ケニチのブログ

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「とか」という表現

2009-01-30 | 日本語・言葉
 奇妙な日本語は数多なれども,この頃僕がどうにも我慢ならない言葉に,「とか」というのがある.昨今の日本語の乱れの一つのに,「曖昧化」があるが,その極みを見るような例なのである.

 「○○とか××とかそういった物が僕は好きだ」
 というのが,「とか」の適切な用い方である.何か同族の物が複数あって,それらを列挙する際に用いられる語である.勿論,「そういった物」「etc.」のような曖昧なニュアンスも持っている.

 まずこれは本題ではないが,少し古くから言われている「とか」の悪い使い方に次のものがある.


「会議とかしますか?」


 「会議をしますか」と言うべきところを,「とか」を使って曖昧にする.この言い方は多分,1990年代になってからの時期に出てきた.
 絶対に許すわけにいかない表現ではあるが,以下のやり取りをパターン見てみよう.

その1
A:会議をしますか?
B:はぁ,しません.

その2
A:会議とか,しますか?
B:会議はしないけれど,ちょっとリーダーには聞いてみるよ.

 「とか」を入れると,相手が気を利かしてくれるかもしれない.流行の「曖昧化」の目的は,ただそれだけなのだ.
 この時,「とか」という言葉を入れることで,話し手は「別に会議じゃなくってもいいんだよ.とにかく,会議か,そうでなければ会議のようなものをやるかを聞きたいんだ.やるべきが会議であるかどうかというニュアンスではないんだ」という含みを持たせるのだ.「会議」という言葉を発したことに,責任は持たないよ,という,この割に合わない社会から我が身を護る「護身術」なのだ.

 さて,やっと本題.最近は,上述のものとはまた一味違った「とか」が登場した.
 例えば,次のようなやり取り.


A:最近俺は女より男に興味があるんだ.
B:えっ・・男とかやめておけよ.


 この時発せられた「とか」という語は,一体何を列挙しようとしてやめたのか?世の中に,男の他には女しかないのだから,「男も女もやめておけ」と言いたかったに違いない?!そうではない,ただ「男はやめておけ」という意味なのである.
 上述の「会議とか」のような実用性はない.だって,そもそも「男」というキーワードの全責任は,その言葉を最初に発したAにあるのであり,それを受けて返事をしたところのBが「護身術」を使う意味がないのだ.

 結論,この理解しがたい「とか」という語は,無意味に発音されているわけだ.こうなると,「とか」という言葉の存在が,この先そうは長くはないかもしれない.

 なお,僕は日頃この言い回しを使われると,イヤミ本気との半分半分で,「とか・・?」と聞き返すようにしている.

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