万葉集ブログ・2 まんえふしふ 巻九~巻十

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1971 作者未詳

2011-05-26 | 巻十 夏雑歌
雨間開而 國見毛将為乎 故郷之 花橘者 散家武可聞

雨間明(ままあ)けて 国見もせむを 故郷の 花橘は 散りにけむかも


「晴間が見えたので、国見をすれば(思い出す)。古里(に咲く)、タチバナの花は、(もう)散ってしまったのだろうか」

●国見:天皇や地方の長(おさ)が高所に登り、国の地勢、景色や人民の生活状態を望み見ること

1970 作者未詳

2011-05-25 | 巻十 夏雑歌
見渡者 向野邊乃 石竹之 落巻惜毛 雨莫零行年

見わたせば 向(むか)ひの野辺(のへ)の なでしこの 散らまく惜しも 雨な降りそね


「見わたせば、向かいの野原の、ナデシコ(の花)が、散ってしまうのが残念だ。(どうか)雨よ降らないで(おくれ)」

1969 作者未詳

2011-05-24 | 巻十 夏雑歌
吾屋前之 花橘者 落尓家里 悔時尓 相在君鴨

我が宿の 花橘は 散りにけり 悔しき時に 逢へる君かも


「我が家の、タチバナの花が、散ってゆきます。残念な時にこそ、会える(のは)あなた(だけ)です」

1968 作者未詳

2011-05-23 | 巻十 夏雑歌
霍公鳥 来鳴響 橘之 花散庭乎 将見人八孰

霍公鳥 来鳴き響(とよ)もす 橘の 花散る庭を 見む人や誰(た)れ


「ホトトギスが、(自宅の庭に飛んで)来て鳴き(声を)響かせます。タチバナの、花が散る庭を、見ている人は誰でしょうか」

1967 作者未詳

2011-05-22 | 巻十 夏雑歌
香細寸 花橘乎 玉貫 将送妹者 三礼而毛有香

かぐはしき 花橘を 玉に貫き 贈らむ妹は みつれてもあるか


「香りがよい、タチバナの花を、(薬)玉にして(緒を)貫いたそれを、プレゼントした妻は、疲れはてていたよ(早く元気になってほしい)」