先ほど日曜美術館で正倉院展を取り上げていました。
こちらのポスターにある漆金薄絵盤(うるしきんぱくえのばん)が素晴らしかったです。
お香を載せる台座ですが、木製の蓮の花びらの一枚一枚に精密な見事な絵が絵が描かれており、その上に香をのせて煙を燻らせ仏様の御前に捧げたということです。
西山厚さん(奈良国立博物館学芸部長)は、こうした宝物が今ここに在ること自体が物語であるとおっしゃっていました。
天平はもっとも心惹かれる時代の一つ。なぜか郷愁に胸が震えます。
何度も足を運んだ大和路ですが、最近は正倉院展には行っていません。人が多くて・・・。でも、これは観てみたかったなぁ。
このように一筆書きの模様をかたどった香を焚いたそうです。
驚いたのは、この香座は周りの空気が動くと花弁の一枚一枚が揺れるようにできているそうなのです。
香に火をいれ、くゆる煙、そしてゆらぐ花弁。
なんと繊細で美しいものなのでしょうか。
古代より神に祈りを捧げてきた人々の薫香の歴史の中でも、確かに最高の芸術品でしょう。
心というものがそこにある、時を超えて、形をもって、祈りがある―画面を見ながら涙が流れていました。
天平の頃、ここで焚かれた香は何なのか知りたいな。