映画のせかい

私が最近見た映画 ※ネタバレあり

アナライズ・ユー #43

2004-09-30 | あ行の映画
2002年 アメリカ 96分

ここまで患者のことを考えてくれるお医者さんに出会えるといいな、というのが感想である。二人の間にどうやって友情が芽生えたのかは、前作「アナライズ・ミー」を参照しなければならないのであろうが、本編では刑務所で詐病するデニーロを診断し、社会復帰の際の保護監査役となってしまったコメディアンのビリー・クリスタル扮する精神科医ベンにスポットが当たっている。このベン医師、集まってくる人に恵まれないようで、あまりよろしくなさそうな交友関係が多々ある。気弱で断れないためか、ついつい責任を負ってしまい、家族の団欒は邪魔されるは、覆面を被って泥棒の一派になってしまうは、挙句の果てはヤクザをノックアウトして・・・。

デニーロのマフィアのボス役は相変わらずで、口汚いセールスマンとなったり、居候の部屋に娼婦を呼んだり、やりたい放題である。下品なトークはイマイチ笑えなかったが、日本語訳が難しいせい?何ゆえウェストサイドストーリーなのかわからない私はまだ若気の至りか??3作目もありそうななさそうな・・・。エンドロールのNG集が一番面白かったような・・・。

ザ・コア $42

2004-09-29 | さ行の映画
2003年 アメリカ 134分

地球の中身がどんな風になっているか想像したことがあるだろうか?昔つのだじろうの恐怖漫画では地球の中は空洞化していて真ん中に地中太陽があって、地表面を地面にして生活している人々がいるという説があった。しかも地表とは北極と南極で繋がっている。。。

というような荒唐無稽な話もあるほど想像力を刺激されるわけだが、宇宙が舞台の映画は数多いが、地底しかも地球の真ん中を目指すというのはありそうであまりないのではなかろうか?

ある日地球の電磁波が狂い始め、ペースメーカー使用者の突然死、鳥は錯乱し、スペースシャトルの計器が狂いだした。このままいけば人類滅亡への道を辿ることになる。これを阻止するためには地球の核(コア)を動かすしかない。*
折しも地球の物質を溶かして進むことのできる地底船の開発により* 核爆弾を乗せ6名が地下1800マイルへ旅立つ。

というストーリーである。*のところには心のツッコミが入るのだが、どこまでが科学的に論証できるのかはさっぱりわからない。細かくは気にしないとして、コアにたどり着くまでに波乱万丈のドラマが繰り広げられるのは一見の価値がある。何しろ誰も見たことのない地底の旅である。何もない空間に突入すると、水晶状に突き刺さっている金属にぶつかってしまう。まるで宇宙のような幻想的なシーンだが、空間の傷からマグマが流れ込み、1名死傷。ダイヤモンドにぶつかって後尾を切り離すシーンではデータを守ろうとした乗組員が取り残されてしまい、そのまま地中の藻屑に。とハラハラドキドキの展開が続く。閉鎖空間でのパニックは「エイリアン」を思い出させ、地球を救うために戦うのは「アルマゲドン」さながらの退屈しない展開である。

中でも随所に見られる「プロの仕事」が良かった。船体を焼き切るバーナーの酸素が出ずに自分の酸素ボンベを使用する男、犠牲者よりも使命を全うすることを選ぶ女、自ら自爆を選ぶ男・・・。地底船の中の6人の友情やぶつかり合いも面白いが、地上でネット操作をするハッカーの男やあくまでも正義を貫くオペレーターの女など、見事なプロ意識である。

これを機に地底ブームなんて起こらないだろうかな?


予告編動画あり。
goo映画ザ・コア

永遠のマリアカラス #41

2004-09-28 | あ行の映画
2002年 イタリア/フランス/イギリス/ルーマニア/スペイン 108分

マリア・カラスというオペラ歌手がいる。1923年にN.Yで生まれた彼女は第二次世界大戦の渦中、ギリシアで駐留中のイタリア将校たちを相手に歌声を轟かせた。1947年『ジョコンダ』の公演に成功したときの体重はゆうに100㎏を超えていたが、メネギーニとの結婚後、寄生虫ダイエットに成功。1959年には海運王オナシスと出会い、1966年にメネギーニと離婚するが、オナシスは、JFKの未亡人ジャクリーン・ケネディと結婚してしまう。(オナシスはこの結婚から不幸な転機を辿り、1975年に死去する。)睡眠薬中毒となったカラスの晩年は失意とともに過ぎ、1977年に54歳という若さでこの世を去った。

この波乱に満ちた生涯はどこで切り取っても劇的なものであったと思われる。カラスと親交のあったフランコ・ゼフィレッリ監督が選んだのは、晩年のマリアカラスだった。若き日の姿を敢えて捉えず、晩年に再スポットを、というのも愛を感じる設定である。マリアカラスは1974年11月11日の最後の日本公演のあと、表舞台に立つことは無かったのであるが、この作品ではその後、若き日の声を使って(口パクというやつです。劇中も本物のマリアカラスの歌声が使用されてる。)復活するというストーリーとなっている。もちろんフィクションであるが、本当に起こったかのような、いや、本当にこういうストーリーがあって欲しいと思わせる出来栄えとなっている。

往年を思わせる迫力、ダメだし、声が出ないことを悩む姿、時々写真のオナシスを振り返る姿。もう一花咲かせてあげたいという思いが如実に表れているではないか。実際にどういう晩年だったのか、私が詮索するところではないが、この悲劇のヒロインに何度でも光を浴びて欲しいと思うのはゼフィレッリ監督だけではなかろう。

最後のクレジットで彼女の死を知らされるわけだが、この去っていく後姿のラストシーン、これが実にかっこいいのである。


ショウタイム #40

2004-09-27 | さ行の映画
2002年 アメリカ 95分

アメリカの映画ではよく事件を報道するTVクルーの姿が映し出される。事件の現場に大挙訪れる彼らの姿は当事者らにとっては邪魔でしかないと思うのだが、この作品ではそれを風刺しつつ迎合し大団円としている。

役者志望のパトロール警官のトレイは、堅物ベテランのミッチの囮捜査に偶然出くわし、マスコミを呼ぶ。カメラはトレイの間抜けな姿を写したのち、ミッチに迫るが、取材陣に腹を立てたミッチはTVカメラに発砲。その姿が受けて捜査密着番組「ショウ・タイム」に主演依頼が来る。しぶしぶ承諾するを得ないミッチに相棒として名乗りを上げたのは目立ちたがり屋のトレイであった。
当然険悪な仲なのだが、だんだんと2人が打ち解けて信頼関係を築いていくところが見所だ。随所に出てくる「手錠」が2人の心を繋いでいく。

最初にエディマーフィーが俳優オーディションで演じた場面があるのだが、これが実際にロバートデニーロの身に起きてしまうところがツボだった。

ロバートデニーロとエディマーフィー。誰がこういう組み合わせを考えたのか知らないが、良くやった!と思う。ピンで主演できる俳優が2人いっぺんに見れるわけだ。敢えて役名しか書かなかったがどちらがミッチでどちらがトレイかすぐにわかるほどキャラ立ちした両雄の「絵」をじっくりと楽しんで観たい作品である。

さて社会派から最近はコメディまで、改めてロバートデニーロの引き出しの多さに感服する。この作品では逆に器用さが出てしまって特徴のなくまとまりすぎているように思えてしまうことが欠点かもしれないが、相変わらず好調のエディマーフィーと言い、また見たいコンビである。個人的にエディマーフィーは好きなのでもっと大物との絡みを見てみたいのだが。

※トラックバックを入れさせていただきました。

エイリアン #39

2004-09-26 | あ行の映画
1979年 アメリカ 117分

宇宙船という閉鎖空間。どこからともなく現れる最強の敵。倒されて一人また一人と減っていく仲間。宇宙の映像をふんだんに用いたSFでありつつホラーな要素を含み、さらに乗組員の中に・・・といったミステリーな部分も孕んだ贅沢な一品。

宇宙貨物船ノストロモ号は、謎の電波を受信し、辺境の惑星へと降り立つ。そこには宇宙船、宇宙人の死体、そして無数の卵が・・・乗組員の一人が卵を覗き込むと中から蜘蛛のような生物が彼の顔に張り付いた!宇宙船に運び生物の撤去を試みるが、飛び出した血液は宇宙船の床を溶かす酸だった。撤去は不可能かと思われたが、いつの間にか生物は死骸となっている。ほっとするのも束の間、本当の恐怖はここから始まるのだった・・・。

H.R.ギーガーのデザインによるエイリアンの、脱皮を繰り返して巨大化し二足歩行と巨大な頭を持つその形状や、腹を突き破って出てくるところ、波乱含みの復活劇、「エイリアン以後」の映画界に多大な影響を与えたと思われる強烈な個性?を持つキャラクターの登場だ。なぜエイリアンの捕獲を目的としていたかは明らかにはならず、やや不条理な点もあるが、それを吹き飛ばすに有り余る緊張感である。リドリー・スコット監督、当時無名だったシガニー・ウィーバーを一躍スターダムにのし上げたのも今見れば当然と思えてしまう。

余談だが、カメラがその対象をゆっくりと移動するだけで視覚的な恐怖を覚えてしまうのは、普段ゆっくりとものを見ることが少ないからであろうか?それとも映画の影響でゆっくり見ると怖いものという先入観があって視線を動かしてしまうからなのであろうか?

羊たちの沈黙 #38

2004-09-25 | は行映画
1991年 アメリカ 118分

ジョディ・フォスター主演作だが、アンソニーホプキンスのDrハンニバル・レクターの強烈さが印象深い作品。サイコサスペンスという分野を確立した。

二転三転するストーリーというわけではなく、一つの事件を主人公の視点からじっくりと追い詰めていき、そこに割り込んでいくある天才犯罪者という話なのだが、その構成、カメラアングル、見せ方、緊迫感、どれをとっても素晴らしい。同じストーリー、同じ場面で映画を作るとしてこの作品ほどの作り方が出来るかどうか、私的に圧巻された。大絶賛の一作である。

ストーリーは、異常な連続猟奇殺人事件の犯人像を割り出そうと、FBI訓練生クラリスは、収監されている元天才精神科医「人喰い」レクター博士を訪れる。彼の協力もあって、クラリスは犯人に近づき、情報提供により牢を移されたレクターは脱獄のチャンスを狙う。

クラリスとレクターの対峙場面、レクター脱獄シーン、クラリス犯人と対決、どれをとっても十分な怖さ(十分過ぎないところがまた良し!)、十分な説得力、十分なストーリー構成である。あえて不満点をあげるならば、レクター博士の活躍をもう少し見てみたいというところだが、続編「ハンニバル」への楽しみに取っておくとしよう。ちなみにAホプキンス主演でリメイクされた「レッドドラゴン」は三部作の最後であるが、「羊たち~」の前のレクターが初めて逮捕された時の話であり、こちらも好評。原作も評判が高い。というわけで素晴らしいと誉めちぎって今日は終わり!

CUBE #37

2004-09-24 | か行の映画
1997年 カナダ 91分

130mくらいのの立方体を想像してみて欲しい。どこにあるのかわわからない。地中かもしれないし、空中に吊るされているのかもしれない。その立方体の中には何が入っているだろう?

この映画では4mの立方体の小部屋を26^3で17576個入れてみた。部屋と部屋の間は直通じゃなく、通路で結ばれている。しかもその中の何個かの部屋にはトラップ(ワナ)が仕掛けられている。それだけでは面白くないので、ワナにかかる人間を何人か入れてみよう。
早速ワナにかかった人間が全身を刻まれてしまうシーンから始まるこの映画の設定はこうである。パニック映画、脱出モノ、閉鎖空間でのサイコサスペンス、いろんな括り方があるだろう。設定がやっぱりわけがわからなければここに詳しく載っていた。
登場人物の中に設計に関わった人間が混ざっていてその人の口から構造の一部が明らかになるのだが、興味を引くのは設定もだが、登場人物のキャラクター設定である。

一見頼りになりそうなリーダーの男
女医
数学科の大学生
人生に望みのない男
7つの牢獄から脱出した脱獄のプロ
自閉症の男

以上登場人物は最初に死ぬ人を除けば6人。我先に行動する人、諦めてしまう人、自分のことしか考えない人、・・・。果たしてこの小部屋に閉じ込められた6人は脱出できるのか、追い詰められた人々はどう変わりゆくのか、それぞれの心理状況がテーマであるのだが、見終わった後はもっと大きな真のテーマに気付くであろう。

そもそもこのCUBEは一体何か、何のために作られたのか、なぜ人々は選ばれたのか、
不条理な環境の中で人間関係やそれぞれの生き方、希望、いろんなものを感じてしまう一作。限られた舞台というのは私的には好きなテーマである。

参照HP
CUBE@映画生活

八つ墓村 #36

2004-09-23 | や行映画
1977年 151分。

作者である横溝正史は1902年5月24日に生まれた。もう100年も前の話である。
江戸川乱歩が1893年生まれなので10歳も離れていないのだが、乱歩作品が古典としての風格を感じさせるのに対して、横溝正史は全く色褪せていない。それどころか1996年にもリメイクされた本作品は現代でも懐かしさと共に新鮮さも感じさせるのだ。まだ見たことがない方でも「八つ墓村のたたりじゃ~」というフレーズは耳に残っているのではなかろうか。

本作品「八つ墓村」3度も映画化されていて、TV版を含めると10年に一回は放映されているんじゃなかろうか。中でもこの1977年版の特徴は、見終わった後も印象深い「拘った作り」にある。物語の起点である落武者の惨殺シーンは長くリアルに繰り広げられ、、洞窟シーンは洞窟好きもうなる出来栄えだ。
金田一耕介を演じるのはなんと渥美清。寅さんに合わせたのか、どこか人情味のある金田一となっている。

実はこの話、実際に起こった津山30人殺しの犯人の子供では?という設定で、30人殺し(作中では32人)のシーンもある。また、津山30人殺しの犯人が惨殺された落武者の子孫であるとし、死後も洞窟の中に祀られていることになっている。津山30人殺しに関しては下を参照していただくとして、現実の事件とリンクしたセンセーショナルな設定も興味深いのだが、この作品では、他の同名作品と比べてもさらに複雑になった人間関係が描かれているので注目である。原作と異なる因果を含んだおどろおどろしい結末が、横溝正史シリーズの中でも特に怖いと人気だ。

津山30人殺しに関する小説
・『津山三十人殺し』筑波昭 (草思社)
・『龍臥亭事件 上下』島田荘司(光文社 カッパノベルス)
関連HP
誰か昭和を想わざる 実録八つ墓村


それにしてもあの家、間取りといいすばらしき日本家屋だ。シネマ紀行・八つ墓村によるとロケ地があるようだが、使用していないんだったら住んでみたいものだ。
でも、たたりは嫌だなあ。

アイ・ロボット #35

2004-09-22 | あ行の映画
2004/09/18公開
ジャンル : アクション
製作年 : 2004年
製作国 : アメリカ
配給 : 20世紀フォックス映画

以上データは
goo映画参照

【ロボット工学三原則】
1.ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過する事によって、人間に危害を及ぼしてはならない。
2.ロボットは人間から与えられた命令に服従しなければならない。但し、あたえられた命令が、第1条に反する場合は、この限りではない。
3.ロボットは、前提第1条および第2条に反する恐れの無い限り、自己を守らなければならない。

この三原則を守りつつロボットが人間に危害を与えることがあるのだろうか。観に行く前にじっくり推理して欲しい。ありえない?そう、2035年の人類もすでに生活の一部となったロボットに絶大な信頼を寄せていた。人々の話題は新型ロボットNS-5の発売である。そんな中、ロボット工学の第一人者、ラニング博士が謎の死を遂げる。自動プログラムで現場に呼ばれたロボット嫌いのスプーナー刑事(ウィル・スミス)はロボットの仕業と疑うが、彼に賛同するものはいない。

新型ロボットNS-5は毎朝プログラムをダウンロードして更新できるスーパーロボットだ。NS-5のホームページがあったりもする。旧型のNS-4が妙に安っぽく見えてしまう。顔の表情をリアルに再現しているためか、ウィルスミスとの対峙シーンそしてその後の友情も十分に感情移入できるものとなっている。逆に倉庫の約1万体のロボットは恐怖で、彼らが○○する後半は凄いアクションの連続!圧倒されること間違いなし!
ウィルスミスのロボット嫌いの理由もうまくリンクし(しかし博士に認められるほどの有名人なのだろうか疑問^^;)緊迫感とスピード感の調和が良い。

SF小説家、アイザック・アシモフの「われはロボット」を元に、近未来の生活もリアル、ロボット心理学者カルヴィン博士(ブリジット・モイナハン)も良かった。映画館向けの一作である。

(Topics)盛岡映画館通り

2004-09-21 | Weblog
盛岡の中心街に「映画館通り」という名の付いた通りがある。その名の通り6館12のスクリーンがひしめいている。昭和10年に盛岡中央劇場(現在の中劇のことか?)の建設以来、映画は盛岡の文化の一つとなっている。一つは現在改装中であったが、6館で一日中上映されているので同じ映画が複数の映画館で上映されることも珍しくはない。それでも私の入った館はそれなりの客入りだった。館内は飲食禁止、静かに映画に集中できる。エンドロールが流れ始めても誰も席を立つ人はいない。夏目雅子の「時代屋の女房」「壬生義士伝」の舞台ともなった盛岡では、誰もが映画をリスペクトしているように見えた。

10月29日(金)~31日(日)の3日間はみちのく国際ミステリー映画祭2004 in 盛岡が開催される。日本にも映画祭は多いが、盛岡には古くから根付いた映画文化があり、開始から8回目を迎えた今年の盛岡も例年にも負けない盛り上がりが期待できそうだ。今年はどんな新たな息吹を感じることが出来るであろうか。