映画のせかい

私が最近見た映画 ※ネタバレあり

アラビアのロレンス 完全版 #235

2005-02-28 | あ行の映画
1962年 アメリカ・イギリス 228分 アカデミー賞

トマス・エドワード・ロレンスはアラビアの情勢に詳しくアラビアに同調していた考古学者である。オスマン・トルコの支配下にあったアラビア半島で、トルコと戦っていたイギリスが、イギリス陸軍情報部員としてロレンスをアラビアに派遣し、反乱を支援した。時は第1次世界大戦が始まって2年目の1916年のことだ。

ロレンスがいかにしてアラブの人々の信用を勝ち得たか、いくつかのポイントがある。
アラビアのロレンスに見る交渉術
1砂漠を案内するハリス族の男が水を飲まないときは自分も飲まず、着いてから渡す予定の拳銃を先に渡し、男の服従を強めた。
2訓練が必要だと主張する英軍のブライトン大佐を横目に、ロレンスはまずムーランの言葉を復唱し、ムーランの教えは正しいと言ってのけた。祖国を背く行為にも見えたが、相手の信頼を勝ち得ることに成功。
3有名なシーンだが、ラクダから落ちた仲間を助けるために、ロレンスは単身今来た道を逆戻りする。彼は死ぬ運命だ、と言う将校に運命なんてないと言い切る。
4ラクダの上で居眠りしていたロレンスは、それを指摘され、最初は考え事をしていたと誤魔化すがすぐに認め、二度としないと言う。同様に攻略したアカバにお金が無いとわかったらすぐにイギリスから手配するように行動した。自らに落ち度があるときはもみ消そうとせずに行動で挽回する、という実直さを表している。

このように、映画の中では「砂漠の英雄」として描かれているが、実際には典型的な二重スパイでアカバ攻略も彼の仕事ではないという説まである。当時のイギリスは「三枚舌外交」とまで言われているが、真相はロレンスのバイク事故(冒頭のシーン)とともに葬られている。

アカバ攻略まではグイグイ引っ張られて面白かった。後半ちょっとだれてしまったかな。でも名作!

フォレスト・ガンプ/一期一会 #234

2005-02-27 | は行映画
1994年 アメリカ 142分 アカデミー賞

すごい!小学生の妄想なみのストーリー!なぜこんなに感動するのだろう?!笑いと愛と正直さを随所にちりばめて同時にアメリカの現代史を追いながら、フォレストガンプの人生を描く。

フォレストガンプという名前の青年がバス停のベンチに座って隣の女性に語りかける所から始まる。子供の頃知能指数が人より低く、背骨が曲がっているため、金属の補正具付きの靴を履いていた。小学校のバスの中、誰も席を空けてくれなかったが、唯一隣に座らせてくれた少女ジェニーとは、「豆と人参」のように毎日くっついて暮らすようになる。ある日いじめっ子に追いかけられたフォレストに奇跡が起き、装具が外れ走れるようになった。誰よりも早く走るフォレストはフットボールの選手になり大学を卒業した。ベトナム戦争に赴き、そこでもバスで隣に座ったババと親友になった。戦地でダン中尉を助けるがババは死んでしまう。両脚を失ったダン中尉は戦死する運命を変えたとフォレストに怒鳴る。戦争のヒーローとなったフォレストはキャンプで覚えた卓球が上手く、中国へ遠征する。CMに出て巨額の出演料を手にした彼はババとの約束を守りエビ漁船を買う。そこには一等航海士になったダン中尉がいた。2人は試練を乗り越えババガンプシュリンプという会社を設立、フォレストは社長になる。必要以上のお金は要らない、とフォレストはババの両親に収益の半分を渡す。自立したフォレストの前にジェニーが現れる。

・・・というストーリーは多分読んでもなんのこっちゃわからないだろうと思う。フォレストはこの所々でアメリカのスターと共演する。子供の頃家に来たギター弾きのお兄さん=エルビスプレスリー。ケネディ大統領、ジョンレノン、ドクターペッパーの経営者、もちろん合成してるんだけど、まるでフォレストガンプが実在したかのような錯覚に陥る。

そして幼馴染のジェニーとの恋の物語は、ジェニーが女子大に行き、シンガーを目指し、反戦運動にはまっても続いていく。フォレストの心にはいつもジェニーがいる。

ママ、ジェニー、ババ、ダン中尉、フォレストの出会った人たちとの出会いと別れ、一期一会という邦題も最初はベタかなと思ってたが、改めて心に染みている。

allcinemaフォレストガンプへ

恋に落ちたシェイクスピア #233

2005-02-26 | か行の映画
1998年 アメリカ 123分 アカデミー賞

「ロミオとジュリエット」のモデルはシェイクスピアだった!?という発想で、1953年のロンドンを舞台にシェイクスピアが活躍する。

キーとなっているのは、女性は舞台に立ってはいけない、という不文律。役者願望のある美人ヴァイオラ(グウィネス・パルトロウ)が舞台に立ちたいばかりに男装して登場、たちまち事情を知ったシェイクスピアの心を掴んでしまう。二人はすぐに結ばれるが、ヴァイオラには婚約者がいた。2人の恋は許されない、結ばれない恋となってしまうのか??

この辺の時代の映画作るのってお金かかりそう、だって衣装が豪華!俳優さんも着替えが大変だろうなー。男装するヴァイオラをお付のおばちゃんが、着替えさせていくのだけど、実際の撮影シーンもこんな感じだったんだろうなあ。

で、話は単純で、2つの劇場があって、一つは順調だけど、もう一つの劇場は借金まみれになっててシェイクスピアの新作に全てを賭けてたわけだけど、肝心のシェイクスピアが不調。そこへ現れた美しい女性との恋を実際の演劇に描くことで、ヒット作品が生まれる!ってな感じ。作中劇の「ロミオと~」は実際に生で見ているような臨場感、女性役の男優が急にのどを痛めて女性の声が出ず、客席にいたヴァイオラが急遽ジュリエット役で出演する。その素晴らしい演劇に劇場は大歓声!「女王陛下の名の下に、女性をキャストで使ったことを罰する」、と息巻く警官たちが取り締まるが、勝手に私の名前を使って!と本人が登場し、その場をなだめる大団円である。でも二人の恋は・・・。

セリフのなかにシェイクスピア作品からのセリフがちりばめられている。

クレイマー、クレイマー #232

2005-02-25 | か行の映画
1979年 アメリカ 105分 アカデミー賞

ある日妻が出て行った。残された7歳の子供と父親の生活が始まる。バリバリのキャリアを持つ父だったが、子育てと仕事の両立は困難で、遅刻などのミスが目立ち始め、ついにはクビになってしまう。そこへ現れた妻は子供を引き取りたいと言い始める。やっと子供に愛情を感じ始めた父は裁判で争うことを決意する。

離婚親権をテーマにしたドロドロした元夫婦間の争いを描いているが、二人の争うシーンが少なく浮気なし、暴力なしの離婚であったためかどぎつい感じはあまりない。むしろ父と息子の心温まる交流がうまく描かれて爽やかな感じである。妻が出て行くまではほとんど仕事一筋だった父が、最初は仕事の書類にジュースをかけられて怒ってばかりだったのが、だんだんと変わってくる。中でもお遊戯会でセリフを忘れた子供に客席から語りかけるシーンは印象的だった。むかーし見た記憶では公園で遊具から落ちて怪我する所しか覚えてなかったのだが。最初ぐちゃぐちゃのフレンチトーストしかできなかった(これがまた乱暴な作り方で笑えてしまう)朝食も最後の方は手際良く2人の共同作業でできるようになっている。裁判で隣人の婦人が語るよう、「今の父子を見たら考えが変わる」ような2人になっている。

ラストもホッとさせられてよかったよかったと胸をなでおろす作品。ダスティン・ホフマンとメリル・ストリープ、作品賞も含めてアカデミー賞を総なめにした。

スティング #231

2005-02-24 | さ行の映画
1973年 アメリカ 130分 アカデミー賞

誰もが耳にしたことがあるだろう軽快な音楽「エンターテイナー」で始まるこの映画、ちょっと重めの音楽にしたらまた違った印象になっただろうが、やっぱりあの名曲あっての名作だなあと改めて思った。

舞台は1930年代のシカゴ。シカゴといえば数々のギャング映画が作られたが、ここでもやっぱり豪快にやってくれてる。「明日に向って撃て!」の名コンビ、ロバート・レッドフォードとポール・ニューマンが復讐に大仕掛けで挑む。

列車の中でのポーカー勝負も凄かったけど、WINSをまるごと作って架空の競馬中継し、観客はみんなサクラなんて、ダイナミックな設定!情報をラジオに頼っていた当時ならではで、勿論今じゃ無理な話だけれども、そこがまた古きよき時代の風景と共に心地よい風を運んでくるんだよねー。

騙される方のロネガン役のロバート・ショウも大迫力、そりゃー、アルカポネほどじゃないだろうが、見事な悪役っぷりアーンド騙されっぷり!情報屋の社長役の人のすっ呆けもよかった。そして何より ロバート・レッドフォードはカッコいい(ミーハー的)し、ポール・ニューマンも格好良い(玄人的)!こーゆー人たちが闊歩する街角って、毎日退屈しないんだろうなあ。・・・でも住んでみたくないけど。それにしても、まさかあの人たちまでそうだったなんて・・・。ラストは騙されましたよ。心地よい悔しさをどうぞ。


アカデミー賞

2005-02-23 | Weblog
今週末はアカデミー賞ですね。新作映画には見向きもしない(映画館レビューは今までたったの3本!)私ですが、せっかく映画のblogを書いていますし、この話題にも触れておきます。

ノミネート作品はまだ日本未公開なのでどれが良いかはわかりませんが、なんで、これが~!とか、この作品よりこっちのほうが、とか賞にはつき物ですよね。特に個人賞はいろいろな思惑が交錯していることでしょう。

明日からは今までのアカデミー作品賞に輝いた映画を何本か続けてUPしていきたいと思います。

メリーに首ったけ #230

2005-02-23 | ま行映画
1998年 アメリカ 119分 There's Something About Mary

13年間メリー(キャメロン・ディアス)に片思いする男(ベン・スティラー)と、メリーに恋する4人の男たち(探偵役のマット・ディロン、建築家のリー・エパンス)を描くコメディ。監督のファレリー兄弟得意のお下品ネタも飛ばしまくりで、フェチ、動物虐待、障害者を題材にやりたい放題だ。

おバカなギャグが満載。個人的に笑ったシーンは以下。
・犬をてなづけようとして睡眠薬を飲ませ、死にそうになるところを電気ショックで蘇生させようとしたら火がついちゃって大変なことに。
・物語の随所で流れる歌はその場で2人組が歌ってるんだけど、この2人がグッドです。一人はまんま映画の音楽担当のお方。最後のオチは最高。
・アレをチャックにはさむだけでしつこいくらい引っ張る。引っ張りすぎ(笑)。


なんと言ってもキャメロン・ディアスの魅力がいっぱい。ちょっとセクシーなシーンも満載。この人ほどコメディからサスペンス、アクションまで幅広く活動してる人も珍しいのでは。他の作品では崩れてる役があったりするので、中でもコメディ路線はストレートに彼女の魅力が出てきていいと思う。

ベン・スティラーもコメディアンがよくやる役がきっちりはまってた。

クリープゾーン 洗脳モルモット #229

2005-02-22 | か行の映画
2003年 アメリカ 88分

TVムービークリープゾーンシリーズの3作目。知らぬ間に政府により洗脳され実験台になった男を描くサスペンス。

平凡なビジネスマンのランスのオフィスに男が侵入、ランスを殺そうとするが未遂に終わり、男は殺害される。その日からなぜかランスの頭に声が聞こえてくる。「妻を殺せ!」と。。。
声に従い、妻を殺そうとするランス。はっと目が覚める。夢なのか現実なのか、何かが狂い始める。

そこへランスを殺そうとした男からビデオレターが届く。そこには恐るべき事実が隠されていた。

・・・
CIAや政府が絡んだ洗脳作戦に挑んでいくランス。なんとか洗脳を逃れるのだが、モルモットはランスだけではない、その数は増えていく。という後味の悪いラストだった。実験の結果ランスは妻を殺してしまうのだが、これにはぶっ飛びの展開が待っている。

政府が悪を市民に仕掛けるというのは怖い。まさかありえないんだけど、もしあったら誰も気付かないだろう。言い換えればなにかしたければ政府を動かせばよいということだ。う~ん、怖いですね。

クリープゾーンシリーズ
クリープゾーン 聖剣伝説
クリープゾーン エイリアン急襲
クリープゾーン 洗脳モルモット
クリープゾーン 恐怖のウイルス

アンダーカバー・ブラザー #228

2005-02-21 | あ行の映画
2002年 アメリカ 86分

くだらない映画でも見たいなーと思って選んだ作品。う~ん、期待通り!良いですねー。アフロヘアでラッパズボン(って今は言わないか)インパクト勝負?の主人公は、実は007を意識してパロってるみたいだけど、気付かんかった・・・^^;靴が伸びて2階へ逃げたり、ズボンがパラシュートになったり、スパイグッズ(っぽいもの)が出てきたり、巨大な敵ザ・マンと戦う構図はやっぱりそうなのかな。ワールド・イズ・ノット・イナフに出てたデニス・リチャーズがヒロインだし。

で、デニス・リチャーズと、アウンジャーヌ・エリスの格闘シーンはいつの間にかお色気シーンになってて、他の敵と戦ってたアンダーカバー・ブラザーもいつの間にか敵とカウチポテトしながら観賞してたのに笑ってしまった。この主役の人(エディ・グリフィン)ジョンQで最後にジョンQの身代わりに逮捕される人質のアヤシイ人じゃないですか。がんばってるかー?

本人役で出演のジェームスブラウンが運転手に話しかける所は、これまた本人役で出演したタキシードのパロディかな。ジミーと話しかけてた。敵のザ・マンのM字型の島とか最後戦うマークとか、なんだか無駄にお金をかけてるような気も・・・。

パロディシーンをあまり見つけられなかったのが悔いが残るが、ま、そもそもそんなに期待して見てなかったもので・・・。

おバカ映画リスト
ゾルタン☆星人
ズーランダー

鳥 #227

2005-02-20 | た行映画
1963年 アメリカ 120分 ヒッチコック

鳥。鳥鳥鳥。鳥が襲ってくる。鳥の視線で描かれることは無く(1シーン上空から地上を映したシーンがあったが)、なぜ人を襲うのか最後までわからない。そもそもパニック映画というのは何かしらの原因があるというのが道理ってモノでは?なんかやらかしてパニックになって、ああやっぱり自然破壊はいかんとか、そういうメッセージで終わる。そうして欲しかったぞ。無いと余計怖い。

主人公のティッピー・ヘドレンが小鳥屋であった男にこっそり鳥を届けに行く、ただそれだけなのに、彼女を鳥が襲う。はじめは一羽。そして家を襲ってきて・・。町の人々はあなたが来てからおかしくなったと彼女を責める。そりゃそうかもしれない。でも、理由は多分ない。

締め切った家のドアを鳥たちが襲い、穴が開くところはシャイニングのシーンを思い出す。電話ボックスへ鳥が体当たりしてガラスにヒビが入ったり、車のフロントガラスに集る鳥にクラクションを鳴らしてみる所はパニックの中にも主人公は死なない・・よね?と祈るような気持ちで見る。そして無造作に置かれた鳥に襲われた跡・・死体。

鳥の襲撃シーンは時間配分としてはそんなに長くないし、それよりも人間関係に重点が置かれ、しっかり描かれてるんだけど、やっぱり鳥しか覚えてない。