夕陽丘

時事問題とロースクールの日常など

◆自民調査会 WEB選挙運動原案

2006年05月31日 17時20分23秒 | ロースクール日記
30日に行われた自民党の選挙制度調査会でWEBを利用した選挙運動の解禁についての最終報告原案が提示されたことが報道されている。

それによれば,①解禁対象は,ホームページとブログに限定しメールは認めない,②誹謗中傷対策として,プロバイダーによる削除の猶予期間を3日程度とすること,③なりすまし対策として,メールアドレスの公表と違反者に対して2年以下の禁固または50万円以下の罰金を科すという罰則規定を設けるという。

30日の調査会では原案は了承されなかったが,与党協議に入ることは認められ,今後の日程としては,与党案を臨時国会で議員立法として提出,成立を図り,来年の統一地方選や参院選までの施行を目指すことになるようだ。

報道されている範囲内の内容であれば,積極的に批判する勢力はほとんどないだろうから,このまま順調に日程をこなす可能性が高いと考えられる。先日も,超党派の議員による研究会の立ち上げが報道されており,WEB利用の解禁そのものは既定路線と思って良さそうだ。

◆法令遵守 NHKの組織改革

2006年05月27日 06時07分14秒 | 企業法務学習日記

 NHKは26日、定期の人事異動とともに、現在の「コンプライアンス(法令遵守)推進室」を「コンプライアンス室」に改称するなどの組織改正を発表した6月5日付。「コンプライアンス室」では現在の3人体制を11人体制に増強。危機管理への対応や職員への教育などを担当していく。(SankeiWeb 05/26 20:44配信)
NHKにコンプラ推進室が存在したことは知らなかったけれど,それ以上に,3人しかいなかったことに驚いた。

NHKほどの巨大組織であれば,それなりの数が必要になるはずだけれど。一時期のコンプラ流行りの中で形式的に設置しただけだったのだろうか? 実質的な活動が可能だったのか興味があるところだ。

◆監査法人の役割

2006年05月21日 00時55分34秒 | 企業法務学習日記
数日前のワールドビジネスサテライトで,監査法人に求められる役割について,社会が期待するものと監査法人自身が考えているものには大きなギャップがあるという内容の特集が放送されていた。

特集の中では,監査法人に所属するある会計士がこんな趣旨の発言をしていた。曰く,監査法人は警察のような立場ではなく,監査を行う企業と対立的な存在ではありえないのであって,あくまで企業の側にある存在なのだ,と。

それに対して,一般の認識では,監査法人は中立的第三者の立場で企業活動の適正さを監査する存在であり,であるからこそ監査結果は意味があると思われている。同様に特集の中に登場したある個人投資家は,監査法人の適正意見が付された決算書を信じるのには監査法人の中立性があるとの趣旨を述べていた。

法の建前からすれば,監査をするものは,監査されるものとは別個独立の存在として監査を行うべきであり,かつ,監査は主に,所有と経営の分離により経営権を有さない立場にある株主の利益を守るためにあると考えられる。

ところが,会計士の発言に象徴されるように,監査は企業経営陣の便宜のためになされているといってもいいような実態がある。一種極論に近いかもしれないが,経営陣と株主の利益が対立する状況下では,監査法人は経営陣の側に立っていたというのが従来からの実態といっていいのではないだろうか。

企業監査はなんのためにあるのか? 企業活動の外部評価ではなかったのか?

現状は違うようである。

件の会計士の発言を聞いていて,実は少なからずショックを受けた。今回の中央青山の問題以前から(つまりカネボウ以前から),監査法人の監査には問題があるという意識が社会的にかなり高まっているはずである。それにもかかわらず現状維持の発想,しかも現状肯定の意識が現在も会計士には強く存在しているということは,今回の金融庁による処分を経てもなお業界に根本的な危機意識が欠如していることを表してはいないだろうか。

ただ,何で危機感がないのか考えてみると,それはそうかもしれないと納得する部分もある。エンロン事件を受けて米国では,SOX法による強力な規制がかけられることになり,企業のコストは急激に膨らんだ。しかし,監査法人にとってみれば,規制強化はある意味マーケットの拡大である。業界としてみれば,それほど困った事態は起こっていないとも考えられる。確かに,問題を起こした監査法人の会計士は巨額の賠償請求を受けることになるが,それは個別の問題である。

昨年,ある広告関係の会社の法務部長さんと話したときのことを思い出した。

コンプライアンスに対する意識が弁護士と会計士とでは大きく違うという話だった。弁護士は,企業に対して違法行為を奨励することはないが,会計士は場合によってはそれがありうるのだという。それはなぜかといえば,弁護士には強力な懲戒制度があるが会計士にはそれがないからだという。

会計士について何も知らない身なので,そのときはそんなものかなと半信半疑でいたが,件の会計士の発言を聞いていると,ありえる話かなとも思えてしまう。

しかしそうすると,現状では,今回のように金融庁が監査法人を処分したからといって一罰百戒の効果はとくになく,所属会計士が別の法人に移動するだけで問題の根本的解決には程遠いということになりはしないだろうか。

監査法人の役割は,企業活動の便宜にあるのではないし,まして不利益情報の隠蔽という違法行為を助けることにもない。しかし現状は,それが監査法人の役割であると業界が考えている。この状況を変化させる必要があることはもちろんなのだろうが,簡単ではなさそうだ。


◆村上ファンド 検査役選任請求

2006年05月20日 18時01分16秒 | 企業法務学習日記
村上ファンドが阪神電鉄株主総会の適正確保のため検査役選任を大阪地裁に請求していたことが報道されている。村上ファンドから発表されたようで,19日付で請求が受理されたという。

阪神電鉄のような大会社において検査役が選任されるという話は,自分が知る限りではあまり聞いたことがない。持ち合いが解消し,もの言う株主が増加することで,今後は検査役選任の事例も増えることになるのかもしれない。

◆動産担保制度の近況

2006年05月16日 19時46分50秒 | 企業法務学習日記
5月14日の日経朝刊1面に「在庫担保に公的保証」という記事が掲載されていた。それによると,経済産業省は,動産担保融資の促進対策として,①信用保証協会が実施する融資の担保に動産を利用できるよう中小企業信用保険法を改正するとともに,②「動産鑑定士」制度を創設することで適正な担保価値評価が行われるようにするそうだ。

◆記事による経済産業省の促進対策の要点
①来年(平成19年)の通常国会に中小企業信用保険法改正案を提出
②動産品目別に取引価格等をデータベース化する。
③製品毎に大体の担保価値が判断できるように評価基準を作成する。
④来春から「中小企業信用リスク情報データベース」に動産担保データを追加。
⑤動産担保評価の専門資格として動産鑑定士を創設。
⑥中小金融機関向けに動産担保融資業務手順のガイドラインを今夏までに作成配布する。

動産を担保化する方法として,従来から譲渡担保が用いられていたが,公示方法の不十分さから担保目的物の管理が難しく,例外的な担保方法と位置づけられて一般的な利用はされてこなかったといわれる。とくに,金融機関による融資の分野では積極的利用の意思は皆無に近い状況があったようである。

しかし,昨年10月施行された改正動産及び債権譲渡特例法により,動産譲渡登記が可能となり,登記による安定的な公示方法・対抗要件の充足が可能となり,公示方法の不十分さに起因する問題はクリアされたと考えてよいと思われる。

これを受けて,みずほ銀行,りそな銀行や三井住友銀行等メガバンクが動産担保融資を開始している。新聞報道によれば,昆布や煮干,ピアノ等の在庫を目的物とした融資の実施例があるようだ。また,りそな銀行は,ドンキホーテに担保評価と処分を委託する形式で,景品企画製造を行うパートナーズ(東京・新宿)に3000万円の融資を実行したという。

今後も動産を担保方法とした融資は拡大するだろうが,日経の記事にあるように,アメリカで企業対象の融資の2割が動産担保で実施されているのと比べれば,日本における動産担保融資は限定的なものだ。売掛・知財と在庫等動産全体で4%ということなので,動産に限定すれば現状では1%にも届かないのかもしれない。

しかし,動産担保融資が安定的制度となれば,経営者の個人保証がもたらしてきた種々の問題点の解決にもつながることになる。経済産業省の方針は望ましいものだと思う。

それにしても,近時の法改正は,法務省ではなく経済産業省が主導する例が多いようにみえる。会社法の改正にしてもそうだが,スピード感のある改革の実行には異なったDNAの存在が不可欠ということなのだろうか。



◆業務停止後のアイフル

2006年05月08日 23時17分44秒 | 企業法務学習日記
行政処分により,アイフルは今日から最大25日間,債務者からの任意の返済以外の業務を停止する。今回の問題がどれだけ業績に影響を及ぼすのか,部外者にはわからないが,軽微でないことは容易に想像ができる。

アイフルとしては,全社的にコンプライアンス体制の見直しを推進し,社員のコンプライアンスマインド醸成のため相応の教育や研修を行っていくことになるのだと思う。

ただ,コンプライアンスマインドの醸成は一日一朝に行えるのものではないことはいうまでもない。コンプライアンスという目的を企業の達成すべき目標の一部とするべく,相当長期間にわたり継続的な取り組みを実践しなければ,必要なコンプライアンスマインドを醸成し,不祥事を防止することはできないと考えられる。今後,アイフルがどのような取り組みを行っていくのか,注目していきたいと思う。

ある意味,コンプライアンスは,「業績向上」という企業にとっての基本的な目的と対立するもの,あるいはブレーキをかけるものだと思う。それでもなおコンプライアンスは企業の存立に必要不可欠のものという認識を全社員が共有し,そのための取り組みを行っていくことは容易ではない。それだけに,トップリーダーが明確な方針を設定し,それを全社に確実に伝達することが第一歩になるのだろう。

ただ,この点にしても一時的,形式的なポーズに終わっては意味がない。

例えば,顧問弁護士等の指示に基づいて,対外的にコンプライアンス方針を公表したり,一定期間コンプライアンス研修を実施するといった作業はとても簡単なことだ。しかしそれでは,全社的にトップリーダーのコンプライアンス方針を浸透させることにならない。コンプライアンスのための取り組みがひとつの業務体系になるような体制が確立されることがある意味理想形かも知れない。

コンプライアンスの観点から問題のある行動を行うのは,通常は最前線にいる末端の社員だ。しかし,何ゆえ末端の社員が問題のある行動をとるかを考えると,普通それは,彼らを管理する上司の指示命令という原因があるからだろう。もちろん,違法行為を積極的にやれと命じる上司はそうはいないだろうが,暗黙のうちに許容していることは多々あると考えられる。例えば以下のようなストーリーが考えられる。

業績未達の社員が上司から「何としても結果を出せ」と命じられ,まずいんじゃないかと思いつつ強引な取立てをやってしまう。当初は悪いことをしているのではと思うがやっているうちに慣れてしまい,次第にやり方がエスカレートする。結果が出ていれば上司は文句を言わないので,末端の社員は,これでいいのだと思う。

そういう社員の心理は想像するに難くない。

このようなストーリーがありうるのものだとすれば,コンプライアンスという目的のための取り組みにおいて重要なのは,末端の社員への教育というよりも,末端の社員を管理するミドル層の意識改革といえなくもない。

トップリーダーのコンプライアンス方針を全社的に浸透させるためには,ミドル層のコンプライアンスに対する意識向上が決定的に重要なのだと思う。



◆日々のMBO

2006年05月07日 22時49分09秒 | 日記・書評
GWが終わり休暇疲れを体に残しつつ,また日常が始まる。

上司や指導教授,あるいはメンターといった人がいれば中長期の目標管理は比較的容易である。しかし,短期の目標管理は上司等がいてもなかなか難しいと思う。

とりあえず,PDCA的発想で一日のプロセスをいくつかに区分することで事前の計画,事後の確認はできるのだけれど,どうすればより効果的な時間の使い方ができるようになるか見えてこない。

まずは客観的データの積み重ね。そして目的や理念に基づく構造化。あとは実践という試行錯誤。

やはりこれしかないかな。



◆長き道程

2006年05月03日 16時55分01秒 | ロースクール日記
退職→法科入試→入学→卒業→新司法試験…

うーん長い道程だなあ。

今日は,普段通り6時起床で適性試験の問題集に取り組んでました。

しかし,自宅でやっているので,長時間の集中が維持できず,ついつい脱線。気分転換に散歩。

自宅に戻り,ブログ更新。で,問題集。ブログ更新。掃除。

やはりもう少し一日のスケジュールを明確にしないとダメそうです。

がんばれ! 自分!