映画のせかい

私が最近見た映画 ※ネタバレあり

人間の証明 #173

2005-01-12 | な行映画
1977年 日本 132分 角川映画第2弾

母さん、僕の麦わら帽子 どうしたんだろう という西条八十の詩から松田優作が犯人に迫る。

・大金を手に入れ、N.Yの黒人街を抜け出した男が日本でストウハという言葉を残し、ナイフで殺された。
・その日は有名デザイナーのショーが開催されていたが、その帰り、デザイナーの息子は女性を轢いてしまい、死体を海に投げ捨てる。
・事件を追う捜査斑の棟居はかつて戦後のどさくさに父親を米兵に殺された過去を持つ。

黒人-有名デザイナー-棟居刑事-ニューヨーク市誓の刑事ケン・シュフタン、と登場人物がそれぞれ交錯していく。そんな偶然があるか?!とは思うが、そこが面白いところでもある。その前に最初の衝撃は、息子から人を殺して海に捨てたと告げられたときの母親の対応である。自首して罪を償うよりも罪を背負ったまま生き抜くことがあなたの人としての証明だ、と言い切ってしまう。おいおい!そんなばかな!しかもN.Yへ逃がされた息子は女連れで、反省の色も無い。

しかし、この母親の言葉が物語が進むにしたがって現実味を増してくるからびっくりである。この先はどう書いても推理部分に当てはまってしまうので、これから見ようとしている方は読まないでください。

そもそもの始まりは戦後の闇市で、数人の米兵が日中大勢の前で女性を強姦しようとしたことから始まる。彼らを止めた棟居の父親は暴行を受けた傷が元で死亡、以来棟居はトラウマを背負って生きている。目の前で起こっている悪に対し、なにもしないで見ているだけの人々をも憎しみの対象としているかのようである。その女性こそ有名デザイナー役の岡田茉莉子であり、暴行した米兵の一人がケン・シュフタンであった。さらにここまでくるとベタだが、殺された黒人の母親もまた彼女である。戦後だとこういうこともあったのだろうか?

こうした不幸な過去を持つ人間たちが生きていこうとする姿を描くだけに、ラストは個人的には残念だったと思う。なんとしても生きぬかなくちゃ!

Mama do you remenber?というジョー山中(冒頭で殺される黒人男性を演じている)の主題歌もヒットした。

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