音次郎の夏炉冬扇

思ふこと考えること感じることを、徒然なるままに綴ります。

『男女7人秋物語』考

2007-04-15 06:24:06 | 映画・ドラマ・音楽
先週来、何故か無性に「男女7人」シリーズが観たくなって、通しで借りてきました。過去に何度も観ていたのですが、深層心理としては、今クールもつまらなそうなドラマばかり並んでいるなあと懐古に走ってしまったのかもしれません。でも、昔も糞ドラマはたくさんあったわけで、心に残るものは実はそれほど多くない。改めて見直してみて思うのは、『男女7人秋物語』は大変な名作で、極めて完成度が高いということ。驚いたと同時に、ちょっと考察してみたくなりました。いまさらという感じで、なんの時事性もありませんが、こういったどうでもいいことを語れるのもブログの良いところです。

私の見解では、夏物語は秋物語の序章にすぎず、いわば前夜祭です。(「秋」が重くて「夏」が好きだという方も沢山いらっしゃるでしょうが)本編は秋物語だといってよいと思います。よって「秋物語」を中心にみていきます。

【時代背景】
『男女7人秋物語』は1987年10~12月の放映、夏物語は前年の7~9月です。私は高校生でしたが、ちょうどこの時期はバブルが始まる前後です。87年10月といえば、ブラックマンデー(ニューヨーク株式市場で史上最大の株価大暴落)があったり、中曽根首相が後継に竹下登を指名したり、はたまた『ねるとん紅鯨団』がスタートした月でもあります。軽薄短小な80年代の爛熟期ですね。

【それまでのドラマ】
ホームドラマか学園ドラマしかなかったんですね。名作といわれる「金八」はもちろん、「ふぞろい」や「金妻」にしても、どちらかのカテゴリーに入ります。後は大映ドラマ系(「高校聖夫婦」「積木くずし」「スチュワーデス物語」「不良少女と呼ばれて」「スクールウオーズ」etc.)が一定の人気を博していました。しかし、大人の鑑賞に耐えうるようなものは少なかったのです。

【胎動】
制作会社テレパックの武敬子プロデューサーは、感動屋で天性のプロデューサーとして知られた人ですが、「自分が観たくなるようなドラマをつくりたい」という真っ当なコンセプトを持っていました。男女7人も『野々村病院物語』で組んで最も評価していた女優の夏目雅子が主役を務める構想でしたが、彼女が27歳の若さで夭折。練り直しを余儀なくされました。ドラマプロデューサーとしての嗅覚で、武氏が注目していたのは、お笑いの世界では既に人気絶頂だった明石家さんまでした。

【関西弁】
歌舞伎も好きだった武Pは、ラジオドラマ制作の経験もあり、役者は「一に声、二に顔、三に姿」というポリシーを持っていました。さんまの持つ関西弁のリズムに惹かれて、1年半先までびっちり埋まっていたスケジュールを押さえました。さんまの甲高い関西弁と、しのぶのポワーンとしたアルトの掛け合いの妙を、ある程度イメージしていたのです。一方で「金妻」でヒットを放った脚本家の鎌田敏夫は、70年代は「飛び出せ青春」シリーズなど青春ドラマの書き手でしたが、彼もまた自身作の「天皇の料理番」(80年・TBS)で端役のコックを演じたさんまを気に入っていました。

鎌田敏夫の証言
「それまでは、若い人の恋愛ドラマが全くなかったんだよね。ホームドラマの中で、誰かが恋愛してるっていうような、脇のひとつの要素にしか過ぎなかったんです。それと、関西弁の人が主役をやるドラマもなかった。僕は徳島出身なんだけど、徳島って基本的に関西弁なんですよ。関西弁ってしゃべり言葉でおもしろいから、いちど関西弁の人を主役にしてやってみたいとは思っていたんですよ。そんな時に武さんから「さんまさん主演のドラマを」っていう話をもらってね」

男女7人が画期的だと思うのは、若い独身社会人の恋愛模様であること、お笑いタレントが主演の連続ドラマということ以上に、この関西弁ということにポイントがあります。関西出身の方は昔も今も、東京に来ようと関西弁を隠さず、周囲のリアクションに臆することはありませんが、当時の受け手の間では、それを「お笑いの言葉」「がさつで厚かましい」といったキワモノイメージで捉える風潮が抜きがたく存在していたように思うのです。しかし、このドラマで、さんま演じる今井良介があまりに魅力的だったがゆえに、関西弁に対するイメージはガラリと変わりました。私自身、このドラマの熱が醒めやらぬ大学時代の合コンの席で、西日本出身者の妙な引きの強さを体感していますが、女性の関西弁に対するマインドシェアが確実に上昇したのですね。というより若い女性に好感を持たれるようになりました。その意味で、明石家さんまという人は奈良の生んだスーパースターという領域を超えて、偉人といってもよいかもしれません。余談ですが、私は「知らんがな」という良介(さんま)に「知らないこと言わないでよ!」と切り返した桃子(しのぶ)が好きですね。「知らんがな」にこんなに鮮やかに切り返したのは本邦初だと思います。(桃子は岐阜県出身という設定でしたが)

【キャスティング】
女優の中の女優である大竹しのぶは、プライベートでの不幸(夫の死)やそれまでシリアスな役どころが続いていたこともあり、「さんまさんに違う面を引き出してもらえるかもしれない」と直感して共演を受けました。ドラマの性格上、夏の池上季美子、秋の手塚理美といった正統派美人女優も配すことになります。ただ、さんま主演というのは冒険であり、一種の賭けだったのですね。今でこそ、お笑い芸人の連ドラ出演は当たり前ですが、当時はあまりなかった。スケジュールは過密だし、芸達者ではあるが芝居のスキルは未知数だとみられていたのです。だから、さんまを練達の俳優の中に一人放り込むのはリスクもありました。

そこで現在に戻り、このたびのレッドソックスの補強を思い出してみてください。松坂を獲得するにあたって、同時に岡島も獲っていますよね。これが重要なんです。松坂のキャラであれば、どこに行ってもうまくやるでしょうが、一人で入っていくのと、同じムラからもう一人一緒に行くのとでは全然違うように思います。言葉の問題もありますし、異国での同胞の存在は精神的にラクなんです。「男女7人」のキャスティングにおいても、武Pや鎌田氏が細心だったのは、ひょうきん族などで気脈を通じていた片岡鶴太郎を招聘したことです。役づくりには真面目な鶴太郎が、遅刻や欠勤常習者のさんまのフォロー役であり、よき媒介になったのです。さらに、夏には芸能レポーターだった小川みどり、秋は岩崎宏美という明らかにNGが多いであろう素人をわざと持ってきている。これはさんまのプレッシャー軽減策でもあるのです。「8時だよ全員集合」のコントをみるまでもなく、女性歌手とお笑いはそれまでも親和性が高いのですが、事実さんまは岩崎宏美とは昔から一緒にラジオ番組などをやっていて、気心が知れているだけに、ラブシーンで照れまくったと後に述懐しています。

【ストーリー】
周知なので、今さらなぞりませんが、非常によくできています。携帯電話がない時代ですから、終盤のすれ違いは時代を感じさせますが、それ以外は今観ても決して色褪せていません。なぜお互いの事情が筒抜けになるのかといえば、恋愛慣れしていない高木(山下真司)とひかる(岡安由美子)カップルのデートにおいて、情報漏洩するからなのですが、不器用な男女の初期のデートでの話題といったら、共通の知人の話しかありませんからリアリティーはあります。また、当時もなぜサラリーマンが夜な夜な18時に集まって遊べるのだという声はありましたが、高木については都庁体育課勤務の公務員だから不自然さはありません。ただ昔、再放送を友達と見ていて、良介が「今日も6時には終わるから」と桃子に電話するシーンで、激務の近畿日本ツーリスト勤務の兄を持つその友人は、「ありえない!」とTVに向かって突っ込んでいましたけどね。

【ロケーション】
積極的なロケの敢行も、このドラマの魅力の一つでした。最近、今クールの武田鉄矢主演のホームドラマ(夫婦道)に関する柳井満プロデューサーのインタビュー記事を読みました。氏は「なぜホームドラマ回帰かというと、スタジオでじっくり芝居をしたいという役者のニーズが高まってきているから。ロケ全盛だが、移動や天候待ちなどにどうしても時間をとられてしまう」と語っていました。そう考えると、超多忙のさんまを使って、よくあれだけのドラマを作れたものだと、改めて感心してしまいます。有名な清洲橋のシーン、隅田川、「秋物語」でいうと、第1話で男女6人が出会うシーンの仕立ても秀逸ですが、舞台は懐かしの川崎球場です。ロッテはサウスポー園川が投げ、西武のバッターは金森。伊東(現監督)も園川のスライダーに詰まってボテボテのサードゴロなど打っています。(もちろん外野席の方はロケで、エキストラ2千人を使って撮影したそうです)あとは川崎~木更津のフェリー、川崎チネチッタ、当時できたばかりの地下街アゼリアなど記憶に残るスポット満載です。屈指の名場面といわれ、TVドラマ掲示板など読むと、100回以上繰り返しこの場面を観ているフリークもいるとされる、第8話「妊娠」のラスト。京急大師線沿線で、新六郷橋手前の線路沿い、桃子が良介にすがりついて泣く場面、スタジオ撮影ではこの重要な局面転換シーンの味わいは得られないでしょうし、最近は電車といえば京王線(許可がとりやすいそうです)ばかりですから、この挑戦的ななロケは光ります。

(病院から出てきて)

良介「おい、どうやってん? 何とか言えよ。おめでたか、やっぱり・・・どうしたんや? 何や、違うかったんか? それは残念なことやったなあ。お前なあ、今度原因作った男に付いて来てもらえ。なあ、関係無い男になあ、産婦人科に付いて来てもらうなんて、聞いたことないぞ。」

桃子「・・・・・」(桃子はただ泣くばかり)

良介「どうしたんや? どないしたんや? こどもが出来ひんかったんがそんな悲しかったんか? 残念やったな。・・・どうしたんや? どうしたんや?」

桃子「あなたにさよならって言わないといけないと思ってたの。こどもが出来たらあなたにさよならって、永久にさよならって言わないといけないと思ってたの。そう思ったらたまらなかった。そう思ったら一人で病院行けなかった。(すがるように良介の服をつかみ)やだもん、あなたにさよなら言うなんて。永久にさよなら言うなんてやだもん。」

(桃子は良介の胸で泣き崩れ、良介もついには桃子を抱きしめてしまう)



それに空いているフェリーという舞台設定も絶妙ですね。仮にもし二人が小田急線の新宿で再会したとしても、その後満員の電車内で込み入った話など出来るわけがありません。フェリーのデッキで風に吹かれながら、二人の距離が再び徐々に縮まっていくわけです。

【女性と社会】
男女雇用機会均等法が成立したのは、このシリーズが始まる前年の1985年です。「男女7人」に女性達が強いシンパシーを感じたのは時代背景もあります。登場人物は皆、仕事をしている社会人です。それまでのドラマで女性が与えられていたのは「お母さん」であり「主婦」でした。金妻しかり「くれない族の反乱」にしてもそうです。常に家族の中に生きるというフレームがあったわけです。そして、その女性には貞淑性が求められていましたから、桃子のような自分勝手な女性はそれまでのドラマではタブーだったのです。でもよくよく考えると、片方の転勤や大学入学に伴う遠距離恋愛などは、速攻で瓦解するケースなど、昔も今もそれこそ枚挙にいとまがないわけで、アメリカで別の男とくっついちゃったからといって、桃子がそんなに「ものごっつう悪い女」と非難されるいわれはないと思うのですが・・・。まあ「夏物語」の羽田空港でのラストが鮮烈な印象を残したのと、前述の保守的なドラマコードゆえに、視聴者は「良介かわいそー」となってしまったのでしょう。

ほぼ同時期の大ベストセラーだった村上春樹の「ノルウエーの森」の主人公ワタナベ君にも共通するのですが、さんま演じる今井良介という男も、優柔不断というか、まあ優しいんですよね。例えば、フェリー木更津港の歩道橋での名シーン「どうしてあんなこと言ったのよ!」ですが、そもそもノンフィクションライターになる夢を掴むためにアメリカに行くというから送り出したのであって、「そういえばあれはどうなったんや?」と聞くのはしごく当然の成り行きだと思うのですが、逆ギレされてもなあ・・・。それでも良介は深刻な顔して考え込んでしまうのですね。普段は軽妙な話術で笑わせてくれて飽きさせない、自分の身勝手にも付き合ってくれる、仕事したいとか出張したいという希望も、結局は「しゃーないな」と受け入れてくれる・・・女性にとっては最高のパートナー、理想的な男なわけですよ。それまでのマッチョな男性像とは全く違い、強く時代性を感じさせるキャラクターです。そして、良介の方も、美樹(岩崎宏美)に別れ話をしに行く朝、出がけに貞九郎からこういわれます。

貞九郎「俺は美樹さんの方がいいと思うよ。美樹さんの方が良介のことを幸せにしてくれるような気がする」

良介「貞のいう通りやと思う。けどあんなにおもろい女は他におらんのや。一緒にいてあんなにおもろい女は世界で一人しかいてないのや」

と、良介と桃子のニーズは一致していたので良いのですが。

「面白い」という価値基準が男性を測る評価で、かなり上の方にあった時代です。

【音楽】
それまでも、ドラマの挿入歌というのはありましたが、テーマ曲のアレンジだったり、いかにもという効果音的なものが多かったような気がします。男女7人はそのシーンが思い出せなくても、シャカタクの軽快なフュージョンサウンドは耳に残っている人も多いと思います。なんでもないシーンでも、これがあると心が浮き立ってくるのですね。それからお約束の各話のラストシーンでかかるテーマ曲。ジャーンと「SHOW ME」のイントロで盛り上げるというやつですが、これはもちろん、その後のフジTVの大多亮にも影響を与え、「東京ラブストーリー」や「101回目のプロポーズ」などを経て、今ではドラマの定番となっています。

【コンビ】
恋愛ドラマ史上最高のコンビネーションと謳われたさんま&しのぶは、同じスタッフ(武P・生野慈郎演出)制作の映画「行こかもどろか」での共演を経て、実生活でも結婚してしまいました。ドラマとその後の展開が、あまりに劇的だったがゆえに、男女7人でアクターとしての無限の可能性を示したかにみえたさんまも、90年代中葉の日本テレビ「恋も2度目なら」(葉月理緒奈、佐藤浩市など)で復活するまで、ドラマ界からしばらく遠ざかることになります。バラエティーなどでドラマの話になると、「おれを使えっちゅーねん」とこぼしていた記憶がありますが、ちょっと使いずらかったのでしょうね、少なくとも大竹しのぶと暮らしている間は。それくらいのインパクトが、この名作ドラマにはあったということでしょう。

天才・大竹しのぶが凄かったから人気を博したドラマであり、コンビネーションだったと思います。その後、武Pが企画した『その気になるまで』(96年・TBS)という「10年後の良介」というモチーフで設定を変えたドラマがありましたが、さんまの良さが全く出ていないつまらないものでした。同じスタッフで、手塚理美なども共演しているのですが・・・。スタッフと役者の情熱が昇華した最高のコラボレーションは、その時その時点かぎりなのでしょうね。


その後、若い男女のグループがくっついたり離れたりというドラマが、雨後の竹の子の如く再生産されましたが、「男女7人」がその元祖であり、トレンディードラマ時代の到来を告げる高らかな号砲だったのは間違いありません。


私がはまってビデオを見ている最中に、後ろから息子が一言

「なんで明石家さんまがこんな顔してんの?」

と、ここで締めようと思って、朝刊を手にしたら、今晩21時からスタートする日曜劇場「冗談じゃない!」が何だか面白そうですね。

「40男の高村圭太(織田裕二)は、20歳年下の絵恋(上野樹里)と結婚した。ところが、結婚を境に彼の運命は一変してしまう。新妻の母親、広瀬理衣(大竹しのぶ)は昔の恋人だったのだ・・・」

大竹しのぶと織田裕二ですか、他の役者であれば荒唐無稽な設定ゆえに酷いものになるのでしょうが、この二人なら観てみようかという気にさせますね。




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6 コメント

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Unknown (ケイジ)
2007-04-16 20:20:25
恋も愛も全く知らなかった当時の僕でしたが、
男女7人は面白かったね。
ただ、個人的には岩崎宏美の敬礼シーンだけは×でした。

そうそう、岡安由美子の大ファンだった野球部田上は今、娘の担任です。

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あれは (音次郎)
2007-04-21 13:10:00
>ケイジさん、毎度です。
たしかに敬礼シーンはクサかったですね。
若い女の子にこのドラマの感想を聞くと、美樹(岩崎宏美)がウザすぎるとのことです。「私はあなたとは別れない!」って叫んだり、友人と二人で別れた男の部屋に押し掛けたり、「ありえない」んだそうです。一理あるかも。
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