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マックいのまたのMalt Whisky Distillery

モルト好きで株式公開/上場(IPO)の経営戦略,マーケティング,M&Aを支援する経営コンサルタントのプライベートブログ

Tomatin & Portellen

2013-02-21 12:42:31 | グルメ

飲んでから随分と時間が経過してしまったので、もはや細かい
テイストはすっかり忘却の彼方になりましたけれども、せっかく
ですから、ご紹介しておきましょう。

tomatin-celebrationofthecask.jpg

ひとつ目は、CARN MORというブランドのシングルカスクで
蒸溜所はトマーティン、アルコール度49.8というもの。

私は、このときトマーティンを本当に久しぶりに飲んだのですが、
以前の機会というのは、何も知らない学生のときに、ただ「安い」
という理由だけで購入したオフィシャルの印象があまりしっかり
したものでなかったので、ただ酔いたいというときに消化した
記憶があって、バーテンダーさんから勧められたときも、いまいち
乗り気ではなかったのですが、ボトラーズのアルコール度がウリ
ではないという点に興味をそそられ飲んでみましたら、思いのほか
フルーティでまろやか、スペイサイドの良さが出ている一本だと
思いました。このことは、私自身があまりスペイサイドは好み
ではないということを改めて発見する機会でもありました。

もう一本はポートエレン。26年もので、56.9%

portellen1979.jpg

ポートエレンを頼んだということは、ピートと樽熟成の高いバラ
ンスを求めたということなのですけれども、1979年の蒸溜
というのは、その後の蒸溜所閉鎖直前に比べてピート濃度は高く
なく、むしろソルティな風味の方が前面に出た味わいでした。

考えてみれば、昨今はビールの分野ではホップの香りを利かせ、
ウィスキーの分野ではピートやシェリーの香りを利かせた風味を
強調する味が多いのですが、本来の味わいの方に特徴のある
ウィスキーというのはあまり見かけません。

そういう意味で、大変貴重であり、いつまでも無くなってほしく
ない、ゆっくり味わいたい一本だと思います。さすがはブラッ
カダーと嬉しくなりました。

合同会社設立 神奈川県横浜川崎パスポート取得代理申請本厚木 軽貨物任意保険 古物商許可行政書士各種申請 経営コンサルティングと法律事務 病医院資金調達支援 講演依頼/講師派遣

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美味しいウィスキーのもうひとつの秘密

2013-02-20 13:07:13 | グルメ

シングルカスクの試飲会では、実際にテイスティングをする前に
「シングルカスク」の説明が行なわれました。これも、マニア
垂涎の企画です。

whiskycask-seminar01.jpg

シングルモルトが好きだと仰る方がバーに通ったりするように
なると、そのうちに変わったボトルとか、珍しい銘柄を珍重する
ようになることは、自然なこととしてよくあります。

それは例えば、オフィシャルボトルの12年からスタートして、
17年、20年、25年と単一蒸溜所のバリエーションを試し
たい、あるいは様々な蒸溜所のオフィシャルボトルを試したい
というところから一歩進んで、限定生産の商品を試したい、ボト
ラーズの商品を試したいのと同様に、単一の樽の強い個性に
興味をそそられるのは自然なことでしょう。

そのジャングルの奥地にある秘境のようなところが、シングル
カスク愛好だと思います。私もすっかり虜になってしまっている
と白状します。

whiskycask-seminar02.jpg

ここまで来ると、この先は独自ブレンドしかフロンティアが
残されていませんので、シングルカスク好きこそが通だという
ような雰囲気がありますが、それは落とし穴であって、さらに
ブレンドに進むとか、カスクの個性違いからウィスキーをデザ
インする嗜好に進むというオプションもあると思います。

とはいえ、いかに樽の種類で分類ができたとしても、厳密に
考えればひと樽ひと樽違いがあるわけですから、整理は仕切れず
管理の分野になってくるわけです。

その整理と管理の最大活用が、美味しいウィスキーを作る
もうひとつの要素でしょう。

一般に、スモークやピートの香りとか、シェリーの甘さとかが
個性の代表のように語られることが多いですけれども、味わい
のうち大きな部分を占めるボディやミドルのテイストは、酵母や
樽が作っているからです。

酵母によるバリエーションは作り手だけが知る特権ですが、樽の
バリエーションは、先の整理の知識で素人でも対応が可能になる
はずですので、その引き出しを多く持てると、飲み手の経験値
だけでなく、ブレンダーの基礎素養としても大切な財産になる
と思われます。

whiskycask-seminar03.jpg

セミナーでは、シングルカスクができる工程を教えていただいた
のですが、これは先の管理の知識ですね(笑)

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試飲会レポート

2013-02-19 14:03:42 | グルメ

少し前のことになりますが、友人とバーへ飲みに出掛けたら、
その日はウィスキーセミナーの開催日でした。

whisky-seminar01.jpg

バーにはキャパシティというものがあり、セミナーは申込み制
ですので、当然その日は貸切状態になっているわけです。しかし
そこをマネージャーが機転を利かせて、なかに入れてくれました。

当日はどうやら試飲会だったようで、2本のシングルカスクを
前にブレンダーがその商品の解説をしてくれるという、業界の
仕組みを知っている人なら垂涎のような企画で、我々はなんと
ラッキーかと喜んで会場の人となったのでした。

今回の試飲の対象は、余市の18年ものと宮城峡の10年もので、
あえて特徴を分かりやすくするために、蒸溜所も熟成年数も
大きく振ったものを提供したようです。

whisky-seminar02.jpg

細かいティスティングノートは、私も書き出したのですが、
いま手元にありませんので、ブレンダーのノートを写して
おきましょう。

■シングルカスク余市 1994
樽番号:400749 樽詰日:1994年2月2日
アルコール分:62% 樽種:リフィルバット

香り:しっかりとしたボディと樽熟成香。甘いオークの香りと
ビスケットのような麦芽の香ばしさが豊か。クリーミーで
スィート、穏やかなピート香が全体を包み込む。
陽だまりのガーデン。

味わい:オーキーでバニラのような甘さ。
あたたかでわずかに土っぽい。厚みのある味わい。
ほろ苦いビター感が心地よい。

フィニッシュ:穏やかで塩あめのようなピートの余韻。


■シングルカスク宮城峡2002
樽番号:102949 樽詰日:2002年12月13日
アルコール分:62% 樽種:リフィルバット

香り:トップに華やかなフルーティさと薔薇のようなフラワ
リーな芳香が立ちのぼる。マスカットを思わせる爽やかさ
とふくらみ。モルティでやわらか。エレガント。
優雅で貴婦人のようなたたずまい。

味わい:シルクのようななめらかな舌ざわり、軽快で
スイート。ドロップのような甘さと麦の香りが口中に広がる。

フィニッシュ:すっきりとしたフィニッシュ、ややドライなキレ。

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CLYNELISH 38yo - vintage1972

2013-02-18 13:38:41 | グルメ

チョコレートに合うお酒といえば、ブランデーとウィスキーが
代表格ですが、なかでもウィスキーは「ボンボン」という名前の
ついたお菓子があるくらいですので、おなじみでしょう。

ハーフ・ビターの、フレッシュで複雑なチョコレートに似合う
ウィスキーといえば、若いピートでモルティングしたヘザー香
豊かな、例えばハイランド・パークのようなものが最適ですが、
かのボトルはデザインを刷新してから原酒も若めになったよう
ですので、今回のチョコレートに負けてしまいます。

そこでご登場願ったのが、海を隔ててメインランド側、ハイ
ランドのなかでも最北端に近い、クライヌリーシュ蒸溜所の
ヴィンテージ38年ものでした。

clynelish38yo.jpg

これならば、フレッシュで複雑なチョコレートと自信を持って
ベストマッチといえるでしょう。フレッシュなチョコレートが
求める熟成感と、甘いチョコレートが求めるキレのよいアルコー
ルとが同居しています。

ここまでは、チョコレートとウィスキーのマリアージュの話
ですが、個人的なことを記すのを許していただけるのならば、
こういう味わいこそが、私の好みの味だと改めて教えてもら
える機会でもあるのです。

すなわち、風味豊かで、素材の甘みがほんのり薫り、しっかり
熟成した味わいがフルボディの上で踊りつつも、その過程では
ヘザーの蜂蜜のようなアロマと、トーストブレッドのような
乾いた麦の味わいが彩り、フィニッシュは長すぎず短すぎず
ドライに切れ上がる。どこか、田舎にでも帰省したような、
温故知新を感じさせる味覚です。

それは、焙煎による不均一な焦げ臭さであり、手作りによる
手間のかかった熟成感であり、忘れたころに再び強かに感じ
させてくれる新鮮さそのものです。

しかし、こういったものこそが、長年人間が生活する過程で
蓄積してきた文化というもの、また洗練を経たその頂点では
ないかとも思えます。

世界の極西で作られたものを、極東にいて頂けるというのは
だから今生の幸福であるに違いありません。

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ザ・ディスティラーズ・エディション/ラガヴーリン・ダブルマチュアード

2013-02-08 14:15:53 | グルメ

穴があったら入りたいと申し上げた私めのために、T社長が
ご馳走して下さったウィスキーというのがこれです。


ザ・ディスティラーズ・エディション/ラガヴーリン・ダブルマチュアード

オークラのバーというのは、モルト・ウィスキーのボトルが
200本以上もズラッと並ぶ、それは壮観な風景のカウンター
なのですが、高鳴る胸の興奮をなんとか抑えて冷静に見回すと、
それは錚々たる高級なボトルばかり(例えばカリラの32yoとか)
なので、簡単に「それ美味しそうだね、じゃあよろしく」という
わけにも参りません!

そんななかで久しぶりに出会って懐かしかったのが、このラガ
ヴーリンのディスティラーズ・エディションです。

ラガヴーリン・ダブルマチュアード.jpg

日本で出会うのは初めてで、前回は蒸溜所を訪問したときに、
蒸溜所限定ボトルとして説明を受けたものでした。ひと口含んで
そのことを思い出しました。

現在では定期的に日本にも入ってきているようで、検索すると
ペドロヒメネス仕上げとか何とか表現されていますが、ペドロ
ヒメネスって何だ?と思ったら、シェリー酒の銘柄のことだ
そうですね。

ラガヴーリンのオフィシャル16年は、ピート強くヨード香
強くアルコール強い、プロボクサーのストレート・パンチの
ような破壊力抜群のウィスキーですが、こちらはシェリーの
甘さが上品にコートされた逸品で、蒸溜所限定として幻性を
出してもいいのではないかと思います。

テイストとしては、ダブル・マチュアードのラベルの通り、
いつものラガヴーリンの原酒をシェリーバットに詰め替えて
マリッジさせたものでしょう。シェリー原酒特有のシェリー
ボディともいうべき舌に纏わり付くような甘いコクはなく、
あくまで全体の印象を上品にするギリギリの割合で熟成して
います。

これは、ラガヴーリンの個性を知り尽くしたうえで、さらに
その上をいく装飾を施すことができる一級のブレンダーや
蒸溜長の技術の賜物です。穿った見方かも知れませんが、
蒸溜所限定モルトが一般の市場に流通するようになったことを
考慮すると、これはディアジオの商品企画力と製造管理能力と
マーケティング力の総合力の勝利かもしれません。

それが証拠かどうか、改めて同社のクラシックモルト・シリー
ズを眺めてみると、私の好みのボトルばかりが並んでいるでは
ないか!

だから、これぞプロの見識だと恐れ入るのです。

lagavulin-dublematured.jpg

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ホワイトオーク シングルモルトあかし

2013-02-04 13:25:59 | グルメ

「あかし」という名のウィスキーのことは、お恥ずかしながら
今まで存じ上げませんでした。ひょんなことから寄り道した
酒売り場で見つけたもので、何か珍しいシングルモルトはないか
と思っていたら、正に珍しいものを見つけた!という具合です。

ホワイトオーク・シングルモルトあかし.jpg

あかしというのは兵庫県明石市のことで、ご当地にある江井ヶ嶋
酒造というマルチ酒造メーカがウィスキーを製造しています。

メーカの名前は、購入してからそういえばと思い出したのですが、
シングルモルトを出しているところまで調べていませんでした。

裏ラベルをみると「瀬戸内海を望むウィスキー蒸溜所で造った
モルト原酒をシェリー樽、バーボン樽等で貯蔵し、バッテイング
しました。地ウィスキーならではの、特徴のある味と香りのシン
グルモルトウィスキーです。」と書かれていて、確かにシェリー
の甘さとバーボンのバニラテイストが順番に現れるウィスキー
です。

あまりの珍しさに目を奪われてしまって即買いをしたのですが、
よく看るとラベルにも外箱にも熟成年数の表示はなく、若い原
酒おそらくは3~5年程度の熟成のものを多く使っているので
はないでしょうか。アルコール度数は46度ですが、エステル
香が非常に強く舌の上で未貯蔵原酒の特徴であるパチパチと
跳ねるような刺激感がします。

しかし私個人的には結構好みのタイプで、一般に美味しいウィ
スキーといえば熟成年数長くシェリー原酒で甘い風合いをつけた
「飲みやすいお酒」というワインの販売ストーリーのような
ものが多いなかで、原酒樽の甘い風味はするものの野趣溢れる
強い酒を主張する個性は昨今では貴重な存在です。

このウィスキーをベースにハイボールを作れば、きっと新しい
感覚の大人向け本格ハイボールができると思いますし、ブラ
ンデーやカルヴァドスと同じように考えればスィーツに使う
新用途もみつかるでしょう。

改めて調べてみたら、シェリー樽熟成の14年というオフィ
シャルがあるそうですが、それはそれとして、この原酒を使っ
た14年熟成のブレンドなら、もっと本格的な地ウィスキー
として名乗りを上げられる実力は十分に兼ね備えています。

そういえば「あかし」というのは、蒸溜所のある地名でしたね。

この無限の可能性を秘めた新しいモルトウィスキーにもっと
注目していきたいです。

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メルシャン軽井沢20yo シングルカスク樽番号2321

2013-01-31 14:21:49 | グルメ

前々回に発酵臭と書いた軽井沢モルトの特徴は、このカスクで
気がついたものでした。

メルシャン軽井沢20yo 樽番号2321

「発酵臭」という言葉は、ノージングしていてそうそう思いつく
ものではなくて、じつは納豆臭いと感じたものを表現している
からです。アンモニア臭といってもいいかもしれません。

こう書いてしまうと、このウィスキーの品質に難があるように
捉える方もいらっしゃるかもしれませんが、むしろ逆です。

メーカがウィスキーを製造するときには、事前にきちんとした
生産計画があって製造に着手するものですけれども、蒸留した
ウィスキーを熟成させる樽は、ひとつひとつ個性があり、換言
すると当たり外れがあるものです。従って、出来上がるウィス
キーは樽による偶然性がついて回ることは想定されます。

しかし一方想定されない偶然性というものもあって、樽詰め
されたウィスキーが熟成する貯蔵庫のなかで生きている乳酸菌
などの雑菌が、寝かされているウィスキーに作用することも
あるのだそうです。これはウィスキー作りにおける偶然性の
楽しみのようなものでしょう。

そして、この軽井沢蒸留所で作られるウィスキーの一部にも
そういうことが起こっている。それがこの2321番の樽だっ
たということだと思います。いわゆるシェリーバットですけれ
ども、単なるシェリー樽原酒では得られないフレーバーを持ち、
ピート焚きとは異なる種類のスモーキーさを醸し出して、シェ
リーのもつベリー系のような甘みとブレンドしている。

これは樽の個性というのではもったいないくらいの特徴とも
いうべき強さであって、あの蔦で覆われたウェアハウスで生ま
れたウィスキーだからこそが持つ独自のフレーバーといって
いいと思います。

だからゴールデンプロミスでウィスキーを作り、シェリー樽で
させたからマッカランと同じかといえば、決してそうではない
と胸を張って断言できる立派な独自性がありました。

だからこそ、蒸溜所を譲り受けて再稼動させることができないか
と願わずにはいられないのです。

軽井沢20yo.jpg

ちなみに裏面のラベルには、次のような記述があります。

「1955年創業以来、職人達は、ひたすらモルトウィスキーを
造り続けてまいりました。
軽井沢蒸留所に眠るモルトウィスキーの中から、蒸留年をお選び
いただいた原酒を樽で熟成中のアルコール度数のままで瓶詰め
してお届けいたします。軽井沢蒸留所の時間の流れ、蒸留年、樽
ごとに異なる個性、味わいをお楽しみください。」

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ヴィンテージシングルカスクモルト軽井沢蒸留所樽出し原酒

2013-01-30 12:29:15 | グルメ

惜しまれつつ、昨年閉鎖されてしまったキリン軽井沢蒸留所の
シングルカスクです。

ヴィンテージシングルカスクモルト軽井沢蒸留所樽出し原酒.jpg

2000年蒸留で10年熟成と手書きされていますので、2010
年に瓶詰めされたものですが、この樽番号6470が最後のひと樽
だったはずです。何故なら、私の目の前で販売されていた最終展示
品を大人買いした人で販売終了となったからです。私はその目撃
者でした。

ラベルを見て驚くのは、熟成10年でアルコール度数が64.5度も
あることです。10年でコンマ5度しか落ちないということは
考えにくいので、65度蒸留ではないと思います。軽井沢では
何度で蒸留していたのでしょうか。それともウェアハウスに
高く積まれた最上段なら、こういうこともあるのでしょうか。

テイストしてみると、非常にバランスのよいシェリー樽原酒で
ありまして、食前酒にも食後酒にも使えるオールマイティな
ハイランド・パークのような美味しさを持っている素晴らしい
原酒です。

よくシェリー樽原酒がお好きな方だと、どれだけシェリーが
出ているかが指標として用いられますけれども、どれだけ出な
かったかという考え方も同じくらい重要だということを、この
カスクは示していると思います。まるで、よく出来たブレンド
ウィスキーのようです。例えばバラインタインの21年の
ように。

基本的に工場直販だったと思いますので、もう販売されている
ところはないと思います。もしどこかの店頭で見つけたら、
宝物を発見したと思って即買いです。こういったエントリー
製品がどれだけ本物かということに、作り手の意識の高さと
いうのが反映されるものです。

メルシャン軽井沢蒸留所のみなさんに、改めて乾杯を。

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富士山麓 樽熟 50°

2013-01-29 12:07:45 | グルメ

キリンが発売している本格ウィスキーをいただきました。
富士山麓という名称が与えられています。


富士山麓 樽熟 50°

キリンが御殿場にウィスキー蒸溜所を保有しているのは、随分と
昔から知っていて、いつか見学したいと思っているのですが、
地理的にクルマでないと行かれないところにあり、とはいえクル
マで行っては試飲が出来なくなる、というジレンマを抱えたまま
10年以上が経過しています。今年の目標のひとつに加えましょう。

さて、このウィスキーを飲んでみて、色々と考えてしまいました。

というのも、ウィスキーの業界では、単一蒸溜所で製造されたウィ
スキー製品に蒸溜所の地名をつけることが通例であり、日本の
ウィスキーメーカ各社も、山崎や余市、秩父といった名称のウィ
スキーが代表的な製品になっています。

ところが、キリンの製品に「御殿場」あるいは「富士御殿場」
(蒸溜所の正式名称が富士御殿場蒸溜所)というものはありません。

もちろん、ただのお酒という嗜好品だからルールに縛られる
必要はないという考えや、先のルールにも例外があるという
根拠もあるでしょう。しかしウィスキー市場で販売する製品で、
特段の希少価値があるわけでもないものに奇をてらった名称を
与えるのは、メリットとデメリットとどちらが大きいのかと
考えてしまいました。

もし先のルールを遵守しているというのならば、このウィ
スキーはシングルモルトではない、ということになります。
ここでいう「このウィスキー」とは、上級品の18年物をも
含んでのことです。

今回の樽熟 50°は、グレーン原酒を混ぜたブレンデッド・
ウィスキーだということを前提にして、トップノートに来る
のは、軽井沢にあったメルシャンのシェリー樽原酒だという
のは疑いのない事実でしょう。ただシェリーバットで熟成した
というのとは異なる、軽井沢ならではの発酵臭がついています。

その後で麦のフレーバーが香るミドルが広がり、その広がりを
受けたグレーンのボディがボトムとフィニッシュを担当する
ブレンドです。飲み手としては1000円前後の価格で、この
本格的な、しかも他社からの類似品が少ないウィスキーを楽し
めるのは大切なことに違いありません。

一方でブレンダーとしては、非常に分かりやすいブレンドである
ことと、先の業界標準とは異なる原酒の扱い方に不思議な感覚を
懐いたことも事実です。

これらのことを集約すれば、本製品と上級品のシングルモルト
18年とは方向性も中身もまったく異なる製品ということになり、
それが同じ「富士山麓」というブランド名を与えられていること
は、メリットとデメリットとどちらが大きいのかと考えてしまい
ます。

キリンという会社の位置づけや経営を考えると、富士山麓という
名称は如何にもらしい名称というところですけれども、キリン製
ウィスキーまたは富士御殿場蒸溜所のファンを育てるという観点
からすれば、製品ポートフォリオ以上の意味合い以上の頑張りを
期待せずにはいられません。

それは、キリンに買収されてもなお、軽井沢蒸留所がメルシャンの
看板を外さなかったような種類のことではないかと思料します。

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竹鶴17年ピュアモルト ノンチルフィルタード 2

2013-01-28 12:34:04 | グルメ

竹鶴17年については、2度目の登場となります。前回は青山で
より個性とアルコールの強いウィスキーを飲んだ後で試したため、
バランスがウリのこのウィスキーは「ただ飲んだだけ」になって
しまっていました。

竹鶴17yo.jpg

出直しの今回は、心して最初の1杯といたしまして、まさにこれの
ため、という心持ちで臨んだのですが、結論としてはあまりにも
スムーズなブレンドのため、フィルタードか否かは私にとっては
大きな問題ではなかったことになりました。

竹鶴というウィスキーは、ニッカウィスキーの新しい看板メニュー
であり、当然ブレンドもレベルが高いです。同じ「竹鶴」という
名前のウィスキーだとしても、エントリーの12年と、ミドルの
17年と、トップの21年では、ブレンドが異なることはもちろん、
明確に味の個性が異なり、誤解を恐れずにいえば方向性すら異なる
ものです。

こういう製品ラインナップのなかで、ミドルを担当することと
なる17年は、当然ながら個性よりもバランスが重視されること
になりましょう。それば、バランスよいブレンドのなかで、さらに
バランスを突き詰めた製品ということです。

従って、ノーズ、口当たり、ミドルの広がり、のど越し、フィニッ
シュと、どのパートをとっても極めてスムーズであり、誰が飲ん
でも「わぁ美味しい」と思うような素晴らしい味です。こういう
性格の製品テイストを基準にして、ノンフィルターのヴァージョン
なら、さらに一層香味成分が多く溶け込んでいるノンフィルター
ならではのボディの深さが特徴でしょう。

確かひと樽分限定だったと思いますので、そろそろ市場からは
目につかなくなってくる頃でしょうが、だから、それこそがこの
製品の値打ちであり、貴重な機会だということだろうと思います。

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竹鶴17年ピュアモルト ノンチルフィルタード

2012-11-20 19:02:03 | グルメ

この秋のニッカの話題といえば、竹鶴17年のWWA2012
世界最高賞の受賞でしょう。

最近は、すっかりジャパニーズ・ウィスキーがウィスキー品評
会で受賞の常連になっているので、ややもすると、ああまたね、
という感じに聞こえますが、今回素晴らしいのはブレンド物が
賞を受賞したということであり、ニッカのブレンド物も本場で
認められるようになっているところが素晴らしいですね。

さて、その竹鶴17年の受賞を祝して企画・発売されたのが、
本日のお題「竹鶴17年ピュアモルト ノンチルフィルタード」
です。場所は、青山の本社で。

竹鶴17yo.jpg

さて、そのお味はどうか?というところなのですが、まったく
相済みません。当日の私は、先にブレンドチャレンジなどを
しておりまして、素人があれやこれや混ぜたウィスキーをテス
トばかりしておりました関係で、舌はもうすっかり痺れ、鼻の
粘膜はアルコール吸収装置と進化を遂げており、分かるのは
咽を通るスムーズさだけ、という状態でしたので、ノンフィ
ルターの微妙な舌触りの粗さとか、複雑で豊かな香りなど、
すべて完全に分からない状態でした。

とはいえ、せっかく頼んで一杯いただきましたので、備忘録
としてアップいたしますが、必ずや近いうちに再度テストを
したいと考えております(笑)。

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シングルカスク山崎 樽番号5P70008

2012-11-19 12:44:09 | グルメ

そのあたりのバーだってカスクが目的なのだから、せっかく
蒸溜所を訪れるなら、カスク物のしかも蒸溜所限定がいいよね。

yamazaki-distillery-genshu.jpg
▲シングルカスク山崎 樽番号5P70008

これこそが、本当の意味での「原酒」です。パンチョン樽仕込み。

サントリーの山崎蒸溜所にやって来たからには、この原酒を
試さずに帰ることなかれ、という程のはずなのですが、私は
お恥ずかしながら、パンチョン樽のウィスキーは味を利ける
ほど経験がございません。

確かにパンチョン樽でウィスキーを仕込んでいる蒸溜所は
珍しく、公に特徴としてアピールしているのは、ここ山崎
くらいだろうと思いますが、唯一かと言われれば決してそう
ではなく、スコットランドでだって普通にパンチョン樽は
使われているし、日本でだってニッカもベンチャー・ウィ
スキーも使っています。

ただ、それを特徴として積極的にアピールしているのが
ここくらいだろう、ということなのですが、私に書けるのは
せいぜい先に書いた山崎構成原酒との違いくらいなもので、
そこを見付けて記せば、エステル香が強くアルコール辛さを
舌の上で明確に感じるということくらいです。

熟成の方は、もちろん経年に従ってしっかりしており、
ニューポットではなく、バレルやホッグズヘッドでもない
木の香りもしますが、白樺やミズナラのような甘みもない
ので、ちょっと没個性に感じてしまいます。

しかし、それこそが山崎のパンチョンの特徴なのでしょう。

いたずらに余計な形容詞を探し回るよりも、そのままの印象を
記す方が、正しく誠実ということだと思います。

そしてその印象は、すべてのサントリー製品に反映されている。

だからこそ、山崎蒸溜所はサントリー・ウィスキーのマザー
工場なのです。

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山崎構成原酒-シェリー樽

2012-11-16 12:29:39 | グルメ

スーパーニッカ原酒の復刻ネタで中断いたしましたけれども、
今週の特集(?)である、サントリー山崎蒸溜所に戻りましょう。

工場見学を終えて、ヴィジターハウスに戻ってくると、そこは
世界中どこの蒸溜所とも共通の蒸溜所グッズのショップになって
おり、見学者の皆さまはお土産を物色する流れとなるところ、
私はそのままスルーして階下の試飲バーに移動しました。

なかなか来られない山崎蒸溜所にやってきましたので、せっかくの
機会だからと蒸溜所限定のウィスキーをテストしたのが、今週の
前半で、パンチョン、ミズナラときて、今回はシェリーです。

yamazaki-distillery-sherry.jpg

ただ、山崎構成原酒の名があるように、「山崎」という製品を作る
ためのヴァッテッドモルトですので、シングルカスクの個性は丸め
られています。そういうシェリーということは、シェリーボトルの
ウィスキーとそう大きくは違わないということです。

色も特別に濃くなく、香りも特別に強力でもない、いわゆるブレンド
用の用途に限って向いているということでしょう。しかし、じつは
それこそがサントリー社と山崎蒸溜所の特徴ではないかと思いました。

というのは、シェリーに限らず山崎の原酒は、非常にエステル香の
強いアルコール度の高いことに気づきます。ということは、蒸溜
段階で、多くのモルト・ウィスキー蒸溜所よりも高い度数に蒸溜
して樽熟成させることで、樽の成分をより多く取り込もうという
意図が見えるからです。

アルコール度数高く、香味成分をより多く含んだウィスキーは、
ブレンドに合っています。すなわち、山崎蒸溜所で作られるウィ
スキーは、最初からブレンドして製品化することを前提に蒸溜され
ているのではないかという仮説が立ちます。

それならば、山崎という製品も、サントリー社の他の商品も、基本
的には全て同じ文脈のなかで語られるのが相応しい、という特徴が
浮かび上がってきます。

これが分かって、海外のコンテストで響や山崎が賞を受賞したり
することに、合点がいくでしょう。そういうシェリー原酒でした。

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スーパーニッカ原酒 私的復刻プロジェクト3

2012-11-15 12:26:22 | グルメ

かつて存在した銘酒、スーパーニッカ原酒を私的に復刻して
楽しもう、という霞を掴むような趣味でございますが、先日
再チャレンジする機会がありましたので、3度目の挑戦です。

正確に書くと、ブログ上のタイトルとして2回目に当ります
けれども、プロジェクトとしては3回目のチャレンジのため、
タイトルは2を飛ばして3としました。ご了承下さい。

1年ほど前の前回は、ブレンドの構造を見直して、

シェリー&スィート:15
ピーティ&ソルティ:5
ウッディ&ヴァニリック:25
フルーティ&リッチ:35
ソフト&ドライ:20

で終っています。

全体的な構造はこれでOKだと思いましたので、ここから微調整の
フェーズに入りまして、今回は、

シェリー&スィート:15
ピーティ&ソルティ:3
ウッディ&ヴァニリック:27
フルーティ&リッチ:35
ソフト&ドライ:20

シェリー&スィート:10
ピーティ&ソルティ:5
ウッディ&ヴァニリック:27
フルーティ&リッチ:35
ソフト&ドライ:23

でチャレンジです。

私のようなブレンダーのレベルだと、どの原酒をどれだけ加え
たら/減らしたら、どのように味と香りが変化するか、あらか
じめ想像がつきませんので、なんとなくこんな感じ?という
フィーリングを頼りに「寄せていく」のですが、1回目は
近づいたものの、2回目は逆に離れてしまって失敗。

ただ1回目も樽香とエステル香が強すぎて、似てはいるが同じか
と言われれば違う、という内容でした。

2回目でオーバーシュートしてしまったと感じていますので、
つぎは、さらに細かい微調整を攻めていきたいと思っています。

といいながらも、私ひとりでブレンダーズ・バーの機会に合せて
いくのには限界も感じつつあり、もうやはりそろそろフラスコと
メスシリンダーを自前で調達しなければいけないと思うように
なってきました!

ここで挫けたらこれまでの努力が水の泡ですので(笑)、さらに
一層頂点を目指して(?)がんばります!

mybrendwhisky03.jpg

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マイブレンド・ウィスキーを作る夕べ

2012-11-14 12:24:10 | グルメ

昨日は、私の事務所が主宰するビジネスLIVEの11月定例会
【マイブレンド・ウィスキーを作る夕べ】を開催しました。

モルトと呼ばれる二条大麦ウィスキーの原酒を順番に試飲しながら、
ブレンダーズ・バー支配人の平野氏にウィスキーの作り方と原酒の
解説をしていただいた後、ニッカのプロのブレンダーが同じ原酒を
使って作ったプロのブレンドを試してみて、いよいよそれぞれの
オリジナルウィスキーを作ろうと、ブレンドにチャレンジしました。

マイブレンド・ウィスキーを作る夕べ.jpg

ブレンドの傾向は甘い味と香りのウィスキーを作る人と、スモーキー
で辛いウィスキーを作る人に分かれ、みんなでどんな味になったか
比べ合いをしたりして、あっという間に2時間くらい経つ時間を
忘れるひとときでした。

なかでも一番美味しく仕上がったのは、Hさんのブレンドで、
Hさん曰く【白い服を着た長い黒髪の女性】をイメージして
ブレンドしたのだそうです!(笑)

開催前のお題だった、チョコレートと結婚するか? マカロンと
結婚するか?というテーマは、4対1(あと不明)でチョコレート
という結論になりました♪

私自身のブレンド・チャレンジは、微調整のところで見事に玉砕
いたしまして、混迷と様相と1%の配合比率で味が変わるブレ
ンドの奥深さを体験することとなりました。

詳しくは、また後日(笑)

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