「政権交代は手段。交代して何をするのか、そこが問題だ」と麻生太郎首相が繰り返している。民主党は政権をとることだけが目的の政権交代至上主義。本来の政治の目的である「何をするか」が分からないと言いたいようだ。
ごもっともな話だと思う。でもそれを言うなら、こう突っ込んでみたい気がする。自民党は政権を維持するだけが目的で、何をしたいか分からない。いや、麻生さんは「首相になること」だけが目的だったのではないかと。
自民党人事刷新が不発に終わった後、日ごろ首相に理解を示している(と思われる)産経新聞が「問題は、麻生政権が日本をこうするという国家像をいまだに明示していないことにある」と書いて、「懸案を解決するための政策を示し、その布陣を敷くという人事構想がそもそも欠落していた」(2日「主張」)と酷評した。
私とは意見の違うことが多い同紙だが、この指摘には感心した。政策は二の次で「人気の麻生氏」を選び、選挙に負けそうになるとまたまた首相を代えようとする自民党内の「麻生降ろし」の動きも同じようなものだろう。
小泉純一郎元首相は「人生いろいろ、選挙もいろいろ。自民党中心の政権が続いたのは異例で民主主義では野党になることがあってもいい」と若手議員らに語ったそうだ。およそ励ましにならないと思うが、私も「与党になったり野党になったりするのが当たり前という政治を」とずっと書き続けてきた一人だ。
そして「何をするのか」を責任持って書き込むのがマニフェスト。それを参考にどの政権がよいかを選ぶのは、あくまでも私たち国民=主権者なのである。(論説室)
毎日新聞 2009年7月9日 東京朝刊
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わたしは民俗学にちょっと興味があります。こういうお話には目をとめてしまいます。
また興味深い情報があったら紹介してくださいね。