甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

火まつり(中上健次) 1982

2014年02月05日 22時10分04秒 | 三重の文学コレクション

 中上健次という作家がいました。もうかなり昔に亡くなったので、若い人は知らないと思います。娘さんや奥さんが作家として活動されているようだし、今後思い出したように誰かに注目されて、少しは話題になることもあるかもしれません。でも、このまま忘れ去られてしまうのではないかという不安の方が強いです。あんなにすごい勢いで作品を書いておられたのに、今の人は何だか薄情です。

 と、知ったかぶって書いてますが、ボクには本当に中上健次さんを語る資格はありません。何冊か健次さんの本を買いましたし、小説にもチャレンジしましたが、読み切ったのは角川春樹さんと一緒に俳句を話題にした対談の文庫本1冊だけです。小説は短編なら読み通したのかもしれませんが(内容は全く憶えていません)、長編はゼロです。読まずギライなのかもしれません。

 とにかく、何となく(雰囲気的に?)彼の世界に入り込めないような気がして、手に取ることをためらってしまいます。もう小説の冒頭から頭に入って来なくて、何度も前にもどらなくてはならないし、その物語に興味が起きません。語り口も私と波長が合わない感じです。ハードルはもうすごく高いところにあります。いつか、スッと入ってくる時がくるのを待ちましょう!

 友人が、映画のプロダクションで仕事をしていたときに、そこの監督さんが中上健次さんと組んで、脚本も書いて、撮影も現地で行ったようです。友人は熊野と新宮の間を何度も往復して裏方の仕事をがんばったらしいです。そして、やっとできあがったのが「火まつり」でした。シネセゾン配給で1982年ごろの作品でした。監督さんと中上さんは以前「19歳の地図」で組んだことがあったので、そのコンビの2回目に当たる作品でした。

 キャストが北大路欣也さんと太地喜和子さんの2人が主役で、そこで私としては興味は半減していました。他に三木のり平さんが出ていたりもするのですが、出てる人たちがあまりに正当派すぎて、これが中上健次の世界なのかと、少し疑問でありました。たぶん「19歳の地図」のいかにも独立系映画のキャストでなくて、「役者にお金をかけたよ」的な雰囲気が気に入らなかったのかもしれません。まあ、これは趣味の問題ですので、要は中身がよければそれでよかったのですが……。

 熊野の森に生きる男がいて、日々森と交信しながら生きていた。もう冒頭から神がかっています。普通ならここから観客は引いてしまいます。でも、熊野では、そんなことがありふれた感じであって、あちらこちらに神様がいるようなのです。だから、しょっちゅう人間は神の怒りに触れて、とんでもない目に遭ったり、神様にそそのかされたのか、とんでもないことをしてみたりしています。一見普通そうに見える人たちなのに、何かどこかに普通ではないものを抱えるようにしながら、人々は普通そうに生きているのです。

 男は、家族を持ち、周囲から浮いた、少しとんがった存在で、流れてきた女と交際したり、あれこれするうちに、結末となり、家族全員を猟銃で殺して、自分にも銃口を向けて死んでしまいます。これは神様のしわざではなくて、人間のわがままであり、1人の人間の少し変わった生き方だったと思うのですが、中上さんは実際にそんな事件が、自分の生まれた熊野には起こりうるのだ、それが熊野の地の力なのだと直感して、シナリオに仕上げたのだと思います。

 見終わった後に、実話を映画化したものだとはいえ、なぜそれを映画にするの? それはどんな意味があるの? お客は何を感じればいいの? と、ものすごく疲れた感じになって、映画館の暗闇から明るい現実社会に出てこなくてはならなくて、それが友人が何ヶ月もかけて作り上げた作品なのかよ! と、悲しくなりましたっけ……。

  でも、実は私は、何年かして、映画がレーザーディスクになった時に、入手してもう一度見ています。その時にも何とも言えぬ後味の悪さを感じて、そのディスクは右から左へとどこかに流出させてしまいました。今度いつ見られるか、わかりませんが、とにかくあとを引く印象があって、じんわりイヤーな感じか広がります。そんなあまりいい作品ではありませんでした。でもなぜ……?〈つづく〉


★ ということで1年経過しました。今、21時過ぎだから、もう新宮市のお灯まつりは終わっているはずです。お月さんもでているでしょうし、熊野の春はもうすぐそこまでという感じになるかもしれません。

 お祭りに参加した皆さんは、今日灯したたいまつの燃えがらを自宅に持って帰って、1年の無病息災を祈るのです。うちにあった燃えがらはしばらくしたら、ゴミとして捨てたんでしょうか。まさかそんなバチあたりなことはしないはずだから、どこかへ持って行ったのかな。

 今日は少しだけ寒さもゆるみました。日没も夏至から30分以上おそくなりました。毎日1分ずつ日没時間は遅くなるそうで、あの夏もまたやってくるのですね。

 寒いのもいいけれど、ナツもやはりいいですね。昔は夏は暑くて勉強ができないとか、えらそうなことを言ってた私ですけど、今では暑くても寒くても勉強しないのは同じです。ただお酒飲んでグダグダ言っているだけです。

 今日、体調がもどってきて、5日ぶりにワイン飲みました。もっと飲もうかと思ったのですが、止められてしまった。ああ、奥さんのありがたいお言葉でした。ハーアー。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。