私が所属しているIT業界は、技術進歩の速度が早く、「秒進分歩」で移り変わると言われて久しく、これまで業界全体で右肩上がりの成長を続けて来ました。
そのため、常に何かに追われて仕事に取り組まなくてはならないところがあり、慌しく通り過ぎて来たなというのが実感です。
また、自身のキャリアについても、あれこれ考えを巡らし、節目節目で決断しながら実践してきました。しかし、ここまでのキャリアを振り返ると、正直、「紆余曲折の難産事であった」と言うことができます。
かつて、この業界の構造がまだ単純だった頃には、以下のようなモデルが存在していたように思います。
「プログラマー」→「SE(システムエンジニア)」→「プロジェクト・リーダ」→「管理職」
しかし、新しい技術が開発され、情報システムが大規模かつ複雑化されて来るに伴ない、職務も細分化されるようになり、このような単線的なモデルでは限界が見られ、キャリアを模索する時代に突入したのではないかと思います。
現在の状況はどうかと言いますと、経済産業省の情報処理技術者試験(国家試験)を見ても、14区分に分けて実施されています。これだけを見ても明らかですが、一口にSEと言っても、多種多様な分野・領域が存在していることがわかります。
従って、一事業会社で一様にキャリアプランを用意したり、本人に合う形の研修プログラムを提供することがより困難になっているのだと思います。
最近では、「自立(律)的キャリアを歩む」ということが関連の書籍や論文等で述べられています(例えば、『キャリアショック』高橋俊介著)。
組織内で自立するとは、変な言い方にも聞こえますが、選択の幅が多岐にわたっている以上、予測がつけにくく、会社で予め、キャリアパスを用意したり、本人の意思と無関係に研修を受けさせることは時間と経費の無駄にもつながります。
(その一方で、官民が合同でITスキル標準を体系化して、実務に適用しようとする動きが活発化しています。)
ITスキル標準の詳細は、こちらよりhttp://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/jinzai.htm
ここで重要な事項は、自らがキャリアを選び取るという自主的、能動的な行為だと思います。すなわち、自分の興味・関心(得意)分野から専門領域を定めて、専門性を高め、それに関連する仕事に従事できるように組織内でアピールすることです。
もちろん、本人が望んだからと言って、いつもそれに見合う案件が受注できたり、仕事を用意できるとは限りません。
最後に、これからのキャリアの歩み方には、以下に示す二つの大変さ、困難さが想定されると考えています。
1)職業選択
細分化された多くの選択肢の中から一つの職業(職種)を選択をする
2)キャリア形成
定職に就いても、仕事を選び取って、それをキャリア(仕事の実績としての軌跡)につなげて行く
皆さんはどのような考えをお持ちですか?
キャリアについては、今後も何度か取り上げる予定です。