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石丸幹二他「兵士の物語2018」

2018-10-04 | 音楽 - ストラヴィンスキー
 夜,大垣市民会館にて行なわれた,石丸幹二ら出演の『兵士の物語 2018』を観た.全体として,ラミューズの台本からいったん離れて,ありふれたファンタジックなおとぎ話の一つとして再構成した,現代人向け「兵士」であるが,そのあまりに丁寧なシーンの作り方が説明的にすぎる印象.舞台装置と衣裳はえらく豪華で,俳優の人数も多い.そうして細部までじっくりと描くストーリーの展開が,一通りの見方しか許さぬようで押し付けがましく,そのスピード感としても,とかく間延びして鈍重であった.また,悪魔はあんなにグロテスクな出立ちで現れる必要があっただろうか?悪魔は,怖い格好をしているから怖いのではなく,いつでも平凡で善良な人間を装ってさりげなく接近し誘惑してくるからこそ,怖いのではないのか.今日のステージを眺めながら,この音楽劇は,少人数で素朴に演じられて初めて,その不条理さとワケの分からなさが際立って面白いのだということに,却って気付くことになった.前口上での無関係なドンチャン騒ぎも品がなく,心底退屈だった.
 いっぽう,主役たちの「音楽的分身」でもある楽隊はといえば,コルネットに僅かなミスが出た以外は,正確な演奏とアンサンブルに安定していた.何より,全編に亘りフォルテとそれ以上の強奏しかないのではないかというようなパワフルな音響が,電子増幅を通した俳優たちの演技やせりふをもかき消さんばかりに,広すぎるホールの隅々にまで音楽を行き渡らせてやろうという率直な意志に満ちており,まさに劇伴バンドの真骨頂を見せられた思いがした.

 それにしても,会場である大垣市民会館は,敷地内に歩行者のための通路がまったく存在せず,公共交通機関として唯一のアクセス手段である路線バスも,ホール前まで乗り入れながら来場一般の車輌に入り混じって,客を乗せたまま立ち往生するなど,いかにも旧態依然の公立施設といったふう.できればもう二度と行きたくない.


兵士の物語 2018
【出演者】石丸幹二 (語り手),首藤康之 (兵士),渡辺理恵 (王女),串田和美 (悪魔) ほか
【演奏者】郷古廉 (ヴァイオリン),谷口拓史 (コントラバス),カルメン・イゾ (クラリネット),長哲也 (ファゴット),多田将太郎 (トランペット),三田博基 (トロンボーン),大場章裕 (パーカッション)
【日時】2018.10.4 19:00-
【会場】大垣市民会館 大ホール
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