新年早々、今さらという向きもあろうかと思いますが、話題の本について。
各地で悪評紛々、たしかに中身はスカスカですが、買って読んでみるといくつか興味深い項目がありました。
山崎元さんも「石原真理子=プット・オプション説」を開陳されておられますが、私はこの本の出版は『ふぞろいの林檎たち』の続編の芽を完全に潰したことに価値があったと思っています。数字が欲しいTBSと未練たらたらの番組プロデューサーに引導を渡したという意味で、石原真理子の功績は大きい。
私は「ふぞろいフリーク」といってもよいほど、この傑作ドラマが好きでしたが、それはパートⅠ・Ⅱに限ってのことです。パートⅢは見るに耐えない代物で、パートⅣに至っては論外です。(あれは長瀬智也&中谷美紀主演のドラマで、ふぞろいの名義を貸しただけの別物)
男子医学部生限定のお見合いパーティーから仲手川良雄(中井貴一)がつまみ出されるⅠと、地獄の新入社員研修シーンで幕を開けるⅡは、いずれも冒頭からエキサイティングで、観る者を引っ張ります。小林薫、佐々木すみ江、室田日出男といった脇を固める面々も素晴らしい。格差社会、学歴差別、嫁姑、不妊、高学歴ニート、上司のパワハラ等々、今日にも通じる普遍的なテーマを内包し、「ふぞろいの林檎たち」は山田太一の代表作というよりも、ドラマ史上に燦然と輝く不朽の名作でありました。
ところが、パートⅢは酷い出来でした。いっぱしの中堅俳優になった役者たちが、俺が俺がという感じで「熱演」してしまっていて、下手な小演劇の舞台を見せられているようでした。意味のない長まわしのセリフと、各人の「夢」のシーンはイタ過ぎて正視に耐えなかった記憶があります。当時も、役者陣が「ああやりたい、こうやりたい」となんか主張してんだろうなという舞台裏は想像できましたが、石原真理子は今回の著書で「続編ができない本当の理由」を暴露しています。ある俳優の我が儘が原因でパートⅤの構想が暗礁に乗り上げていて、プロデューサーや山田太一とも相当の確執があることを。この俳優というのは時任三郎のことを指しているのだといわれています。
時任三郎からすると、
①役への思い入れが非常に強い
②自らのブランドイメージを守る
といったところなのでしょうが、映画もTVドラマも、大物の役者が「え?え?え? 俺こんなことやるの?」と戸惑うくらいでなければ、絶対に面白いものはできません。山田太一はインタビューに答えて「仲手川や西寺(柳沢慎吾)はコンプレックス多き若き日の自分がかなり投影されている」と述懐しています。だからこそ多くの若者の共感を呼んだのです。事実、石原本でも仲手川を演じる中井貴一が風俗に行くシーンの撮影前にかなり鬱になっていたと書いてます。まあ、監督にやたら注文出したり、脚本を無理矢理書き換えさせるといった時点で、その作品は終わっているのです。すっかり王様になってしまった近年のキムタクドラマがつまらないのも同様の理由でしょう。
巡回していたら、あらすじまとめサイトを発見しました。「本日の佐々木すみ江ショー」が秀逸です。それにしても手塚理美は可愛かったなあ。
各地で悪評紛々、たしかに中身はスカスカですが、買って読んでみるといくつか興味深い項目がありました。
山崎元さんも「石原真理子=プット・オプション説」を開陳されておられますが、私はこの本の出版は『ふぞろいの林檎たち』の続編の芽を完全に潰したことに価値があったと思っています。数字が欲しいTBSと未練たらたらの番組プロデューサーに引導を渡したという意味で、石原真理子の功績は大きい。
私は「ふぞろいフリーク」といってもよいほど、この傑作ドラマが好きでしたが、それはパートⅠ・Ⅱに限ってのことです。パートⅢは見るに耐えない代物で、パートⅣに至っては論外です。(あれは長瀬智也&中谷美紀主演のドラマで、ふぞろいの名義を貸しただけの別物)
男子医学部生限定のお見合いパーティーから仲手川良雄(中井貴一)がつまみ出されるⅠと、地獄の新入社員研修シーンで幕を開けるⅡは、いずれも冒頭からエキサイティングで、観る者を引っ張ります。小林薫、佐々木すみ江、室田日出男といった脇を固める面々も素晴らしい。格差社会、学歴差別、嫁姑、不妊、高学歴ニート、上司のパワハラ等々、今日にも通じる普遍的なテーマを内包し、「ふぞろいの林檎たち」は山田太一の代表作というよりも、ドラマ史上に燦然と輝く不朽の名作でありました。
ところが、パートⅢは酷い出来でした。いっぱしの中堅俳優になった役者たちが、俺が俺がという感じで「熱演」してしまっていて、下手な小演劇の舞台を見せられているようでした。意味のない長まわしのセリフと、各人の「夢」のシーンはイタ過ぎて正視に耐えなかった記憶があります。当時も、役者陣が「ああやりたい、こうやりたい」となんか主張してんだろうなという舞台裏は想像できましたが、石原真理子は今回の著書で「続編ができない本当の理由」を暴露しています。ある俳優の我が儘が原因でパートⅤの構想が暗礁に乗り上げていて、プロデューサーや山田太一とも相当の確執があることを。この俳優というのは時任三郎のことを指しているのだといわれています。
時任三郎からすると、
①役への思い入れが非常に強い
②自らのブランドイメージを守る
といったところなのでしょうが、映画もTVドラマも、大物の役者が「え?え?え? 俺こんなことやるの?」と戸惑うくらいでなければ、絶対に面白いものはできません。山田太一はインタビューに答えて「仲手川や西寺(柳沢慎吾)はコンプレックス多き若き日の自分がかなり投影されている」と述懐しています。だからこそ多くの若者の共感を呼んだのです。事実、石原本でも仲手川を演じる中井貴一が風俗に行くシーンの撮影前にかなり鬱になっていたと書いてます。まあ、監督にやたら注文出したり、脚本を無理矢理書き換えさせるといった時点で、その作品は終わっているのです。すっかり王様になってしまった近年のキムタクドラマがつまらないのも同様の理由でしょう。
巡回していたら、あらすじまとめサイトを発見しました。「本日の佐々木すみ江ショー」が秀逸です。それにしても手塚理美は可愛かったなあ。
この本読んでいませんが、興味深いです。
女性からすると不快な本かもしれませんが、いささかの資料的価値はあるのではないかと思っております。
なのでこの記事は大変参考になりました。ありがとうございます。
なかなか、リアルですね!
「風俗に行くシーンの撮影前にかなり鬱」って・・
自分なんかオヤジなので、もう厚顔無恥ですが、二十代はそれなりに恥ずかしかったです・・
1年後にブックオフで100円で買う価値ありまつか?
まだビギナーですので、自転車の方もご教授ください。
>マルセルさん、ありがとうございます。
立ち読みで十分かと思います。
ドラマは古くて見てはいないがなんとなく伝わります。
手塚さとみ
聞くところでは手塚の娘さんは「母親」よりかわいいと評判。出てくるのを楽しみにしましょう。父親は誰だったかな。佐藤?