ITエンジニアの九十九折(新)

これまで経験したことや考えを思いつくままに綴って行こうと開設しました。マラソンをするように長く続けて行くつもりです。

162.サブプライムから世界同時不況へ(1,065字)

2008-11-30 | Management&Economics
1929年に起きた世界大恐慌と比較して語られること
の多い、今次の金融不況からの出口を探るため、先日、
米国ブッシュ大統領の呼びかけでG20が開催されました。

この会議の中で、3つないし4つの基本方針が示され、
マスコミ報道によると、おおむね有意義であったと締め
括られているようです。

しかし、今週の新聞では米国で77兆円の追加対策、
EUでも25兆円に上る公的資金が投入されるようです。

楽観論と悲観論が交錯する中、この先、世界経済は、
ひいては日本経済には、どんな展開が待ち受けていると
考えるべきでしょうか。

サブプライム問題は、全ての序章であり、続いて起こる
オルトA問題が、さらなる不安定と不況を招き、連鎖的
に不況を長引かせることになると予測する識者もいます。

オルトAは、中所得者向け住宅ローンでサブプライムより
も未決済額が多いという試算もあるのです。

米国は貿易と財政の双子の赤字を抱えながら、金融工学
の手法を駆使して、金融商品を派生させ、その商品の
魅力度を高めて、世界中から資金を環流させて、赤字
補填に努めて来ました。

ところが、ここに来て頼みの金融経済(金融資本主義)
が石油やエネルギー(エタノール)問題からほころびを
生じ、崩壊への道を辿っているのです。

もはや、米国政府が幾ら公的資金を投入しても、ヘッジ
ファンドと呼ばれる規制をあまり受けない金融機関の
破綻や金利変動によって、不良債権は膨らむ一方で、
損失総額が算定できないという有様で、底なし沼に入り
込んだ状態にすらあります。

それが対米貿易で儲けた国々が米国に再投資をして、
損失を被って、同時不況を呼び起こしているのです。

果たしてこの不況は10年で終わるのでしょうか。
楽観できる要素はあまり見当たりません。

米国では金融不況となり、産業界にも影響が出始めて
います。自動車のビッグ3(GM、クライスラー、フォード)
が2つに減るという予測も出ているほどです。金融不全
に陥ることも考えられます。

翻って、日本でも金融機関で総額8300億円に上る
損失が出ていると報道されました。また、トヨタや
パナソニックも揃って、次期の決算を下方修正するという
発表がなされ、経済に不透明感が出て来ました。

このままでは90年代に経験したバブル崩壊の二の舞
となる可能性も出て来ました。恐ろしいのは、この不況
がこれからもしばらくの間は、出口が見えずに続いて
行くことです。

益々、この問題から目が離せなくなって来ました。

参考:
『世界金融危機』金子勝、アンドリュー・デウイット共著
(岩波書店)
世界金融危機 (岩波ブックレット)
金子 勝,アンドリュー デウィット
岩波書店

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俳句&川柳0041

2008-11-27 | 俳句&川柳
「くっきりと 晴れた大空 白い富士」(虚空子)

 今ひとつ今年の秋は天気がはっきりとしませんが、
 それでも数日に1回くらいは秋晴れの日があり、
 晴れ渡った空に、積雪の富士山を見ることができ、
 とても気持ち良く感じます。
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161.野村式人材育成法(900字)

2008-11-22 | Sports&Health
東北楽天イーグルスの野村克也監督は、プロ野球史上、
最も高齢で現役監督を続けています(来季も続投)。

ご存じのように、楽天は2005年、仙台市を本拠地に
誕生した一番新しい球団です。

その楽天を野村氏は創設2年目から3年間、指揮し、闘う
集団に作り上げて来ました。

今回は、「野村再生工場」の異名を持つ、その独特の
人材育成法について考えてみることにします。

野村氏によると、プロ野球は人材の宝庫で、しかも選手
の多くが、その才能と実力を発揮できずに眠ったままに
なっていると言います。

そして実際に、野村氏の下で成長、あるいは再生し、
実績を残した選手が数多く輩出されて来ただけにその
言葉にも説得力があります。

一例を挙げれば、
南海ホークス:江本、山内、江夏、松原(福士)
ヤクルトスワローズ:古田、飯田、小早川、川崎、高津
阪神タイガース:赤星、井川、福原、矢野
楽天イーグルス:山崎武、鉄平、嶋、田中
(敬称略)

それでは野村氏の人材育成の秘訣はどこにあるので
しょうか。以下、三つにまとめてみました。

1)よく観察する
  その選手の持っている能力を捕手出身の目で多角的
  に分析し、長所と短所を見つける。

2)気づかせる
  選手に、打者を打ち取るための投球の幅を広げる
  方法や、バッターボックスでの投手心理、場面毎の
  配球を読むことを教え、その選手にどうすればよい
  のかを気づかせる。
  この際、成否は選手が素直に受け容れられるかに
  かかっていると言われる。

3)愛情を持って育てる
  どんな指導法を尽くしても、選手を一人前に育てる
  という意思を持って当たることが一番大事。

どうでしょうか。特別の方法とは感じられないですね。

しかし、野村氏の場合、培った野球理論は抜群のものが
あり、それを背景に話されると、選手も納得するのだと
思います。

最後に、育てる愛情を持つとは、厳格なイメージのある
野村氏も、実際は親としての優しい心根を持って選手たち
に接しているのだと推察されます。

この秘訣は、他の組織にも当てはまる普遍性を持つもの
に感じられました。早速、自分の部下育成のケースにも
適用してみようと思っています。

参考:
『野村再生工場』野村克也著(角川書店)
野村再生工場 ――叱り方、褒め方、教え方 (角川oneテーマ21 A 86) (角川oneテーマ21 A 86)
野村 克也
角川グループパブリッシング

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俳句&川柳0040

2008-11-17 | 俳句&川柳
「我が子らに 明るい夢を 与え行く」(虚空子)

 何かと暗い世情ではありますが、私たち大人は、
 時代を担う子どもたちに、明るい未来を約束する
 義務があること忘れてしまうときがあります。

 社会に格差が広がりつつある今、果たしてどの
 くらいの大人たちがそうした責務を忘れずに
 子どもに接しているのでしょうか。

 大人は子どもに対して大きな使命を負っている
 のですよね。
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160.非日常の継投策(907字)

2008-11-15 | Sports&Health
今年のプロ野球日本シリーズは、最終の第7戦までもつれ
込み、西武が終盤8回に逆転してそのまま逃げ切り、
4勝3敗で巨人を下して、13度目(西鉄時代を含む)の
日本一の座に輝きました。

シリーズ前の予想では、野球評論家、そしてファンからも
圧倒的に巨人有利の声が挙がっていたにもかかわらずです。

しかし、勝負事とは本当に下駄を履くまでわからないもの
です。巨人が対戦成績で3勝2敗とリードしたときは、
次の試合もその勢いでシリーズをものにすると思われました。

ところが、西武の渡辺久信監督はここから、非日常モード
の臨戦態勢に切り替えたのです。

第6戦の先発帆足投手が序盤で失点すると調子を見極め、
3回途中から前回第4戦で完封し、何と中2日しか空いて
いない岸投手をリリーフに送りました。そして巨人打線の
タイミングが合っていないと見ると、そのまま最後まで
投げさせて勝利をもぎ取ったのです。

さらに迎えた最終戦も、ベテランの西口投手が初回、2回
と1点ずつを取られる苦しい展開ながら、二番手には同じ
先発投手の石井一久、さらに三番手にはエース涌井を投入
して、必死の継投を見せたのです。これが8回への逆転劇
を演出する結果につながりました。

一方、巨人は中盤まで2-1とリードしながら打線が追加
点を奪えず、原辰徳監督は延長戦に入ることを意識して、
連投疲れの見え始めた越智投手を引っ張って投げさせ、
とうとう最後で失点し、試合も逆転を許してしまったの
でした。

巨人有利の下馬評の中、某局のラジオ中継に出演していた
現役の某選手が対戦の予想を聞かれ、「西武の
ピッチャーが巨人打線をある程度抑えて勝つんではない
ですかね。」と言ったことを思い出しました。
(今振り返ると、実際に対戦した上で実感のこもった
コメントだったようです。)

巨人の敗因には、

1)打線が思ったほど破壊力を発揮できなかったこと
2)原監督の最終戦における最後の詰めを誤った

も挙げられるでしょう。

ただ私は、選手として西武黄金時代を知る渡辺監督が
日本シリーズの何たるかを忘れず、「非日常の」戦い方
をしたから就任1年目で偉業を達成したという気がして
ならないのです。

日本シリーズ第7戦の結果
http://bis.npb.or.jp/scores/nipponseries/boxscore2008_7.html
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俳句&川柳0039

2008-11-12 | 俳句&川柳
「木枯らしが 木っ葉落として 冬姿」(虚空子)

 先日、東京でも木枯らし一号が吹いて、いよいよ冬のお告げが
 ありました。

 そして最近続いた寒空のせいで、街路樹や庭木の広葉樹の
 葉っぱが一斉に落葉し、木立ちが冬らしくなって来ました。

 そろそろコートを羽織らないと肌寒く感じます。
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俳句&川柳0038

2008-11-06 | 俳句&川柳
「大空に ごめんと書いて 仲直り」(虚空子)

 夫婦げんかは犬も食わぬとは、言い古された言葉です。
 我が家でもせっかくの休日に、些細なことで小さい
 けんかをすることがあります。

 そんな日は何となく気持ちが晴れず、しこりを残すこと
 もありましたが、もうそんな繰り返しは懲りました。

 先に謝った方が勝ちということに気づいたのです。
 空を見上げながら、ごめんというと気持ちも吹っ飛んで
 行くように思えます。
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159.食の便利さと安さの代償(743字)

2008-11-02 | Voices
昨今、日本では食の安全性が完全に揺らいでしまった
ように思われます。

一つひとつの事例を挙げれば切りがありませんが、
先日、ついに我が家でもその渦中へ巻き込まれて
しまったのです。

副食や子どものサイドメニューにと購入したウインナー
ソーセージが自主回収の品目に挙げられたのです。

メーカ側の主張をよく聞いてみると、検査の結果、
思ったほどの化合物(混入物)は検出されなかったものの、
1ヶ月も公表せず、今回、自主回収に踏み切ったとのこと
です。

もはや現代の日本は、食料の自給率が40%を切り、
過半数を外国の食品に依存する状態になっています。

先進国でここまで自給率が低い国は他にないそうです。

その上、昨今は国内の食品メーカの多くが、生産を
人件費やコストの安い海外に求め、委託・分業されて
いるのです。

特に最近、中国製では、混入事件が明るみに出て、大きな
社会問題ともなっています。

企業はコストをより削減する目的で、生産地を海外に
求めたものの、果たして、品質や安全性は十分に保たれて
いるのでしょうか?

安い人件費を味方に収益を伸ばし、業績を向上させた企業
も多いと思います。

その一方で、監督の不行き届きや品質管理の不徹底、
生産国における文化の相違もあったに違いありません。

「これからは何を信用すれば良いのかわからない」と
いうのが、消費者の率直な感想だと思います。

企業や国の政策を批判することは簡単です。
しかし、便利さや安さを求めて来た私たちにも責任の
一端があるのだと思います。

金融不安や社会保障費の補償等で物価上昇や税負担は
避けられず、支出は増え、減る要素が見当たりません。

ただ、食費の家計に占める割合を増やしてでも、食の
安全性をもう一度取り戻す必要があるような気がして
ならないのです。

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