「次の首相候補は誰だと思うか」と聞かれた時、私が自民党議員の名を挙げず、「民主党の○○さんはどうか」と答えると、多くの人はきょとんとする--。5年前、本欄でこんな話を書いたことがある。首相と言えば自民党。つい最近まで、それが「日本の常識」だったということだ。ところが、どうだろう。
先週の毎日新聞・全国世論調査では、民主党の小沢一郎代表が首相にふさわしいと答えた人は18%。福田康夫首相の14%を上回った。「福田内閣支持率18%」もさることながら、私はこちらの数字に注目するのだ。
政党支持率も民主党が28%で、自民党は20%。これまで民主党の支持率は国政選挙が近づくと上昇し、選挙が終われば下がってきたことを考えれば大異変だ。これは政権交代が、ようやく現実的なものとして人々に意識されてきた結果ではなかろうか。
もちろん、直ちに次の衆院選に結びつくかどうかは分からない。福田氏と小沢氏、「どちらも首相にふさわしくない」との回答は実に63%。民主党の国会対応にも批判的な人が多い。対決も大いに結構だが、「民主党が政権を取ったらこうする」と具体案をもっと示してほしいという気持ちも強いのだと思う。
気になることが一つ。「対案がない」と新聞が書くと最近、よく民主党議員から「そうやって足を引っ張り、政権交代を阻もうとする」と反論を受ける。でも、政権交代に現実味が出てきたからこそ要求も厳しくなるのだ。それが分からないとしたら、これまた異変の意味を理解していないのではないのか。
毎日新聞 2008年5月8日 0時09分