夕陽丘

時事問題とロースクールの日常など

色彩判別法の効用

2008年10月12日 23時49分06秒 | ロースクール日記
旧試験の時代から、基本書やテキスト、答案の内容を複数の色で塗り分け、分析していくという学習法があります。私自身は、某予備校の講義で教わり、それ以来、自分なりの改良をしながら、現在も様々な場面で使っています。

某予備校で教わったのは、要件、効果、問題提起、規範、理由、反対説、結論、判例、条文といった項目ごとに色を決めておいて、読みながら色でマーキングしていくというものでした。

あらためて、この色を塗り分けながら読んでいく効用というものを考えてみると、単に黙読していくことや、鉛筆や単色マーカーでマーキングしていくことと比べて、その文がどういう内容であるかをいったん自分で考える必要があることから、その文の意味をより具体的かつ正確に把握できるという効用があるのではないかと考えられます。

ただ、そういう効用があるとしても、そのためにはひとつの前提があるように思えます。

塗り分けの意味は、文をいくつかの抽象化された項目にあてはめ、チェックするということです。そうすると、その抽象化すべき項目がどのようなものであるかが極めて重要になることになります。

その意味では、某予備校で教わった抽象化項目は、旧試験に対応したもので、必ずしも新試験、あるいは実務的な分析には適してないのかもしれません。

ちなみに、某教授の方法論によりますと、条文要件1、条文要件2、条文要件3、効果、というように塗り分けていくべきであるとのことであります。

なるほど、要件をひとつにくくらず、複数の要件がある以上、複数の色で分析するというのは合理的です。

個人的には、何回か条文の塗り分けを試しているのですが、そのたびに失敗しています。それは、個々の条項で判断すると要件あるいは効果となるが、当該制度に関する複数の条項全体で考えると、要件とされたものが効果ともいえたり、効果と思えるものが要件になったりと一義的に要件効果を決定できないと思えるからです。

現在、私は、1・主語あるいはテーマや問題点、2・要件、3・効果、4・事実、5・理由や条文あるいは根拠、6・批判や欠点、7・その他重要点、という7項目で分析しています。

そこで思うのは、事実を塗り分けることの重要性です。法と事実を峻別することは基本的なお約束ですが、意外とできていない、少なくとも明示的には行っていないということに気づかされます。

ちなみに、本文だけでなく、目次立ても塗り分けているのですが、こちらに関しては意味がないとの批判が周囲から加えられます。

個人的には、本文の塗り分け以上に重要だと思っているのですが…

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ぐっち)
2008-10-19 16:16:52
別の視点から思うことなのですが、人の能力として、塗られた色と、覚えやすさの関連性、認識性でいえば、

低 青系 → 黄系 → 赤系 高

というデータがあるそうです。特に赤色の効果は絶大だそう。

塗り分ける意味が、「考えること」に重点を置くのであれば、極端な話、何色でもよく、ビジュアル化させること、覚えることに重点を置くのであれば、色分けをしすぎるのも考え物なのかもしれませんね。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。