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僕とマクベスのいちゃいちゃ日記っ

愛機――マクベスで綴る、日常系プログ。
小説、アニメ、遊戯王 他

そろそろ新作についての情報をだそうと思います。

2011年04月29日 | 小説
次のお話は……SFです!!
なんか語感的に「来週のサザエさんは~」を思い出しましたが、そういう意図はありません。


管理人は以前「人工羊は人間の夢を観るか」(仮題)と言う小説を執筆し、挫折したのですが、
もう一度挑戦したいという気持が強くなっていき、今回の決断に至りました。
で、以前は「シュタインズ・ゲート」を目指していたのですが、今回は大分毛色が違います。恋愛小説を全面に押し出して、SFは添え物という感じです。

そうです。またなんです。
また恋愛小説です。

なんだか「管理人=恋愛小説」という図式が成り立ってしまいそうな今日この頃。
じゃあ大まかなキャラクター紹介だけしていこうと思います。

主人公
[波多野陽(はたの・よう)]
萩森高校二年生、空想科学部・部長の奇人。
発明が趣味であり、空想科学部ではヘンテコな発明を続けている。
「~~君」と人を呼ぶのが癖。


ヒロイン
[灰負岬(はいおい・みさき)]
萩森高校二年生、生徒会執行部所属。まともな人。
波多野とは幼馴染であり、何かと理由をつけて絡んでくる。
実は波多野にゾッコン。だがツンツンした言動を取る。

[新入生A]
全くの未定。

文芸部の新人について雑記

2011年04月23日 | 日記
結局四名の方が入部しましたー! パチパチパチパチ

もっと少ないかなーって思ってたんですけどねwww
これも管理人の人望のなせる技か……

という冗談はさておき、今日報告したいのは「むっちゃ上手い子がいる」という点です。
小説家は武器を持っていたほうがいい。という話は以前したと思います。
京極夏彦の妖怪知識、西尾維新の言葉回し、etc
そう云う「一つ突出した物」がある人が小説を書くと、かなりイイ出来になるんですよね。
で、文芸部にはミリオタの子が入部しました!!


短編を一本読ませていただいたのですが、ハードヴォイルドでありセリフ回しも及第点、それに銃の知識 がいい感じです。
彼が凄いのは知識の出し方を心得ている点です。
初心者は例え知識があろうとも、それを全面にだしすぎて「小説ではなく参考書」の書き方になってしまうんですよね。
しかし彼はそう云う難しい調節が出来ている。
これはなかなか居ない素質です。
新人賞の公募についても意欲的で、受賞する可能性も無きにしもあらず。
この三年間で受賞してくれると嬉しいですねb 文芸部に箔がつくって奴です。

ただ、短編と長編は性質が違うので、彼が書いた長編が読むに耐えない物になっている可能性もあります。だから、ここは期待をかけ過ぎず読ませてくれる日まで待ってみようと思います。
なにはともあれ優秀な部員が入ってくれて嬉しいです! 切磋琢磨したいです!!

……美少女だったらもっと良かった!!


で、他の子の筆力についてですが、まだ未知数としか言えませんね。
もっと上手い子がいるかも知れないし、いないかもしれない。
それはまあ、梅雨号の時に分かると思います。

負けるな晒しスレ!

2011年04月23日 | 日記
最近晒しスレの方で変な荒らしが湧いています。

管理人は晒しスレ住人なので、鬱陶しくて仕方ない!
あああーっ!ってなります。
ただ、こんな事をブログに書いて荒らし本人が来ちゃったりしたら怖いんですけどね(笑)

あのスレッドは「素直な感想」、「歯に絹きせぬ批評」を貰える稀有な場所です。
管理人にとってあのスレッドは技術の向上を促してくれた場所であり、思い出深い場所です。
「つまんねーつまんねー」と叩かれては「絶対受賞してぎゃふんと言わせてやる!」と勝手に奮起していましたww
だからそこが荒らされるのは本当に辛いです。
いっそ悲しい気持ちになります。
きっと叩かれた人が荒らしているんだと思います。自分の作った大切な作品をボロクソ言われたら、そりゃ腹が立ちますよね。
でも、例えどんなに酷い事を言われようとも、晒しスレの人達は「晒す側の事を思って」書いてくれているんですよね。貴重な時間を使って、自分が執筆する時間も割いて、「つまんねーつまんねー」画面に向かって文句言いながらも読了してくれて。
こんな良い読者はたとえプロになっても絶対に現れないと思うし、もしプロになったら言えるじゃないですか。
「お前らが罵詈雑言を浴びせた作品でデビューしてやったぞ! 参ったか!」って。
でも、きっとデビューする頃には、その思いは別のものになっていると思うんですけどね。

だから、荒らしの方には、辛い思いをバネに自分の執筆を頑張ってもらいたいです。
そしていつの日か受賞して、参ったか! って言ってやればいいんですよ。

魔法少女まどか☆マギカ 最終回

2011年04月22日 | アニメ
号泣した。

まどか☆マドカの最終回がついに放送されましたねぇ。
どれだけ待ったことか……うう。
アニメオリジナルは失敗するという不文律を見事に覆した作品、というのが管理人の感想です。

でも、不思議と最終回の評価が低いんですよね。
いや、分かりますよ。
ご都合主義を感じ無かったかといえば嘘になるし、今までの伏線はどうしたんだろうとも思いました。
でも、ああいう終わり方もありかなって管理人は思いました。

※おっと、これ以上の話はネタバレになってしまうので注意。

マドカが宇宙の法則を覆す。というのは管理人も考えていました。
とはいっても、それは抽象的なもので
「キュゥベエへの願いで、魔女全部消すとかww」って感じでした。でも、まさか本当にそうなるとは思っていませんでした。
マドカが夢と希望に満ちた魔法少女を目指していたというのはこの作品の序盤から語られていたことでした。
でも、マドカが宇宙の法則を変えた後も、魔法少女が完全に救われたわけではないと思います。
魔獣なんて敵キャラも出てきちゃったわけですし。
だから本当にハッピーエンドだったのかな?と疑問が残る最終回でもあったと思います。
ただ、ほむらが抱くまどかへの愛情がとても綺麗に表現できていて、どっぷりと感情移入できたことは確かです。
これほど凄まじいアニメを、いかに綺麗に終わらせることが出来るか。視聴者は大きな期待をいだいていた訳です。
だから、このような問いかける終わりが迎合されるのは難しいのです。
マドカが消えた世界の話は胸が痛みましたね。
ほむらちゃんがマドカのリボンを受け継いでいるのはとてもイイ演出だったと思います。

総じて、まどか☆マギカは良く出来た感動的なアニメだったと思います。
キャラクター全員可愛かったしね。

ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ 日常OP

2011年04月20日 | song
最高にテイション上がる!!

まさにオープニングって感じの曲です。
ってかこれをカラオケでデュエットできたらかっこよくねww
真面目に練習したい。


片思いを歌った曲ですが、おそらく女の子と男の子、それぞれの立場から歌っています。
二人とも純粋で聞いてるこっちが「///」ってなってしまいます。
「思考回路ぐちゃぐちゃ混線」と「これが俗にいう恋かな」が管理人のお気に入りだったりしますw

ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ

大音寺不音は滅びない 完結!

2011年04月15日 | 小説
久しぶりに長編書き終わった!!

結局、七万文字を超えてしまいました。
MFPで78枚です。

今回の作品は結構真面目に書いたので、文章が少し硬いかなーって不安要素があります。
でも、それを補って余りある、ストーリーになっていると思うので、ちょっぴ自信アリかな。
早速推敲にとりかかります。
予定では、今週の土日を使って最終推敲。その後に印刷。学校の仲間に発表。感想を聞いて微調整。そして投稿というステップになります。

童話調なので、万が一、カテゴリーエラーになるかもしれません。
それが一番怖い……。

とにかく、今日は『大音寺不音は滅びない』完成記念日です。
来週からは別の長編を書き始めようと思いますb
お疲れさまでした。

立ち上がれよ、文芸部

2011年04月15日 | 日記
部活見学会が続いています。

管理人が所属する文芸部にも、ちらほら~っと人が来てくれています。
それは大変結構なのですが、もっと入部希望者に構おうよというのが、管理人の悩みだったりします。

管理人は今の●●●高校を受験したのですが、中学三年生の夏頃までは、東中神駅の近くにある▲▲高校を目指していたんですね。
で、文化祭の時にその▲▲高校の文芸部を見に行ったのですが。
仲間内だけでワイワイやってたんですね。
オタクってのは、閉鎖的な社会(ソーシャル)を築きやすいのは前から分かっていました。が、管理人はその時、確かに疎外感を覚えたのです。自分はここにいるのだろうか、彼らに認知されているのだろうか。そう不安になるのです。
で、現在の文芸部も同じような状況に陥っている事が管理人の悩みです。
ウザイと思われるかも知れないけど、まだ精神的に安定していない新入生たちを、優しく迎えるのが先輩の努めなのではないでしょうか?
「ウェルカム!」な姿勢で「フレンドリー」に接すれば、新入部員はもっと来るはずです。

ただ、
「文芸部のようなニッチな部活には、初めから入部を決めている人しか来ない」
という、凝り固まった考えが文芸部の広報活動を著しく阻害している気がします。
はっきりと、断言します。
そんなこと無い
管理人は一年前、入学する前から「文芸部立て直し計画」を推進していました。管理人は最初から入ると決めていた派だったのですが、部活見学には今の入部者(現二年生)よりも沢山来ていました。
つまり、見学会には来たけれど入部しなかったという人は確かにいるのです。
それはつまり、「初めから入部を決めていたけど、去った」ということに他なら無いのではないでしょうか?
悲しいことですが、つまり、文芸部は失望されてしまったわけです。
逆に言えば、広報活動によって文芸部に興味を示し、軽く見に来て、楽しそうだなと希望を持ってくれれば、新しい人が入る可能性があるということです。

そろそろ本気出しましょう、文芸部。


本筋とは関係ないのですが
自分の中学の頃の後輩も、結構わが校に入ってきてくれてるみたいです。
管理人を見かけたら一声かけてくれると幸いです☆

カラクリマシン植物

2011年04月14日 | 遊戯王
カラクリマシン植物 by大会レベル

今日、夜の暇にパッと作ったデッキです。
それを回してみると、あら大変本命の純カラクリと互角。
少し愕然としてしまったので、そのレシピの内容をざっと書こうと思います。

モンスター 21
マシンナーズフォートレス 3
マシンナーズギアフレーム 3
マシンナーズカノン 2
カラクリ兵二三六 2
カラクリ忍者九一九 1
カラクリ参謀二四八 2
カラクリ守衛三一三 2
ローンファイアブロッサム 2
スポアー 1
グローアップバルブ 2
アンノーンシンクロン 1

魔法 10
サイクロン 2
月の書 1
死者蘇生 1
貪欲な壺 2
ワンフォーワン 1
精神操作 1
ブラックホール 1
ハリケーン 1

罠 9
奈落の落とし穴 2
激流葬 1
リビングデット 1
神の宣告 1
聖なるバリアー 1
王宮のお触れ 2
神の警告 1

特筆すべき点は。
貪欲な壺によって純カラクリと違って息切れしにくい。所です。
こちらは長期戦向きと言ったところでしょうか。
罠こんなにあんのにお触れはねーだろって思うかも知れませんが、管理人からしてみれば罠 お触れ三枚のみの構築を見るたびに「こいつまわしてねーな」と思ってしまいます。
ブレイドなどで場を占拠するためには、お触れは最高のサポートです。
自分が攻勢に出たときにうまく使いましょう。 

暇つぶしに書いた。後悔はしていない。

2011年04月13日 | 小説
失われた金曜日とメタモルフォーゼ                   1

 触覚である。
頭から緑色、讃岐うどん程の細さの触覚がピョコンと生えていたのだ。目の前が真っ暗になった。私はハブラシをこれでもかと言うほど喉の奥まで入れてしまい、触覚の驚きも相まって、軽く嘔吐した。
 私はもう一度自分の頭から生えた触覚を確認する。酸の臭いが洗面台から仄かに立ち上り、それは鼻の中を荒らし回る。再びやって来た気持ちの悪さ。私は蛇口をこれでもかというほど捻った。
 一度洗面台から離れて、紺色のカウチに深く腰を埋めた。ロダンの『考える人』さながらの格好で、顎に手を当てて、もう片方の手で恐る恐る自分の額――触覚を触って見る。水ぶくれにでも触るみたいに、突っついては手を離すを繰り返す。
 感覚は……微かにある。まるで耳たぶを触られたような心地だ。いつまでも弄っていると、思わず肩を回してしまう。触覚の天辺には小さな膨らみが出来ており、それを人差し指と親指で強く握ると、ぺちゃんこになったが直ぐに元に戻った。
 私は自分の体に他の変化がないか調べるため、一度全裸になった。三十間近になって大分腹が出てきた。そろそろジムにでも通うかと考えていた矢先、触覚。
幸い、身体に変化はなかった。親指の爪が少し割れていたのが気になったが、それは言うまい。今はこのおどろくべき触覚について考えるべきだ。
 こう言う時頼りになる人を私は知っている。私はマンションの自室から出ると、隣の部屋に住む五代(ごだい)と言う男を尋ねた。五代はミュージシャンである。と言っても、ミリオンをばんばん輩出するような有名なアーティストではない。彼は小さなライブハウスで細々とバンド活動をしている。
以前、漏れ聞こえるギターの音がうるさいと私が文句を言うと、それ以来一度も彼の部屋からギターが聞こえた事がなくなり、私は彼の心を傷つけてしまったのかと心配になった。後に彼の部屋を訪ねたところ、完全防音にリフォームしていた事が発覚した。私は彼の行動力に脱帽し、それ以来、五代と親しくしている。彼は非常に実直で真面目な青年なのだ。
 呼び鈴を鳴らすと、五代は直ぐに部屋から出て来た。皮のジャンパーを身にまとっていて、右太ももに弧を描くようにチェーンがぶら下がっている。触覚を見せびらかして部屋から出るのは流石に躊躇われたため、私は鼠色のハンチングを被っていた。
「どうしたんですか樹流(きりゅう)さん。こんな朝早くに」
「五代君。君に折り入って相談したい事があるんだが、これから何か予定があるのかい? お洒落しているようだけど」
「ええ。ファンの子と待ち合わせしてるんですけど、……樹流さん何か顔色悪いですよ?」
しまった。五代は予定が入っていた。
 考えてみれば、例え五代に相談したとしても、この触覚を治してくれる事はまずないだろう。彼は魔法使いではないのだ。以前冷蔵庫が壊れた時は一瞬で直してくれたが、それとこれとは話が全く違う。私は何を考えて彼を当てにしたのだろう。
 そうだ。私はただ、この状態を誰かに吐露しなければ、頭がおかしくなりそうだったから、彼を頼ったのだ。
「……デートの件は忘れてください。ほったらかしますから」
「でも、いいのかい? 貴重なお客さんだろ?」
「大丈夫ですよ。そう言うのが好きな娘なんで」
 私のただならぬ雰囲気――と言っても、原因が突然生えた触覚とはなんとも馬鹿らしいが――を感じ取ったのか、かれはそう言ってくれた。助かった。こんな訳のわからない状態では仕事に行く事もままならない。この状態を長引かせたくは無い。
 五代は自らの部屋に私を招き入れた。チェッカー模様のドアマットが敷かれた玄関を通り抜け、居間のガラス戸を押し開ける。居間には、この時期には少し早いコタツが出ていた。
 部屋の隅にギタースタンドに鎮座するESPのエレキギターを発見した。黒のボディーに白銀のペグ、黄土色の弦がしっかり張られている。何度かこの部屋を訪れた事があったが、大分姿を変えていた。
 私の視線がESPに向いている事に気付き、五代は「ギターに興味をお持ちなんですか?」と、まるでショップの店員のように尋ねた。私はハンチングのツバを人差し指で撫でると、今はそれどころじゃないと思いなおし、「特に無いよ」と返した。
 五代は小さな台所からマグカップを二個取り出した。それに市販の紅茶を入れて持って来る。甘ったるいミルクティーだった。完全に私の好みである。
「それで、相談と言うのは何ですか?」
 頭頂部から緑色の触覚のような物が生えて来ている。考えれば考えるほどに恥ずかしい相談だ。良い年をした大人が、年下の青年に「触覚が生えて困ってる」なんて、大真面目な顔で言わねばならないのだ。私はハンチングを外して、とりあえず『これ』を見せる事にした。
 五代は、私の頭上に垂れ下がる緑色の触覚を一瞥する。そして、真剣な眼差しで私の眼を見返して来る。私がその視線に答えるように頷くと、五代はもう一度触覚に視線を移した。
「……訳が分からない」
 五代はそう言うと、コタツの卓上に肘をつき頭を抱えた。全く同じ感想を抱いた身としては、彼の反応は正常以外の何物でもなかった。
 私は朝からの行動を事細かに説明した。朝起きたら突然触覚が生えていたこと、ハブラシを喉に突っ込んで嘔吐したことは恥ずかしかったが、それも隠さなかった。全てを聴き終えてから、五代は言った。
「触覚、ちょっと触らせてもらえますか?」
 私は二つ返事で返した。五代は私の少し薄くなった髪の毛を掻き分け、触覚と頭皮の接続部分を覗く。これは陰部を見られるのと同じくらい恥ずかしかったが、今はメンツを守っている事態じゃない。もしメンツがそれほど大事なら、そもそもこの触覚を誰かに相談しようとは思わなかっただろう。
「……完全に生えてますね。とって付けたような感じはありません。生え際はかさぶたみたいに少し腫れています。――アクセサリーとかじゃなくて、身体の一部、ですね」
 五代はまだ信じられないようだった。
「僅かだが、感覚もあるんだ」
「感覚がある、と言う事は、少なからず神経は通っているようですね。……もしかしたら、動くかもしれません。頭に力を入れて見てくれますか?」
「待ちたまえよ。この触覚が自在に動かせたとして、なんのメリットがあるんだ?」
「いえ、特には無いと思います。しかし、今は少しでもこの触覚の情報が欲しい。試しに動かしてみましょうよ」
 そう言われると断りきれない。私はその場に正座すると、「うー」と低く唸った。
 頭で何かが動いたような気配がする。まさか本当に。
 五代は呆然とした表情で私の頭上を見上げていた。
「何か起こったのかい?」
「えっと……とても言いにくいんですけど、少し大きくなった気がします」
「……え?」
 私は自分の頭を擦った。先ほどまでは小指ほどの太さしかなかったそれは、薬指ほどの、よりはっきりとした触覚になっていた。私は五代に詰め寄った。
「どうしてくれるんだ! また一歩人間から遠ざかったじゃないか!」
「そ、そんな事言っても……。あ、元に戻りましたよ」
 五代は私の頭を指差した。
 ……本当だ。戻っている。
五代はさらさらとメモを取った。そのメモには『力を入れる→触覚が成長』と書かれている。横には私の触覚のデッサンまで取られていた。
「じゃあ次は軽く引っ張って見ましょうか」
「引っ張るって、この触覚をかい? さっきから君は随分アクティブだ。他人事だと思って半ば楽しんでやいないか?」
「そんな事はありませんよ」
 五代は私の頭に生えている触覚を鷲掴みにした。そのまま触覚を引っ張る。すると、五代は目を細めた。それは微笑みではなく、困惑だった。
「伸びました」
「……伸びた!?」
 五代は私の触覚を持って二メートルほど離れた。まるで噛み終えたチューイングガムのように私の触覚はグニャーンと緑の直線の軌跡を作った。五代が手を離すと、触覚は石弓にでも弾かれたみたいに、私の頭に戻ってきた。
 その勢いたるや矢の如く。私は頭を弾かれ尻餅をついた。
「だ、大丈夫ですか樹流さん?」
「大丈夫な訳がないだろ五代君。ピンと張りつめた状態の物を離したらどうなるのか想像できなかったのか?」
「それがゴムの類ならば難く無いのですが、触覚となると……流石に予想できませんでした」
 五代は謝るが、その視線は真っ直ぐ触覚に向いていた。私はこんな事で怒る事が馬鹿らしくなり、嘆息するとその場に座りなおした。ミルクティーを一気に飲んでやる。考えてみると朝ご飯を食べていなかった。
「樹流さん。すごい短絡的な考えだとは思うのですが……」
「ん? なんだい、もったいぶらず言ってくれ」
「その触覚、切ってみてはいかがですか?」
 五代の手には台所用の大きな鋏が握られていた。意図的に私を怖がらせようとしているのか、彼はその鋏をパチンパチンと開けたり閉めたりする。
「じょ、冗談じゃない!」
「でも、これ以外に方法は無いと思うんです。感覚はあれども、痛覚はないようなので、きっと痛くないと思いますよ」
「引っ張れば伸びて、力むと成長する。じゃあ切って『分裂』したらどうしてくれるんだ。なんとありなんな話じゃないか」
「でも、このままじゃ二進も三進も行きませんよ。ここは勇気を出して切るべきです」
「どうして君はそう無鉄砲なんだ。……いいさ、好きにすると良いよ。私はもう知らん」
 五代は私の触覚を汚い物でも触るように摘まんだ。
 鋏を根元にあてがって「行きますよ」と呟く。固唾を飲む中、彼の持つ鋏がとうとう口を閉じた。

 その日は会社を休み、私は早くに寝た。まだかさぶたのようになっているが、触覚の姿は無い。触覚は思った以上簡単に切れた。五代はピクピクと動く触覚を台所のガスコンロで焼却し、今日の――金曜日の忌まわしき記憶を私は封印した。
 そうだ。今日と言う日はなかったんだ。
私はそうして『失われた金曜日』を終わらせた。
 次の日、私は恐る恐る鏡を見た。
「よ、良かった……生えてない」
 こんなおかしな事で歓喜する私はどうかしていると思う。今日は土曜日だ。こんな素晴らしい朝は珍しい。その時、呼び鈴が鳴った。五代だ。
 私が軽快にドアを開けると、彼の表情は陰々滅滅とした物だった。頭には、ドクロのバンダナが巻かれている。
 嫌な予感しかしなかった。
「五代君……それは……」
 五代はバンダナを取った。
「伝染(うつ)りました……」



文化祭号に載せようかなーって思ってたショートショート

GOSICK 第十二話 夏の午後に蝉の声を聞く

2011年04月10日 | アニメ
愚かな……。

ゴシックもとうとう折り返し地点に入ってまいりました。
今回のお話はGOSICKs(2) 夏から遠ざかる列車が原作のお話です。
ここまで力不足感を否めないアブリルが、いかにキャラクターを主張できるかが鍵を握ります。
そして一つ、大きな変化が……。

ヴィクトリカの服がチェンジキタ!!
薄紫の淡い色をした夏仕様ドレスですね。うん可愛すぎて鼻血でた。
ヴィクトリカのキャラクターが、だんだん固まってきたような気がしますが、原作ではもっと分かりにくいです。例えば、久城がどこかへ避暑してしまうことを恐れたヴィクトリカのプロローグが入るのですが、原作ではそんな事はなく、読者は「ヴィクトリカは久城に行って欲しくないんだよな……」と、勝手に推理するしか無いしようになっています。
管理人はそう云う分かりづらいところも好きなのですが、きっとそれをやっていたら視聴者は「なんだこいつ。ツンデレの癖にデレねーぞ」となってしまうので、まあ仕方ない変化だと思います。

窓の外に視線を投げ出しながら文句言うヴィクトリカの手には一冊の本が……。
ちなみに、この本に描かれている貝はベルゼブブの頭蓋にカラー絵として描かれている物と同一ですね。

「ここに……ここに、私の隣にいれば……」

久城気付けゴルァァァァ!
管理人的には、ここまで言ってしまったならば、場面切り替えの前に「いいのに」を言ってもいいと思います。
自分の要望としてではなく「久城が自発的に残ることを望んでいる」ヴィクトリカの心情を現した言葉ですね。

アブリルの納得が早い気がします。
原作だともっとヴィクトリカに嫉妬していたのに………。物分りがよすぎるぜ!
……と思ったら、そうか、このころってヴィクトリカを男と思ってたんだっけ(笑)
納得納得♪

ヴィクトリカの不意に見せる子どもらしい表情がいいですねww
小説だと、こうは上手く表現できません。
そして次兄にだした手紙。あれって言わば「久城を励ますための手段」ですよね……。クヤシイ!

瑠璃姉ちゃん可愛いなオイ!


木の上に登って降りられなくなったヴィクトリカですが、反応がイマイチですね。
ヴィクトリカは幼い頃塔に幽閉された経験があります。そのトラウマ(正確に言えば、誰からも疎まれていると思ってしまった事が原因なのですが)から自分は誰も愛することができないと思い込んでいます。
同時に、塔にいた頃、過剰に雷を怖がっていた描写がありました。このシーンでは、「置き去り」「雷」「ひとりぼっち」という三つの要素が入っているので、号泣するくらいの演出があってしかるべきだと思ったのですが……。
でも最新刊薔薇色の人生では、母が雨の日に塔の監視を掻い潜って会いに来てくれたという話が掲載されているので、逆に、ヴィクトリカニとって雷というのは思い出深いことなのかも知れませんね。
ただ、管理人がアニメを撮るなら、あのシーンは号泣だったと思います。で、久城が自責の念にかられると。


次のお話はゴシックシリーズの中で一番好き愚者を代弁せよです。
ミステリーとしても素敵ですし、歴史が絡んでくるので面白いです。なにより、久城がとうとう「●●」します。
熱いシーンですね。アニメでいかに表現できるか、正直心配です。
頑張れ製作者達!