夕陽丘

時事問題とロースクールの日常など

◆民間事業者における通報処理制度の実態調査

2007年12月02日 22時10分23秒 | 企業法務学習日記
内閣府が10月10日に公表した「民間事業者における通報処理制度の実態調査報告書」によると、公益通報者保護法の認知度は、調査対象の民間企業全体としては、69.4%で、同法の施行から1年半を経た時点での認知度そのものは高水準に達していると感じた。

ただ、詳細に見ていくと、問題点は多いように思える。

認知度を上場企業と非上場企業で見てみると、上場企業が94.2%であるのに対して、非上場企業では61.9%に低下する。従業員数別で見ると、1000人超の企業が90%以上であるのに対して、100人以下だと52%程度まで下がる。

また、内部通報制度の導入に関しては、全体で34%が導入済みとする一方で37%が今後も導入の予定はないとする。

昨今の企業不祥事事例を見るまでもなく、不祥事の多くは、内部からのリークによって発覚することが多い。このことからすれば、内部通報制度は、不祥事の外部へのリークが行われる前に経営レベルへ情報をあげる機会を付与し、十全な処理を行うことで企業イメージを防衛する可能性を生み出すと考えられる。

そう考えると、約4割の企業が導入の予定なしとするのは、いかにもコンプライアンスに対する認識が甘いといわざるを得ない。

内閣府国民生活局「民間事業者における通報処理制度の実態調査報告書」