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横塚晃一「母よ!殺すな」

2018-09-29 | 政治・社会


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 先日買った本を読み終えた.横塚晃一・著『母よ!殺すな』.

 脳性マヒ者として生きる著者が,社会を構成する大多数である健常者,およびそこに介在する障害者差別へ種々の疑問を投げかける書簡集.その文章に一貫するのは,健常者・障害者間の理解というものはあり得ず,互いの主張をぶつけ合うなかで,自分たちが相手に「どう見えているか」を確認し自覚するところから,然るべき関係性は始められるとする,徹底した「抵抗路線」である.もちろん,障害者運動とは,当時から現在にいたるまで,そのあり方を模索する大きな混乱状態にあるのであり,横塚氏の論調もところどころでやや煽動的にすぎたり,焦点の定まらない感じがないではない.しかし,安易な解決は自身の目指すところではなく,問題提起に専念することが本意であり,また「青い芝」のポリシーなのだとも言う.いっぽう,親による障害児殺しや,もしくは障害のある胎児の中絶をめぐっては,「殺される側」からの,簡明かつ合理的な批判を行なっており,その説得力は圧倒的である.とくに後者については,このごろも茨城県の教育委が障害児の産前排除を口にして物議を呼んだことは記憶に新しく,その露骨な選民思想に直感として嫌悪しながらも,じゅうぶんに反論する言葉を私たち大衆とマスメディアは持たなかったように思われ,障害者の生存権は依然脅かされ続けていることに,改めて暗然とするのである.



横塚晃一:『母よ!殺すな』
生活書院,2007,
ISBN 978-4-903690-14-8

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