2306 作者未詳 2012-04-25 | 巻十 秋相聞 四具礼零 暁月夜 紐不解 戀君跡 居益物 しぐれ降る 暁月夜(あかときづくよ) 紐解かず 恋ふらむ君と 居らましものを 「しぐれが降る、あかつき前の月夜。(でも)紐を解かずにいて。愛するあなたが、そばにいないから」
2305 作者未詳 2012-04-24 | 巻十 秋相聞 問答 旅尚 襟解物乎 事繁三 丸宿吾為 長此夜 旅にすら 紐解くものを 言繁み まろ寝ぞ我がする 長きこの夜を 問答 「旅先ですら、紐を解いて抱き合うものを、(周囲の)噂が気になるからと、衣服を着たまま寝ているよ。長いこの夜も」
2304 作者未詳 2012-04-23 | 巻十 秋相聞 寄衣 秋都葉尓 々寶敝流衣 吾者不服 於君奉者 夜毛著金 秋つ葉に にほへる衣 我(あ)れは着じ 君に奉(まつ)らば 夜も着るがね 衣に寄せる 「秋の色づいた葉に、匂える衣は、わたしは着ません。あなたに差し上げたら、(寒い)夜には身に着けてくださるかしら」
2303 作者未詳 2012-04-22 | 巻十 秋相聞 秋夜乎 長跡雖言 積西 戀盡者 短有家里 秋の夜を 長しと言へど 積もりにし 恋を尽せば 短くありけり 「秋の夜は、長いと言うが、積もり積もった、恋をし尽くせば、(秋の夜もとても)短いことだ」
2302 作者未詳 2012-04-21 | 巻十 秋相聞 或者之 痛情無跡 将念 秋之長夜乎 寤臥耳 ある人の あな心なと 思ふらむ 秋の長夜を 寝覚(ねざ)め臥(ふ)すのみ 「ある人によっては、心に穴があいたようだと、思うだろう。(私も)秋の夜長に、眠りから覚めてまんじりともせず横になっている」