBM社は、大型汎用機で磐石な経営基盤を築き、途中、パソコンの台頭やサーバへの移行期には一時的に業績不振に陥ったことはありましたが、すぐに復調に転じ、私の中では、常に業界ナンバーワンはIBM社を置いて他にないと考えて来ました。

現在のコンピュータの原型が完成して60年余り経ち、これまでさまざまな企業が興隆し、また衰退して行きました。

その中で、19世紀末から続く老舗企業IBM社はライバルとの数々の競争に勝って、勢力を拡大し、長らくトップの座を占めて来たのです(統計データの入手は中々困難です)。

一方のHP社は戦後、ヒューレットとパッカードの二人の創業者によりガレージで産声を上げ、それ以来、計測器の分野で技術力を磨き、その後、主として制御用のミニコンピュータを開発してコンピュータ製造メーカとなりました。
そして、技術革新の波を乗り越えながら、ミニコンにファイル処理機能を追加してスケールアップしたサーバを抱えてビジネス分野に進出しました。
また、最近ではパソコン大手のコンパック社とのM&Aを経て、総合コンピュータメーカとして拡大して来て、ついに売上高でIBM社を追い抜くときが来たのです。

両社は米国の東と西海岸で文化も成り立ちもまったく異なります。
日本企業で例えると、松下電器とソニーとの関係に似ているかもしれません。

しかし、ここまでの変化を呼んだ要因は何だったのでしょうか。
大きな時代の流れがあったのか、あるいは、ビジネスモデルの差か、顧客への提案力の違いなのか、先のニュースには分析も出ていますが、私自身は現時点でこれだと断言することはできません。

ただ、IBM社は過去の資産(遺産)が大き過ぎて、大型汎用機が足かせとなって、さらなる革新へのスピードアップに限界が来ていたと見ることができるかもしれません。

同社の今後の推移も見守って行きたいと思いますが、人や組織の営為によってトップを守ることの困難さを、改めて思い知らされました。

両社の財務報告(前年迄)は、以下のURLより
http://www.ibm.com/investor/financials/index.phtml
http://h30261.www3.hp.com/phoenix.zhtml?c=71087&p=irol-fundhighlightsA
コメント (2)
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