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マックいのまたのMalt Whisky Distillery

モルト好きで株式公開/上場(IPO)の経営戦略,マーケティング,M&Aを支援する経営コンサルタントのプライベートブログ

The EXCLUSIVE BLEND 1979

2014-02-04 10:05:31 | グルメ

これもグレーンをブレンドしたブレンデッド・ウィスキー。

exclusiveblend.jpg

ボトルにプリントされたラベル(?)を読むと、33年以上熟成した
8つのシングルモルトと2つのシングルグレーンをブレンドした
ユニーク(唯一)なブレンドとあります。

テイストは、非常にアルコール臭が強く、また辛さも明確で
「強力」という言葉がぴったりのお酒ですが、アルコール度数は
46度で丁度飲みやすい強さでもあります。

要するにこれは、玄人のための玄人が作ったウィスキーという
ことでしょう。酸いも甘いも噛み分けた粋人が、「酔っ払いたい
から」という理由で作ったウィスキーなのではないかと思います。

まだまだ青二才の私には数十年早いと腰を低くして通り過ぎたい
ウィスキーです(笑)

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CAPERDONICH 37yo

2014-01-31 09:49:13 | グルメ

もうこのあたりで酔いが回ってきていましたが、そろそろ
いよいよ後半戦に近づいています。これも読みにくい名前の
代表に挙げられそうで、酔っていたらとても読めない名前の
ひとつですが、キャパドニックといいます。

caperdonich.jpg

典型的なスペイサイド・モルトといっていいでしょう。
1972年11月蒸溜、2010年7月瓶詰めになる37年の
長期熟成で、アルコール度は53.5%です。

37年熟成して53.5度というのは、蒸溜時はかなり高い
アルコール度数だったことが推測され、そのためか非常に
豊かに香味成分が溶け込んでいて、レンゲの香りが最初に
響くエステル香豊かなウィスキーでした。

私はキャパドニックを初めて飲んだのですが、とてもゴー
ジャスでモルトというよりは、カルヴァドスやマール、
アルマニャックのようでもあります。もっとも高いアルコー
ル度の香りの鋭さはモルトならではです。

「だからこそモルトだ」とも言えるでしょうね。
モルトウィスキーならではの味わいでした。

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SIGNATORY LINKWOOD 1973

2014-01-30 13:56:53 | グルメ

インディペンデント、いわゆる独立瓶詰め業者のひとつである
シグナトリーから出されている、カスク・ストレングス・コレク
ションのリンクウッドです。1973年蒸溜の32年物。

linkwood1973.jpg

ホッグズヘッド熟成でアルコール辛く、典型的な私の好みの
タイプ。かつてのカリラ(花と動物シリーズの15年物)を連想
させる、ひと口含んで唸るタイプのウィスキー。個人的な好き
嫌いからいえば、今回のなかで一番美味しかった(というか、
私に合ったタイプ)です。

数多くのボトルのなかで、胸を張って美味しいと主張するには
理由がございまして、それは複雑な麦の味わいを感じたこと
です。

それは、伝統的なフロアモルティングによる製麦工程による
モルトではないか?という仮説と、ゴールデンプロミス種の
大麦を使用しているのではないか?という仮説によるものです。

アルコール度51.1%も理想的。

時折り夢に見るようなタイプのウィスキーですね(笑)

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SYNDICATE 58/6

2014-01-29 09:44:23 | グルメ

これまた変わった面白いウィスキーの登場です。
何が面白いって、日本語にすれば想像がつくでしょう。シン
ジケート58/6。

つまり、みんなで金を出し合って上手い酒を飲もうじゃないか
という会のプライベート・ボトルなんですね。で、6人が集まっ
て58種類の原酒からブレンドしたという触れ込みの一本です。

syndicate58.jpg

ラベルを読むと、17年以上熟成の原酒を使用して58種類を
混和。65%がモルト原酒で35%がグレーン原酒だそうです。

テイストは、多種類をブレンドしているだけあって非常にエス
テリーであり、バーボン樽が顔を覗かせ、若干ピーティな隠し
味でピリリと締まっています。

グレーンをほとんど感じさせないバランスの良い、これぞ
「ブレンデッド」というウィスキーです。

通な御仁たちの粋な精神を尊重して考えると、メーカのブレン
デッドでは飽き足らなくなった、という主張が見え隠れする、
高級というか本物というか伝統というか、とにかく大人のなか
の大人のための酒です。

こういう一本をもって「旨い」という人は、きっと全人格的に
素晴らしい方に違いありません。

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THE SIX ISLES

2014-01-28 17:10:46 | グルメ

モルトマニアの皆さまには釈迦に説法で大変恐縮なのですが、
スコットランドには100を超えるウィスキー蒸溜所があり、
生産地によって大まかに特徴を区分しています。

この一連のシリーズでこれまで書いてきたものは、スペイサイ
ドのものが多く、いわゆるワインでいうところのボルドーとか、
焼酎でいう熊本や鹿児島といった感じですが、今回のものは
アイランズで区分される諸島にある蒸溜所の原酒だけをブレ
ンドしたものです。

six-iles.jpg

諸島とは、有名なアイラ島から始まって、お隣のジュラ、スカ
イ島、マル島、オークニー諸島、アラン島の6つです。アイラ
ンズのウィスキーは、ピーティなど特徴が際立っており、さらに
アルコール辛さの主張も強かったりするので、それらばかり
集めてどんなウィスキーができるのか?と戦々恐々としてしまい
ますが、実際のところは如何にも上手にブレンドしましたという
風情の各島のよい特徴だけを上手く配分したものに仕上がって
いました。

原酒をブレンドした後で、どうしても足りなくなる甘みについ
ては、クラレ・フィニッシュといってボルドーのワイン樽で
マリッジすることによりシェリーほど強くない穏やかな甘さで
麦の風味を引き出しており、塩フルーティな味わいなどは、この
地方の地酒の美味しさを知り尽くした人物の職人芸だと思います。

この時点で酔い始めてきていたのですが、一服の清涼剤となって
くれました。

8年熟成。40度です。

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EDINBURGH FESTIVAL 2008

2014-01-27 16:53:36 | グルメ

スコットランドにエディンバラという都市があります。非常に
風光明媚で素晴らしいところでして、私も恋焦がれて一度行っ
たことがあります。

そのエディンバラには旧市街の頂上に城郭跡が残っており、
もちろん現在でも観光で訪れることができますが、エディン
バラ城訪問に最高なのが、エディンバラ・フェスティバルが
開かれる夏の時期なのです。

そのエディンバラ・フェスティバルを記念して作られたボトルが
その名もその通りエディンバラ・フェスティバルという名の
ウィスキーです。

edinburghfestival2008.jpg

ブレンデッドという表記にあるように、グレーン原酒が混ぜら
れています。しかし、モルト通の方は残念に思う必要はありま
せん。何故なら、スプリングバンク、ロングロー、ヘーゼル
バーンがブレンドされているからです。

そのせいか、飲みやすさと味わい深さが同じレベルで両立して
おり、さらに街のお祭り記念ボトルだけあって軽やかさと華や
かさが楽しい祝い酒であります。

そういえば、エディンバラ城前のロイヤルマイルには、スコッ
チウィスキー・エクスペリエンスがあり、ウィスキー好きなら
エディンバラで酔えとでも言いたげですね(笑)。

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BenRiach 1975

2014-01-24 16:42:27 | グルメ

序盤戦のハイライトともいうべき一本。序盤戦というのは、私
だからで、他の皆さまにとって今回最高の一本のうちのひとつ
だったに違いありません。

ウィスキー・エージェンシーがリリースした1975年蒸溜の
34年熟成です。50.6度。

benriach1975.jpg

テイストは南国のフルーツ。マンゴーやパパイヤが全開といった
風情で、缶詰のパイナップルにかぶりついたようなビタミンCが
たっぷりという、太陽が燦々に照らすかのような華やかな味わい
のなかに、シェリー樽ならではの発酵臭が若干感じられるのは
なぜでしょうか?

基本的には、酵母違いのバーボン樽ではないかと思われるのです
が、このあたりの風味の理由は私の能力では分析できません。
すみません。

というものの、大変貴重な一本であることは間違いなく、じつは
このボトルだけ一人一杯までという制限がついていました(笑)。

そのくらいビックリするほど美味しいお酒だということです。

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駒ケ岳 10yo

2014-01-23 16:32:58 | グルメ

知る人ぞ知る本坊酒造のウィスキー「駒ケ岳」。私はあまりご縁が
ありませんでしたが、最近はコンテストでも入賞する実力派で、
昨今は価格が上がって入手が困難になってきているとか。

その駒ケ岳の10年熟成40度。陶器ボトルでした。

komagatake.jpg

テイストはミディアム・ピーテッドで、最初のひと口はハイ
ランド・パークを思わせます。おそらくはホッグズヘッドの
リフィルがメインだったのではないでしょうか。

これがモルトウィスキーだといえば、普段ウィスキーを飲ま
ない人の認識を改める力があると思います。というのはピー
トの強さだけでなく、雪解け水の繊細な水の味が生きており、
冬にコタツに入って乾き物を肴に一杯やろうか?なんて連想
させる、ゆっくりとした時間が流れるウィスキーならではの
上手な酔い方が味わえるからです。

私は、残念ながら54度のお酒が続いた後でしたが、次の
機会があるとすれば、ドライフルーツと共にはじめの一杯に
したいと思います。

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Clydesdale GLENLOSSIE 20yo

2014-01-22 16:20:46 | グルメ

2本目は、グレンロッシーの20年物。53.9%です。

glenlossie.jpg

Clydesdaleという瓶詰め業者は初めてなのですが、これもスペイ
サイドのお宝を主張するように甘さが際立ったウィスキーでした。

スペイサイドというと、麦の甘さとバーボン樽の甘さのミックス
が基本テイストで、私は辛口が好みのためかあまり機会がない
場所なのですけれども、このグレンロッシーは酵母の甘みが強く、
エステル香豊かな食中酒として最適ではないかと感じました。

ということは、なかなか上手い具合にボトルの選択ができている
ということでもあります(笑)

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A.D.Rattray BENRIACH 20yo

2014-01-21 16:13:21 | グルメ

なにしろ24本もありますので、さてどれから始めてどう進もうか
としばらく思案してしまったのですが、こういうときには要するに
寿司屋の要領に間違いありません。

そういうわけですから、コハダよろしく最初に臨んだのがベンリ
アックの20年ものです。

adrattery-benriach.jpg

これを最初に選んだ理由は、A.D.Rattrayという品質最優先で樽を
選定するボトラーであることと、ベンリアックという蒸溜所の
信頼性の高さからでありました。

テイストは、麦の甘さとバーボン樽のバニラ風味が丁度よくバラ
ンスしており、20年という熟成年数も華やかな演出を加え、ま
るで食前酒のように人生を祝福するものでした。

最初の一本なのに、アルコール度は54.9%!

この先が思いやられます(笑)

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モルトの会

2014-01-20 16:05:44 | グルメ

ひょんなことから、共通の友人であるDJ REMO-CONを
通じて仲良くさせたいただいている、DJ TOKYOさんから、
モルト(ウィスキー)の会にお誘いをいただきまして、イベント
に参加させていただきました。

maltclub01.jpg

maltclub02.jpg

並べられたボトルは氏のコレクションだそうで、ご自宅には
これの倍くらいの数のシングルカスクをお持ちだとか。いや
はや世間さまにはお好きな御仁がいらっしゃるものです。

会の趣向は、この数多く並ぶボトルのなかから、好きなものを
テイスティングして楽しむというリラックスしたもので、もち
ろん当然みな美味しいですから、油断して欲張るとあっという
間に酔っ払います。

意外だったのは、シングルカスクをテイスティングするという
とてもマニアックな趣向なのにもかかわらず、あっという間に
満員の申込があって、私はキャンセル待ちをさせてもらって仲
間にいれていただいたことです。

そんなにシングルカスクは人気があるのでしょうか?
まさか!それはやはり主催者のご人徳によるものでしょう。

穏やかな語り口で優しく会を取り仕切り、ボトルに関して尋ね
ると親切丁寧に解説してくださいます。多くの参加者の方も
その懐の奥深さに魅了されて集まってくるのだろうなと感じ
ました。

私は、24本のうちから14本ほどテイスティングしましたので
これから少しずつご披露いたしましょう。

maltclub00.jpg

また来てとお誘いをいただいてしまいました。

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ARDMORE Traditional Cask

2013-12-30 17:00:48 | グルメ

今年の年末年始は、いわゆるカレンダーの並びがよく、9連休
とか、なかには16連休という方もいらっしゃるようです。

いずれにしても、久しぶりにゆっくり過ごせるお正月になりそう
ですので、お供を仕入れに行ってきました。で、仕入れたのは
こちら。

ardmore01.jpg

アードモアのオフィシャルですが、輸入元だったアサヒビール
が今年の1月だか2月だかに輸入権を返してしまったそうで、
このままだともう間もなく幻になってしまう1本ですね。

ardmore03.jpg

このウィスキーが珍しいのは、ハイランドなのにヘヴィ・
ピーテッドなことで、ピーティといえばアイラが有名ですが、
あちらほど露骨に主張せず、どちらかといえばハイランド・
パークに近い印象です。

しかし、ハイランド・パークがお好きなら、それを飲めば
いいわけで、そうでない理由としてはかつてのボウモアに
似ているから、というのも立派に選択する理由になるでしょう。

ハイランド・パークがピーテッドをホッグズヘッド原酒と
シェリー樽原酒で構成しているのに対し、ボウモアはピー
テッドをバーボン樽原酒とシェリー樽原酒で構成しています。

アードモアはピーテッドをバーボン樽とクウォータ・カスクで
構成していて、それでも似ているというのは麦のもつ上品な
甘さに由来します。まるで昔のオンナの妹にでも出会って
しまったかのような、甘苦い風味が香ばしく舌を(気を)引く
テイストなのです。

そういう気を引く真実とは、ピーティングを自製しているから
ではないでしょうか。フレッシュなピート麦芽をバーボン樽で
寝かせ、クウォータ・カスクでダブル・マリッジする。

ardmore04.jpg

ラベルをみると、熟成年数の表記がありませんが、舐めた感覚
では、ニューポットのピリピリ感が残っていますので、最若
では5年程度から25年くらいまでの原酒が使われている
ように感じます。

熟成感に乏しい弱点は目をつぶるとして、豊かな風味をバラ
ンスよくリッチに盛り込み、素材に掛けるコストを製法の工
夫でリカバリーし、コスパの高い製品を開発・販売する。その
企業努力は賞賛に値すると思います。

こんな素晴らしい商品なのに、なんでアサヒビールは輸入権を
手放したのか?考えても仕方がないので考えませんが、商品が
手に入らなくなっては困ってしまいますので、また仕方なく
流通在庫を買い占めようかななんて思いながら、正月を過ごす
としましょうか。

ardmore02.jpg

それでは、皆さまどうぞ良いお年を。

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富士山麓チョコレート

2013-12-18 17:24:07 | グルメ

先日蒸溜所見学に出掛けた折りに買ってきた、お土産のチョコ
レートです。

富士山麓チョコレート.jpg

富士山麓というのは、ビールメーカ大手のキリンが製造販売する
ウィスキーのブランド名で、シングルモルト18年物と、他蒸溜
所と思われるシェリー樽原酒をブレンドした樽熟50度という
2つのラインがあります。


キリンウイスキー 富士山麓

工場見学の方は、特段記事にするほどのことでもなかったので、
もっぱら興味の対象は試飲だったのですが、これも想定の範囲内
で特筆すべきこともあまりありませんでした。

有料試飲で原酒を頂いたあとに、もう帰るだけという段になって、
手持ち無沙汰でビジターセンターをウロウロしていると、興味を
引くものがあって手軽なので思わず購入したのが、このチョコレー
トです。

帰ってきて食べてみると、ややビターなチョコレートに樽熟50度
と思われるウィスキーで作ったゼリーが仕込まれていて、なかなか
よい相性で美味しいです。

いわゆるウィスキー・ボンボンというものになりますけれど、多く
のウィスキー・ボンボンがグレーンも使ったブレンデッドを使う
ため、チョコレートとの相性がイマイチなところ、この商品は
シェリーの甘さが特徴のウィスキーを使い、しかもゼリー状に
して食べやすくなっている(従来は液体がそのまま入っていて、
垂れてしまう問題があった)ため、ゆっくり食べられるウィス
キーと同じ楽しみが味わえるところが素晴らしいです。

「おっ、なかなかいいじゃないか」と思って食べていると、
あっという間にひと箱終わってしまいそうになり、改めて数を
数えてみると20個入り800円ですから、1つ40円と結構な
お値段だと判明したのでした。

よくよく考えてみると、オリジナル商品で蒸溜所限定発売、大人
ならお小遣いで買える価格で、富士山麓の名前を使える、ヒット
商品の王道をいく商品開発設計です。まったくまんまと一本取ら
れました(笑)

しかし美味しいですから、おすすめですよ♪

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余市67

2013-11-22 14:52:09 | グルメ

本日は金曜日。一週間頑張りましたので、すっかり飲みに行き
たい気分です(笑)。

そんな日の夜はニッカ余市のシングルカスクです。67は仕込み
年ではなくて樽番号の下2桁です。227667の67ですね。

yoichi67-02.jpg

スペック的には、1990年蒸溜2006年瓶詰めの16年もの。
アルコール62度で、ウェアハウスは15号倉庫だそうです。

さて、テイスティング・ノートをみると「バナナの様な香り。
接着剤の様な溶剤系の臭い。ドライフラワーの花束。紅茶の香り。
やや刺激的な舌触り。軽めのピートの余韻。加水により香りが
変化する。」とあります。

「溶剤系の臭い」なんて書かれると、普通は「え~っ」と引いて
しまうところですが、好きが嵩じてマニアになると、もう喜んで
飛びつくポイントになってしまいます!それで、さっそく興味を
もって頼んでしまいました(笑)。

yoichi67-01.jpg

結論としては、トップノートの香りはそんなに強くなく、むしろ
口に含んでからのミドルとか舌触りの方が明確に意識されました。

このあたり、アルコールは62度と書かれてしましたが、実際は
多少低下していたのではないかと思います。60度弱くらいの強さ
という感じがしましたので、トゥワイスアップまでとはいかない
までも、46~48度くらいまで加水すると、より香りが立って
ウィスキーらしいウィスキーになったのではないかと思いました。

一般的に、メニューに載っていないシングルカスクは、開栓から
瓶を空けるまで相当の時間が掛かりますので、このボトルもこれ
までに天使がかなりの分け前をさらっていったのではないかと
思います。こうして私が最後の一人となりました(笑)。

ところで、ホッグズヘッド16年なら220本ほどボトリング
できる計算になりますが、他のボトルはどこにあるんだろう?

それとも、もうこの味は味わえない1点ものだったのだろうか?

つくづくご縁だと思いますね。

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ウィスキーのモノ作り 6

2013-10-29 16:00:06 | グルメ

最初は樽の話、2回目はブランド?の話、3回目はブレンドの
話、4回目は品質管理の話、5回目は市場の話、今回は未来の
話です。

ウィスキーの歴史が語られるとき、よく耳にする逸話は例のあれ
でしょう。17世紀から18世紀にかけてのスコットランドでの
酒税法と密造の話です。曰く「密造した酒を徴税使の目から免れ
るため、樽に詰めて山奥に隠した。年月が経って取り出してみる
と、琥珀色に変化し芳醇な香りのする液体に変わっていた」と
いうものです。

日本におけるウィスキーの歴史は、広島・竹鶴酒造の三男坊で
ある竹鶴政孝が洋酒製造に興味をもち、単身スコットランドへ
修行へ出掛けることから始まります。このときの竹鶴の身分は
摂津酒造の従業員でしたが、その後帰国しウィスキー製造を始め
ようとした時には時世が悪化し、摂津酒造にウィスキー製造を
始める余力がありませんでした(1920年)。

少し時代が下って、寿屋(現サントリー)の鳥井信治郎がウィスキー
製造に乗り出そうと考えた際、竹鶴を雇用して摂津と山城の
国境である山崎にウィスキー工場を建設します(1924年)。

10年後の1934年、竹鶴は鳥井との契約期間である10年を
満了したことから寿屋を退社し、国内でウィスキーを製造する
最有力候補地であった北海道・余市にウィスキー工場を建設
します。


さて、スコットランドでウィスキーなる蒸溜酒が作られるように
なり、また日本で四捨五入すると約100年前の当時のウィスキー
作りを考えてみると、何もかもが経験知によって製造される家内
制手工業の実態であったことは容易に想像ができます。

当時の「現代的」というのは、せいぜい産業革命によって蒸気機関
(18世紀の発明)や、鉄鋼が用いられるようになった程度です。
このため、全世界中のウィスキー工場の99%は、歴史的に牧場で
あったという背景をもつためか、酒造メーカという業種的な特徴
とは異なる理由で、現在でも牧歌的などこか懐かしい風情があり
ます。

しかし、現在一番といっていいほど最新鋭である台湾にあるカヴァ
ラン蒸溜所は、工場の建物は完全密封でITによる製造管理を
行っており、工場見学に出掛けてもガラス張りの通路を通るだけ
だそうです(すみません。私はまだ行ったことがありません)。

kavalan-distillery.jpg

そうして出来上がる製品は、非常にクリアな均一感高い味のウィ
スキーに仕上がっていて、従来に比べて短期間での熟成(これも
製造管理が可能)によってコンテストで高い評価を得ています。

この業界では「ウィスキーは飲むほどに美味しくなる酒だ」という
言葉があります。長年ウィスキーを飲んでいると味覚が鋭くなり、
より細かい味を美味しく感じるようになるのだといいます。

これを切り取って、例えばジャーナリストの方は「ウィスキーは
科学(サイエンス)か芸術(アート)か」という表題を掲げられます
が、これまでの時間の経過を踏まえて表せば「伝統的に芸術の
領域だったものに、どんどん科学が進出している」と評すのが
正しい表現でしょうが、ポイントはどこまで時代が下って、どこ
まで科学が進出しても、ウィスキーは嗜好品という趣味の分野の
製品だということです。

趣味が嵩じて研究になれば、ごく一般的な事実は前提となり、
もっぱら関心は「美味しさを生み出す秘密(要素)や秘訣(技術)」
に移り、その数が多く複雑であるほどこれらのミックスやバラ
ンス、最大公約数の可能性を探求することになります。もし、
さらに趣味が嵩じて製造する立場になった人物がいたとしたら、
最大公約数だけでなく最小公倍数の可能性も経営には必要と
なるでしょう。

そういう時系列のなかにいて、現在がどの時点かといえば、先の
カヴァラン蒸溜所のアプローチは、とりあえず最大公約数は
考えずに最小公倍数だけ訴求するという種類のものです。それは
モルトスターから購入した麦芽をエアコンディショニングされた
工場で発酵させ、シェリー樽でフィニッシュした味わいからも
明らかです。

足元の市場が「甘め」を志向しているとき、このアプローチは
短期的に大ヒットする可能性を秘めています。広告宣伝にレバ
レッジを効かせれば、数世紀の歴史と伝統のブランドを曇らせる
だけの力があるかもしれません。

一方で消費者の関心は移ろいやすく、現代のスピード社会では
その速度は加速するばかりですから”ハイボールのお客さん”
ばかりに経営の基盤を求める一本足打法経営はレバレッジを
効かせるには危険が伴います。

こういう最前線で、ウィスキー製造の現場において何かを目的
に、アートがサイエンスに置換される事態が進行しています。
それは製造のリードタイム短縮であったり、均一な味を訴求し
バラツキという誤差を極小化することであったり、製造コストを
削減することであったりです。この3つのどれかひとつでも
あるいは全てならもちろん経営努力として評価されるのは間
違いありません。

しかしながら、飽きやすいのに鋭いセンサーをもつ人間の味覚
に対し、この努力はゴーイングコンサーン(事業の継続可能性)
と映らないかもしれません。それが証拠にワインの分野では、
科学的な製造アプローチで評価を受ける銘柄と、完全に伝統的
な製造アプローチで評価をうける銘柄では、依然として後者の
評価が高いからです。

この評価が確立し業界全体として浸透するのは、マニア向けに
ハイエンドしたシングルカスクマニアのレイヤーと、蒸溜所レ
ベルでの個性を楽しむモルトファンのレイヤーと、氷や水や
トニックウォーターで割って飲みやすい味を求めるレイヤーが
統合ではなく分離した後の、これから十数年~数十年の後の
ことでしょう。

このあいだに、ひとつでも多くの蒸溜所が存続できることを
希望したいと思います。(了)

caol_ila_15yo.jpg

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