甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

ハチは生きる。それを支え、そこで糧を得るひと

2023年06月28日 21時35分09秒 | だいたい映画、ときどきテレビ

 21時まで、珍しくNHKの「プロフェッショナル」という番組を見てしまった。養蜂家の藤居高治さんに取材していて、たくさんの弟子を育て、家族を巻き込み、妻とも夫唱婦随で、84歳の今も現役で蜂数百万匹を育て、ともに旅しているということでした。

 ハチたちは、カゴシマのレンゲが大好きで、ここでたくさん活動をする。昔なら、全国で菜種油のナタネを作っていたので、そこを転々として養蜂家活動をしていたという。

 カゴシマから北海道まで、ハチたちが生きている限り、彼らの活動の場を探してあげていた。そして、ハチを育てるのは確かにそうなんだけど、ものすごくハチへのリスペクトがあって、ハチがいる限る自分もいるし、死ぬまでハチに関わるだろう。死んでも、ハチの箱を二、三個持っていかなきゃ、というくらいに愛しておられるようでした。

 奥様は、「私の方が死ぬのなら、先に行きたい。あの人が元気がなくなるのなんか見たくない」とおっしゃられていましたが、たぶん、二人とも元気で長生きされて、どっちが先とか、そんなの関係なくずっとハチと関わっていかれるのだろうな、という気がしました。

 ハチに関わるすべては弟子入りした者たちに伝える。もう60年ほどの養蜂人生の中で何百人か弟子入りしたものがいて、そのうちの何十人かは独立していった、ということでもありました。

 そういうネットワークも作っておられる。息子さんもしっかり跡を継いで、いよいよ四代目としてやっていけそうな感じもあった。

 90年代にナタネの栽培はなくなり、レンゲを育てて田んぼの肥料にするという農法もなくなりつつあって、ハチたちが相手にする広く栽培された花たちというのがなくなりつつあるともいう。

 そんな中で、青森のリンゴ農家が、虫がいなくなって受粉する虫がおらず、ぜひ来てくれということになり、もう青森通いも何十年か過ぎているともいうことでした。

 今は、レンゲからリンゴへという日々なんだそうですが、これから日本の大地はどのように変わっていくのか、相変わらず農薬は使われるだろうけど、自然と仲良くしながら農産物を作って行く姿勢に変わりつつあるから、その流れに乗り、養蜂もそれを支える柱として見直されていくだろうか。

 そんなことを思って、テレビを見終わりました。新しく生まれた女王バチは、自分の存在をアピールするみたいに、群れの中でひとり高らかに鳴いている場面も見ました。こんなことが今も続いているのかと感心したシーンでした。ハチたちは短い一生の間に、ものすごく働いて、献身的で、オレがオレがというのは全くない。女王バチだって、生まれた瞬間はあんなだけど、後はずっと家族のために巣箱の中で働き続けるでしょう。

 「働きバチ」という、人を組織のパーツとして蔑む言い方もあったけれど、それは誤解で、ハチはそんな生きるためとか、なぜ生きるのかとか、存在を疑うことはないようです。ひたすら生きるために生きる。それだけみたいで、人間の勝手な解釈でゆがめられた言葉なのかもしれない。ハチは、そんな言葉を使う人間を憐れんでいるかもしれないな。

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