世界が遠ざかる

これは我が家に伝わる遺伝病のようなものなのですが……。

とにかく、管理人は滅多なことでは怒りません。それが遺伝病なのか？　とお思いでしょうが、管理人のガマン強さというのはただの基質とは少し離れているのです。

管理人は感情を露にするのは恥という思想の元生きています。だから、他人が激怒している姿を見ると理解ができません。
どうしてそんなに怒る必要があるのか？
怒ったところで何か変わるのか？
そもそも激昂している姿を見られて恥ずかしくないのか？
そんな疑問が沸々と沸き上がってくるのです。

友情とか、結束とか、そういう熱い物を得るためには、感情を吐露してぶつけ合うことも大切なのでしょうが、管理人はそれがどうしても出来ないのです。
管理人の親に言わせてみれば「○○（管理人の名前）は他人とどんなに親しくなっても一枚違う世界から見てしまう。」
流石長年育ててきただけあって管理人のことをよく心得ています。

他人が怒るとき、管理人は自分がどこか遠い世界にいるような感覚を覚えてしまいます。
怒るときに限ったことではありません。本音を言い合っている他人を見たり、ふとこの事を――自分がどんなに他人と親しくなっても同じ世界にはいれない事――思い出したりすると、意識がどんどん遠退いてしまうのです。

中々本音で語ると言うのは勇気がいることなのです。
管理人は素直に怒ることができる人を少しだけ羨ましく思ったりするのです。