夜の庭
濁った曇り空
宙に浮く何か
近づいてみると
予想通りの生き物
2cmほどの躰
8本脚の影
少し大き目の蜘蛛さんでした
それにしても
樹と樹の間
何もない広い空間
どうやって糸を渡したの?
ずっと前
最初の糸を風任せに飛ばして
それを足場に巣をつくる
そう本で読んだ気がするのだけど
あってるかしら
方法は何にせよ
躰ひとつ
それだけで自身の何倍もの大きさの巣を張るなんて
大した職人さんですね
その大作の巣
薄闇の中だと見えなくて
浮いているようにしか見えませんでした
それに
もうひとつ
吊るされた影
お食事中だったのかもしれません
くっついたり 離れたり
まるで踊っているようでした
そういえば
毛むくじゃらの大きな蜘蛛さんの名も
舞踊と関係があったのではなかったかしら
……妙な知識に限って
蓄積されやすいのですよね
あ
急に雨が強くなってきました
蜘蛛さんはどうしているのでしょう
何故か最近
蜘蛛に縁がある露音なのでした