ただのサッカーブログ

世間知らずの人間が書くサッカーを中心とした個人ブログ。2020年からはサッカー以外の事も少しずつ。

神戸に環境志向サッカー場 滝川第二高OBら整備へ

2021-06-10 | Weblog
https://www.kobe-np.co.jp/news/sports/202011/0013837675.shtml

2020年令和2年11月4日水曜日、神戸新聞朝刊1面

神戸に環境志向の新サッカー場 高校サッカー名門・滝川第二高OBら整備へ
雨水蒸発させ芝冷却、県産木材活用 「住民集う地域の広場に」

高校サッカーの名門、滝川第二高校のOBらでつくる
一般社団法人「マイスター」(神戸市西区)が、
自前のサッカーグラウンドを同市西区に造る。
雨水や地元の木材を活用するなど、環境への配慮を徹底。
住民にも開放し、楽しめるような場を目指す。
早ければ来年12月ごろには完成する予定で、
同法人は「サッカーを軸に、地域の
コミュニティー拠点にしていきたい」と話す。(有島弘記)

 建設予定地は同区平野町の田園地帯。
約9100平方メートルで、人工芝コート(4千平方メートル)
と2階建てクラブハウス、芝生広場などを設ける。

 目指すのは、欧米の最新技術を取り入れた“エコグラウンド”。
同法人の理事井口洋平さん(36)は「海外のスポーツ施設は、
環境問題に向き合って造られている。その思想に
日本らしさを加えたい」と狙いを語る。

 人工芝コートは地下約10センチを掘り下げ、
オランダ発のシステムを入れる。自然の土壌のように雨水を蓄え、
蒸発を促す機能があり、蒸気の冷却機能で、
夏場は最高60度にもなる表面温度を40%カット。選手にもやさしい。

 ためこんだ雨水は、災害時に断水になった場合、使うことを想定。
阪神・淡路大震災ではトイレなど生活用水の確保が課題になった。
コート下にためた水は必要な時、地域に提供する計画だ。

 照明も、電力消費量と温室効果ガスを減らす
発光ダイオード(LED)を採用。
2階建てのクラブハウスは兵庫県産の木材をふんだんに使い、
荒廃が進む山の価値や大工の伝統技術を
伝える「ショールーム」として位置付ける。

 いずれも、人と自然の共生を目指す
国連のSDGs(エスディージーズ・持続可能な開発目標)
に沿う取り組み。コンクリートブロックは、
貧困国で普及を図っているドイツ企業の製品を使う。

 また、ドイツなどでは、地元クラブの試合があると
大人はビールを飲みながら観戦し、子どもは空き時間に
コートで遊ぶ。試合がない日もサッカー場は住民が
運動を楽しむ場所という。同法人は「そんな地域の広場にしたい。
グラウンド周辺には田畑も多く、例えば
農産物を活用できないか」と構想を語る。

 グラウンド造りに合わせ、運営する中学生チームは来春、
「マイスター須磨」から「バサラ兵庫」に改称。
将来的に小学生、高校生の部門も立ち上げ、
Jリーグ参入を見据えて選手育成を加速させる。

 バサラはサンスクリット語で、ダイヤモンド(金剛石)の意味。
同法人は「小さな街クラブの大きなチャレンジ」と意気込む。

【一般社団法人マイスター】2015年設立。
代表理事は滝川第二高校サッカー部OBの岡良一氏(34)。
幼児と小学生が対象のサッカースクールと
中学生チーム「マイスター須磨」を運営する。チーム名は来春、
「バサラ兵庫」に改称。法人のグループにはドイツ6部リーグの
アマチュアクラブで、同校OBが監督を務める「バサラマインツ」もある。


https://www.kobe-np.co.jp/news/sports/202011/0013837671.shtml

2020/11/4 07:00神戸新聞NEXT

神戸の「新サッカー施設」どんな施設に?
 リバプールのピッチ、ヤンキースの照明、砂漠の砂で倉庫…

高校サッカーの名門、滝川第二高校のOBらでつくる
一般社団法人「マイスター」が、神戸市西区に
環境配慮型のサッカーグラウンドを整備する。
早ければ来冬に完成し、地域住民にも開放する。
一体、どんな施設になるのだろうか。

■田園地帯に

 建設予定地は、神戸市西区平野町にある。
山や田畑に囲まれ、取得した土地の隣にはブドウ農園が広がる。
神戸市のベッドタウンにつながる市営地下鉄・西神中央駅からは
車で西に約15分、神戸市と明石市を結ぶ
第二神明道路「玉津インターチェンジ」からは北に約10分かかる。

 開発面積は約9100平方メートル。現在は雑草が生い茂るが、
約4千平方メートルを人工芝のサッカーコートに造り替え、
2階建てクラブハウスと芝生広場、駐車場を併設する。

 この規格を聞くだけでは、「環境配慮」はイメージできない。
神髄はどこにあるのか。プロジェクトを主導する同法人理事、
井口洋平さん(36)の説明に耳を傾けた。

■環境志向

 まず、人工芝コート自体に仕掛けがあるという。
「ピッチの下にオランダの新しいグリーンインフラを
入れます。雨水を貯水できるシステムです」

 グリーンインフラ? 詳しく聞いてみると、
コートの下を約10センチ掘り下げ、雨水をためる空間をつくり、
水の蒸発を促すシステムも組み入れる。目的は太陽光で
熱せられた人工芝の冷却で、自然の土壌のように
蒸気を生み出すことで、芝の表面を冷やしていく。
真夏の人工芝は最高60度まで上がるとされ、
この機能を使えば最大40%カットできるという。

 オランダの首都アムステルダムには
人工芝コートが100カ所以上もあるといい、
ヒートアイランド現象を抑える効果が期待されている。

 また、ピッチの表面温度が下がれば、選手は快適で、
パフォーマンスも向上する。実際、
イングランド・プレミアリーグの名門、
リバプールの本拠地アンフィールドにも
同じシステムが導入されていると聞けば、その効力に納得できる。

■防災対策

 アムステルダムでは、都市の高温化の抑制に加え、
別の期待も寄せているという。オランダは国の大部分が
海抜ゼロ地帯のため、気候変動で増えるゲリラ豪雨や
大雨が社会問題。街に水があふれる状況を防ぐため、
駅前の中心地ではアスファルトを石畳に張り替え、
その下に人工芝と同じシステムを埋め込み、
雨水の逃げ場を造っている。

 さらに、景観づくりにも役立つというから驚きだ。
「雨水を灌水(かんすい)。つまり毛細血管のような
システムで水を吸い上げることで、
植物に水をあげることができます」と井口さん。
草花の根が水を吸い上げて成長するように、
自然界の循環を人工的に再現し、道端の花や木を育てている。

 神戸では、1995年の阪神・淡路大震災の教訓を生かし、
災害対応も意識する。当時、被災者は断水の影響で、
トイレなど生活用水の確保に困った。そこで同法人は
非常時になれば、蓄えた雨水を住民に配る計画を立てている。

 井口さんは「オランダがやっているハード整備を
スポーツ施設で可視化し、災害が起きた時には
地域の方に水を配ります。街クラブが存在する意義は
『みなさんのためにある』と見せていきたい」と力を込める。

■クラブハウス

 人工芝コート以外にも、施設の随所に海外のトレンドや先進技術を取り入れる。

 2階建てクラブハウスは、山林の再生に向け、
兵庫県産の木材をふんだんに使って建てる。
林業の振興を願う井口さんは「兵庫県の木材の良さや
大工の技を目で見て触ってもらいたい」と、
ハウス自体を「ショールーム」に位置付ける。

 また、難関とされるドイツサステナブル建築協会(DGNB)
の認証取得にも挑む。「持続可能性」をテーマに、生態、経済、社会文化の
3つで審査。建物に込める思想など設計の段階から
評価するといい、認証はブロンズからプラチナまで4段階ある。

 ちなみに、クラブハウス1階はミーティングなどに使うホールが入り、
ガラス窓で囲われている。扉を開ければウッドデッキが広がり、
2階はスタッフの専用エリアになる。

■メジャー式照明

 照明にもこだわり、米大リーグ、ニューヨーク・ヤンキースの
本拠地で使われるLEDシステムを採用する。
電力消費量や温室効果ガスを減らすだけでなく、
場内の光も調節できる。内外野を均一に照らせば、
選手はボールが見やすく、ファンもしっかりとプレーを視認できる。
LED特有のまぶしさも色味を
変えることができ、心地よさも届ける優れ物だ。

 照明は仕事や勉強の生産性を左右するとも言われている。
神戸では実証実験を予定し、ピッチ上の照度を変え、
選手が高いパフォーマンスを示す光量や色味を探るという。

■特殊な倉庫

 シュート練習の壁打ちを兼ねた倉庫も斬新だ。秘密はコンクリートにある。

 従来、砂漠の砂からコンクリートは造れないとされたが、
特殊な化学物質を混ぜることで製造できるようになったという。
しかも強度は高く、価格も安い。開発したドイツ企業は
5種類のブロックを量産し、この組み合わせだけで
家屋を建てる。重機は必要なく、手作業でできるという。

 つまり、難解な設計図を必要とせず、
字が読めない人でも作業できる。砂漠が広がるアフリカ諸国など
貧困国を中心に雇用創出を含め普及が進んでいる。

■SDGs

 一連の試みは時代の流れと重なった。国連は、
人類と地球がより長く共存できるよう、
SDGs(持続可能な開発目標)を掲げている。
「気候変動に具体的な対策を」「陸の豊かさも守ろう」など
17の目標があり、2030年までに達成すべきとしている。

 井口さんは言う。「この施設だけで温暖化や都市洪水が
なくなるわけではないが、地球が抱える課題を見える化することで、
地域の方に気付いてもらえる場所にしたい」。
単なるサッカー施設の枠を越え、神戸の
田園エリアから新たな価値を広めていく。(有島弘記)


https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202012/0013932640.shtml
2020/12/12 10:30神戸新聞NEXT

地域づくりはピッチから 滝川第二高OBらの法人、地元大学と共同研究
地域コミュニティーづくりの共同研究に合意したマイスターの岡良一代表理事
と神戸芸術工科大の齊木崇人学長=11日、神戸市西区学園西町8

 高校サッカーの名門、滝川第二高のOBらでつくる
一般社団法人「マイスター」(神戸市西区)は11日、
同市西区に整備する環境配慮型サッカーグラウンド
を拠点とした地域コミュニティーづくりなどに向け、
神戸芸術工科大(同)と共同研究会を立ち上げた。
同大で開かれた調印式に出席した同法人の岡良一代表理事(34)は、
「必ず実現させ、次世代につなげたい」と決意を語った。

 同法人は新グラウンドの完成を来年12月ごろと見込む。
地域交流の場として住民に開放するため、
里づくりに詳しい同大の齊木崇人学長に連携を提案。
自ら研究もしている齊木学長は「地域の理解が不可欠」とし、
「まず課題を整理し、実現に向けたスケジュールを提供したい」と述べた。

 研究会には、スポーツを通じた持続可能な社会を目指す
一般社団法人「グリーンスポーツアライアンス」(東京)も加わる。
海外の事例をよく知る澤田陽樹代表理事(42)は
「(スポーツ団体が)大学と一緒に新しいまちづくりを研究する例は、
世界で見たことがない」と、取り組みの価値を強調した。(有島弘記)







6月9日(水)閲覧数:642PV 訪問者数:401人

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