甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

輪島市の時国家を想う

2024年01月06日 21時30分58秒 | きたぐにへの旅

 震災の年、2011年の春からスタートしたNHK-BSの「こころ旅」という番組があります。その時、最初から日本海まわりで京都から北海道まで自転車で行くという企画だったみたいで、たまたま太平洋側を通らないことになっていました。

 そして、3.11があって、正平さんたちは京都から福井、石川、富山、新潟、山形、青森、最後に北海道まで自転車で走っていったそうです。その時、私は何も知らなくて、そもそも19時に帰宅するなんて、夢のまた夢で、縁がありませんでした。

 それから13年が経過して、今年また14年目が始ろうとしています。コースは、鹿児島から三重県を通って長野まで行くという計画になっていました。たまたま石川県はコースに入っていませんでした。

 そして、もしかすると、2011年は無理だったけれど、2012年にはちゃんと太平洋側を走っていったので、もし2025年のシーズンがあれば、正平さんたちは石川県を訪ねるのかもしれないな、と思ったりします。可能であれば、やってもらいたいけど、どうなるんだろうな。



 突然に「こころ旅」って、変だなと思われたでしょう。そして、どうして時国家なんだよ、というところですけど、2016年だったか、いつというのはわからないんですが、能登の輪島市の時国家でのエピソードが取り上げられていたのを思い出しました。

 手紙の主からすると、たぶん、70年代、ディスカバー・ジャパンということで日本中を旅する若者たちがたくさんいた時代があって、東京の上野駅からはたくさんの夜行列車が何本も出ていき、名古屋からも、大阪からも、各地へ向かう旅人たちを乗せて、みんながリュックひとつで飛び出した時期があったそうです。

 その流れが、能登半島のほとんど先端というのか、東の端は珠洲市で、北の端は今回大火事のあった輪島市で、その珠洲と輪島の中間くらいの、海沿いの漁村に、突然現れる時国家というお屋敷を、関西からのお嬢さん二人がやってきたそうです。けれども、不便なところだから、すぐにバスがなくなって、泊まるところも決めてないという、そんな無計画な旅でピンチになっていた。そこを地元の若い男性に救われて、お宿も観光もさせてもらい、付き合いは続いて、最後には一人の女の人と結ばれてしまった。

 その出会いの場所が、輪島市の時国家というお屋敷前のバス停だった、ということでした。正平さんたちは、時国家の中には入らないで、バス停で手紙を読んで、番組はそれで終わります。



 そういう、熱に浮かされた時代があったのだと今さらながら思います。みんなが自分も知りたいし、人も知りたいし、日本の大きさも知りたいし、自分の知らないところを訪ねたいし、必死になって先端をめざした時代がありました。

 そういう時代から数十年が経過して、今の若い人たちは、真面目に自分たちのベース(基地、家庭、安定)が欲しくて必死になって働いていて、たまに休みがあったとしても、とても日本の端っこに行ってみたい、なんて思わなくなりました。

 それよりも、おいしいラーメンとか、絶品グルメとか、とびきりの風景とか、そういうのを求めて、ほんの少し移動するというところでしょうか。

 時国家というのは、源平の戦いの後、すべて滅んでしまった平家の中で、清盛の奥さん・時子さんのご実家に、平時忠という人の五男の時国さんという人が、流刑で能登のものすごく不便なところに流されて、そこから千年近く地域に根をおろしてやってきて、お屋敷も続いていて、観光資源になっているのだということでした。

 不便な土地というのは折り込み済みで、そういうところで生きていくようにさせられ、見事にそれに応えてしっかりと地域で生きてきた証拠だったのですね。

 たぶん、あと後になって、今はどうなっているのか、というのがわかると思われますし、今はそこに生きている人たちがちゃんと生活できることが第一なんだけど、落ち着いたら、ふたたびみんなが日本の端っこをめざして動き回り、そこでしっかり生きている人々にふれ合う旅というのができるようになれば、日本の端っこも活性化するだろうなと思ったのです。

 日本の偉い人たちが、口では大変だと言いつつ、自分たちの裏金をごまかす作戦を練り、しっかり予定通りの新年会で憂さ晴らしをしているようですが、あの人たちはもともと端っこには興味がない人たちでした。あんな人たちをあてにしてはいけない。

 私たちは、私たち自身で、自分のいる世界を見まわし、自分を知るために数十年前に人々がめざした日本の先端部というのを見に行きたいと思います。



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