夕陽丘

時事問題とロースクールの日常など

◆弁護士費用の価格破壊?

2007年09月10日 00時49分32秒 | 企業法務学習日記
日経MJにこんな記事があった。

法曹に「格安」申し立て 法律事務所ホームロイヤーズ所長
 「弁護士業はサービス業に徹するべきだ」と言い切る弁護士がいる。法律事務所ホームロイヤーズ(東京・千代田)所長の西田研志(57)だ。「パラリーガル」と呼ぶ法律事務職員やIT(情報技術)を駆使することで弁護士業務を効率化し、“価格破壊”を仕掛けてきた。弁護士業界の禁じ手を次々と繰り出し「異端児」扱いされることも少なくないが、「評価は顧客が決める」と意に介さない。
[2007年9月9日付]


記事にもあるように、弁護士会でも有名な人である。

確かに、司法書士や行政書士あるいは一定の法律知識を有する職員を実働部隊として、さらに、IT化で処理を標準化することで弁護士費用を下げる事が可能になる。

サービス業であるという点もその通りといえる面がある。

とくに、費用面や能力の見極めが難しいことから弁護士へのアクセスが困難であった一般市民にとっては、価格破壊と能力の標準化は望ましい面がある。

ただ反面、依頼者が望む解決を柔軟に行う事が困難になることも事実だろう。

それ以上に問題となりそうなのは、長期的に可能なモデルなのかということである。

まず、現在は、いわゆるグレーゾーン金利の問題で法改正があり、また、最高裁判例が出されたことで、定型的に処理すれば相当額の手数料が見込めるが、これは、特需のような状態であり、特需が終了した後に継続的に収益を上げられるかどうかわからないことである。

また、弁護士が直接関与する部分が少ないことで、仮に、懲戒請求がなされ、それが通ってしまった場合、とたんにモデルが破綻することである。

さらにいえば、法曹人口の大幅増加で、自然と弁護士費用が下がり、パラリーガルを実働部隊とする必要があるのかどうかもわからない。

というように、今後も安定的成長が可能なモデルかはわからないが、法曹界の変革の可能性の一例であることは確かである。

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