甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

石垣りんさん「おやすみなさい」

2024年06月18日 21時05分22秒 | 三重の文学コレクション

 三重の文学として、詩人の石垣りんさんの「おやすみなさい」を見てください! ほんの少しのつながりではあるけれど、りんさんは四日市のぜんそく被害でも取材をして来られた人でしたもんね!

   おやすみなさい

おやすみなさい。

夜が満ちて来ました。
潮のように。
ひとりひとりは空に浮かんだ
地球の上の小さな島です。

朝も 昼も 夜も
毎日
何と遠くから私たちを訪れ
また遠ざかって行くのでしょう。

いままで姿をあらわしていたものが
すっぽり海にかくれてしまうこともあるように。
人は布団に入り
眠ります。

濡れて、沈んで、我を忘れて。

私たち 生まれたその日から
眠ることをけいこして来ました。
それでも上手には眠れないことがあります。

今夜はいかがですか?
布団から やっと顔だけ出して
それさえ 頭からかぶったりして
人は 眠ります。
良い夢を見ましょう。

財産も地位も衣装も 持ち込めない
深い闇の中で
みんなどんなに優しく、熱く、激しく
生きて来たことでしょう。

裸の島に 深い夜が訪れています。
目をつむりましょう。
明日がくるまで。

おやすみなさい。



 朗読のための詩、と言っても他の詩を書く時と同じですが、ただ音で聞いてわかりにくい言葉は始めから使わないだけの違いで。

 名古屋の東海テレビが、一日の番組終了を知らせる局のサイン=クロージングに詩を流したいから、と言われてこれを書きました。昭和55(1980)年4月以降、現在もギター曲が流れる中で、俳優さんによる朗読が続けられているそうです。

 詩の依頼を受けた際、例えば心の中に少しばかり耕された畑があって、茄子だのきゅうりだのが植わっている。あ、あそこにちょうど食べごろの実が成っている、と目安をつけ承諾することがあります。

 そんな都合のよいことはめったにないのも事実ですが、私たち、生まれたその日から眠ることけいこして来たという、当たり前だと言ってしまえばそれだけのことが、この時どこかに言葉として実を結んでいたように思います。でもそれだけでは詩になりませんので、いつもながら不安な気持ちで畑に行ってみたら、子守唄に必要な言葉はどうやら手籠を満たしてくれた、と言ったらよいでしょうか。

 いつでしたか、三重県津市のビジネスホテルに宿泊、百円投入してテレビを見ていたら最後に「おやすみなさい」が流れて来ました。自分の書いた詩を旅の枕に、うとうとと我を忘れて行きました。



 40年くらい前、石垣りんさんは、東海地区やら三重県と少しだけ関係がありました。ずっと東京におられたし、ご実家は伊豆の下田の方ということだったし、あまり縁はなかったのに、よくぞまあ、三重県に仕事や取材で着てくださったなんて、ありがたいことでした。

 残念ながら、遊びや何かがしたくて来る、というのはあまりないみたい。そうなんですね。三重県は、いろんな方に仕事に来てもらったらいいんだ。遊ぶところは要らないから、いろんな人たちが、いろんなことで仕事をしてみようと思ってきてもらったら、それで私どもはうれしいんですから、そういう街づくりをしていったらいいのかなあ。




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