ITエンジニアの九十九折(新)

これまで経験したことや考えを思いつくままに綴って行こうと開設しました。マラソンをするように長く続けて行くつもりです。

27.個人情報保護と二つの事例(1,121字)

2006-12-08 | IT(ICT)
「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」が全面施行されて、1年半以上が経過しました。

この間、皆さんの周囲(職場)では、情報管理に関する意識の改善や情報セキュリティ対策の実施が進んで来たことと思います。

これから、個人情報保護を巡る二つの事例を紹介します。

一つ目は先月末、住民基本台帳ネットワークシステム(略して住基ネット)の離脱を求めた住民側が大阪高等裁判所で勝訴したニュースの事例です。

本裁判はまだ結審していませんので、最高裁へ上告されるかどうかによっても判決内容が変わる可能性は否定できません(守口市や吹田市は上告が決まったようです)。

しかし、住基ネットを「プライバシー侵害の恐れがあり、個人情報保護対策の点で無視できない欠陥がある」として、踏み込んだ判決が下されたことは今後の判例に一石を投じる結果になったと思っています。

住基ネットで保有する個人情報は基本的な項目(4項目)に過ぎないのですが、これが他の関連する情報と名寄せし、マッチングされることによって、重要な個人情報となり、プライバシーが侵害される恐れがあるとの司法判断が下されたのです。

見方によっては非常に厳しい判決で、行政側は今後、この欠陥に対し、どういう対応をすればよいかすぐに結論が出ない可能性があります。

情報が電子化されて複写や複製が容易にできることも問題を複雑化している一因と考えられます。

もう一つはダイレクト・セールスに関する事例です。
最近、皆さんの職場に掛かってくるセールスの電話やダイレクト・メールの数は減ったと言えるでしょうか?!

おそらく、同法が施行される前に取得した個人情報を業者間で売買して保有し、そのリストを元にセールス活動を実施しているものと想像されます。

私自身は、同法の施行によって、こうしたダイレクト・セールスが減って適正化されることを信じていたため、状況が変わらないことに驚くと共に、愕然としました。

知り合いのコンサルタントに事情を話すと、「(同法の施行によって、)却って名簿業者は儲かっている」という話を聞かされて、二重にショックを受けました。

つくづく、「ザル法」ってこういうことかと思いました。

名簿を使って顧客を獲得する会社もあると思いますが、他人の個人情報を勝手に使い回すのはそろそろ止めて欲しいですね(商売だから向こうも簡単に手は引かないでしょう)。

個人的にセールス対策を幾つか試したことはあります。
しかし、この辺りまで一掃されない限り、有り難い法律だという認識は深まらないだろうなと思うこの頃です。

住基ネット訴訟については、各社新聞やインターネット・ニュース(以下、URL)等でもご覧いただけます。
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/resident_register_network/
コメント (2)
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