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プリン体だけ気にしてもダメ!飲み会前に押さえたいビール&尿酸値の正しい知識 第23回 尿酸値が気になる人のための飲み会でのメニューの選び方

2016年08月18日 19時34分21秒 | 市場動向チェックメモ
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100014/080300030/?waad=k5j61Kzk

プリン体だけ気にしてもダメ!飲み会前に押さえたいビール&尿酸値の正しい知識
第23回 尿酸値が気になる人のための飲み会でのメニューの選び方
2016/8/9 村山真由美=フリーエディター・ライター
ビールがおいしい季節だ! しかし、尿酸値が気になる人にとって、プリン体の多いビールとの付き合い方は気になるところ。ビアガーデンや居酒屋に行く前に、尿酸値とビールの関係について知っておこう。

ビールを美味しく飲みたい!だからこそ、知っておきたい本当のこと(©kazoka30 123-rf)
知っておきたいこと その1

アルコール自体が尿酸値を上げるため、
プリン体を控えるだけではダメ

 尿酸値が高い人はプリン体の多い食品を控えたほうがいいということは、よく知られている。ビールはプリン体が多いので、「ビールをやめて、プリン体を含まない発泡酒や焼酎にすればいいだろう」と思っていないだろうか?

 しかし、アルコール自体に、尿酸の産生を増加する働き(下図の【1】)や、尿酸の排泄を阻害する働き(【2】)、利尿作用により尿酸を濃縮させる働き(【3】)があり、結果的に尿酸値を上げてしまうことは意外に知られていない。

 ビールや食品に含まれるプリン体の摂取(【4】)をやめるだけでは、尿酸値は下がらないことを知っておこう。アルコール自体の摂取を控えることが大切だ。

◆ビールに限らず、アルコール自体に尿酸値を上げる働きがある!

アルコール飲酒による高尿酸血症の機序  厚生労働省『e-ヘルスネット』掲載の図を改編
[
知っておきたいこと その2

肥満者はやせると尿酸値も下がる!
「プリン体の制限」より「総エネルギーの制限」を主眼に

 尿酸値が高い人は、肥満、とくに内臓脂肪型肥満の人が多いといわれる。肥満の人が体重を落とすと尿酸値が下がることが分かっているので、食べ過ぎ、飲み過ぎを控え、適度な運動を取り入れて肥満を解消しよう。

 プリン体は、実は、食事から取り込まれるだけでなく、私たちの体内でも常に作られていて、その割合は体内で作られるもののほうが多い。そのため、食事からのプリン体の影響はさほど多くないと考えられている。

 また、プリン体はいろいろな食品に含まれているため、気にしすぎると栄養のバランスが崩れてしまう。現在では、プリン体を警戒しすぎるよりも、総エネルギーを抑え、栄養バランスよく食べることのほうが重要だといわれている。

 1日に必要とする総エネルギー量は年齢や性別、身体活動レベルによって違うが、例えば、30~49歳で身体活動レベルの低い人の場合、男性は1日2300kcal、女性は1日1750kcalが目安になる。単純に3で割ると男性は1食約770kcal、女性は583kcalとなる計算だ。

推定エネルギー必要量(kcal/日)
年齢 男性 女性
身体活動レベル 身体活動レベル
低い 普通 高い 低い 普通 高い
18~29歳 2300 2650 3050 1650 1950 2200
30~49歳 2300 2650 3050 1750 2000 2300
50~69歳 2100 2450 2800 1650 1900 2200
70歳以上 1850 2200 2500 1500 1750 2000
『日本人の食事摂取基準2015年版』より

 ビアガーデンで飲むビールはうまい。中ジョッキ1杯で済む人は少ないだろう。1杯およそ200kcalなので、2杯飲めば400kcal、3杯飲めば600kcalとなる。ビールを中ジョッキで3杯飲むとおおよそ1食分のエネルギーに匹敵してしまうことは覚えておきたい。

 さらに、酒を飲むと脂っこいつまみがおいしく感じ、ついつい食べ過ぎてしまいがちだ。いきおい、締めのラーメンまで食べてしまったりもする。こうなると、1食で1日の総エネルギー量くらいは軽く摂取してしまいかねないことを肝に銘じよう。

 また、砂糖の主成分であるショ糖や、果物などに含まれる果糖の取り過ぎも尿酸値を上げるので、これらの摂取にも注意したい。

◆考えなしに飲み食いすると、1日の総エネルギー量に迫ることも!

参考:『新毎日の食事のカロリーガイドブック』、『家庭のおかずのカロリーガイドブック』(女子栄養大学出版部)『日本食品成分表2015年版』

知っておきたいこと その3

高プリン体食品はできるだけ避けたい!
1日400mgを超えないように

 プリン体を警戒しすぎることより、総エネルギー量を控えることを主眼とするとはいえ、高プリン体食品はできるだけ避けたほうがいいことも事実だ。

 100g当たりに200 mg以上のプリン体を含むものを高プリン体食品というが、具体的にはレバー、干物、かつお、いわし、えびなどが挙げられる。尿酸値が気になる人は、これらをできるだけ控え、プリン体の摂取を1日400mgまでに抑えたい。酒のつまみには高プリン体食品が多いので、うっかり取りすぎないように注意しよう。

プリン体が極めて多い食品
(100g当たり・300mg~)
鶏レバー:312.2mg
まいわし(干物):305.7mg
いさき白子:305.5mg
あんこう肝(酒蒸し):399.2mg
プリン体が多い食品
(100g当たり・200~300mg)
豚レバー:284.8mg
牛レバー:219.8mg
かつお:211.4mg
まいわし:210.4mg
大正えび:273.2mg
まあじ(干物):245.8mg
さんま(干物):208.8mg
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版』より

参考:『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版』、ビールの数値は9社の平均

ビールは酒のなかではプリン体を多く含む。プリン体を含まない発泡酒にすればプリン体は0mgに。ノンアルコールにすればさらによい。

プリン体は内臓に多いため、あん肝や鶏レバーは避けよう。あん肝は食感がちょっと似ている冷ややっこにチェンジ。焼き鶏レバーはもも肉に変えればプリン体はかなり減らせる。

かつおは魚介のなかでもとくにプリン体が多い。尿酸値が気になる人は、刺し身を食べるときは、比較的プリン体が少ないぶり、さば、さけなどを選ぼう。

魚卵もプリン体が多い。なぜなら、プリン体は細胞核にある核酸を構成する成分だからだ。同じ魚卵でも細胞1つ1つが小さくてたくさんあるものほどプリン体が多くなる。1回に食べる量が少ないので、さほど気にすることはないが、覚えておいて損はない。

知っておきたいこと その4

水を十分に飲み、尿量を増やして尿酸を排泄しよう
とくに、飲酒時は意識して水を飲むべし


のどが渇いているときは、まず水を飲もう!!(©ginasanders 123-rf)
 尿酸は体内で日々作られるので、尿でどんどん出すことも有効だ。この場合、適している飲み物は水だ。

 前述したが、アルコールは体内で尿酸を作ったり、尿酸の排泄を阻害してしまう。それだけではない。アルコールは利尿作用があるため、飲んだ量よりも尿が多く出てしまう。つまり、ビールを飲むと体の水分量が減って尿酸が濃縮され、尿酸値が上がってしまうのだ。

 のどが乾いているときは体の水分が減っているため、尿酸値は上昇している。このときビールを飲むと、さらに尿酸値を上げてしまうので注意が必要だ。のどが乾いているときは、まずは、水を飲もう。ビールを飲むならその後だ。ビールを飲んでいる間も水を飲むようにすれば、ビールの飲み過ぎを予防することもできる。

(イラスト:Akiko Takagi)

◆参考資料
●『高尿酸血症・通風の治療ガイドライン 第2版』
●『日本人の食事摂取基準2015年版』
●『尿酸値をしっかり下げるコツがわかる本』(学研パブリッシング)
上西一弘(うえにし かずひろ)さん
女子栄養大学栄養生理学研究室教授
上西一弘(うえにし かずひろ)さん
徳島大学大学院栄養学研究科修士課程修了後、雪印乳業生物科学研究所を経て、1991年より同大学に勤務。
専門は栄養生理学、特にヒトを対象としたカルシウムの吸収・利用に関する研究など。
『日本人の食事摂取基準2015年版』策定ワーキンググループメンバーを勤める。

ここぞの場面で揺らがないルーティンとは ビリヤード日本一・土方隼斗氏に聞く

2016年08月18日 18時57分51秒 | 市場動向チェックメモ
http://bizgate.nikkei.co.jp/article/113883313.html

ここぞの場面で揺らがないルーティンとは
ビリヤード日本一・土方隼斗氏に聞く

2016/08/17
予防医学者 石川善樹氏

 予防医学者の石川善樹氏がさまざまな分野のエキスパートと対談しながら、脳とうまく付き合う方法を探る連載シリーズ。第7回のお相手は、いま国内最強といわれるプロビリヤード選手の土方隼斗氏です。実力が拮抗し、年に2回優勝するのも難しいと言われる国内の大会で、今シーズンはすでに6回も優勝。驚異的な勝率をマークしています。偶然に左右されやすいうえ、メンタルが勝敗を分ける比重が大きいこの競技で、なぜ勝ち続けられるのか。理由を聞くと、ビジネスパーソンにも通じる心構えの大切さが浮かび上がってきました。

ビリヤードは「確率」の競技

石川 善樹氏(いしかわ よしき)
1981年広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業後、ハーバード大学公衆衛生大学院修了。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとして学際的な研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、マーケティング、データ解析等。講演や、雑誌、テレビへの出演も多数。NHK「NEWS WEB」第3期ネットナビゲーター。著書に『疲れない脳をつくる生活習慣』(プレジデント社)、『最後のダイエット』『友だちの数で寿命はきまる』(ともにマガジンハウス)など。
石川 土方さんに対談をお願いしたのは、先日、数人でビリヤードを教えていただいたとき、「超オモシロい!」と思ったからです。もともと、私はいろいろな分野で高いパフォーマンスを出し続けている人の研究をしていて、ぜひじっくりとお話をうかがいたいなと。

土方 ありがとうございます。

石川 いきなり土方さんを差し置いてなんですが(笑)、ビリヤードには野球界におけるイチローのような、伝説的なプレーヤーっているんですか?!

土方 います! フィリピンのエフレン・レイズ選手です。もう60歳をすぎた大ベテランですが、大きな国際大会は必ずと言っていいほど制しています。ビリヤードって、世界的にみても勝ち続けられる選手ってほとんどいないので、この世界では誰もが認める「神様」的な存在です。

石川 そうなんですか。なぜ、こんなことを聞いたかというと、先日レッスンしていただいた時、「この位置だと、プロなら10回中6回は入れます」と話されていて、「あっ、ビリヤードって確率なんだな」と思ったからなんです。確率の競技であるということは、勝ち続けるのは難しいのかなと。

土方 ほかの人はどうかわかりませんが、僕は確率で考えるようにしてます。たとえば、入る確率が20%くらいしかないのに攻めていっても意味がない。自分の中で実力をわかっていないと判断できないのです。

石川 なるほど。

土方 ビリヤードが他の競技と一番違うところは、試合中に自分が1回もプレーすることなく終わる可能性もあるってことなんです。

石川 ええっ!? そんなことってあるんですか。

土方 ええ。一番ポピュラーな「ナインボール」というゲームは、1番から9番まで書いてあるボールを順番に落としていき、9番を落とした方が勝ちます。それを1セットとして、7セットとか9セット先取した方が勝ちなんですが、相手が1回も失敗しなければ、そのまま試合が終わっちゃう。そうなると世界チャンピオンでも勝てないんです。

石川 それってタマにあるんですか。

土方 まずないですけどね。ただ、相手がミスったショットで、すごく難しいボールの配置になることはよくあります。ボールとボールがすごく近くなるとか。狙ったわけではないのに、プロでも打てない絶妙のショットになる。だから、強い人がいつも勝てるとは限らないわけです。

石川 そんな競技なのに、エフレン・レイズという人はすごく勝ってるんですね。他のプレーヤーとどんなところが違うんでしょう。

会場も味方に付ける伝説のプレーヤー


土方 隼斗氏(ひじかた はやと)
1989年東京都生まれ。実家はビリヤード場を経営し、小学生の頃から本格的にビリヤードを始める。2005年にプロ試験合格。アマ時代から数々のトーナメントで優勝し、2013年に初めて「ジャパンオープン」を制覇。その年の年間ランキング1位を獲得する。2016年は2度目のジャパンオープン優勝を果たすなど、すでに6勝。11戦して決勝進出が9度と驚異的な成績を残す。公式ブログ「My Mission」(http://ameblo.jp/hayato-hijikata/)などを通じ、情報発信にも積極的。
土方 僕も全盛期を直接知ってるわけじゃないんですが、ミラクルショットというか、奇跡を起こすようなショットが多いそうです。さっき話したような難しい配置のボールでも入れてしまうとか。それで試合の流れが変わって、最後には勝ってしまう。

石川 へえー。土方さんなら、その人の強さをどう分析しますか。

土方 もちろん技術も大事ですけど、試合の流れとか、会場の雰囲気を自分に有利にもっていくのがうまいのかなと思いますね。流れって大事ですから。

石川 サッカーでもホームチームの方が有利と言いますよね。

土方 何かを起こすときって、自分でも意識していないと起きないと思うんですよ。「今日はアウェーだから無理だな」と思ったら絶対にいいプレーはできない。

石川 プロのレベルだと、技量の差はそんなにないんですか。

土方 そうですね。やはりメンタルが一番大きいと思います。どの舞台、どんなコンディションでも対応できる力と、何も気にしないメンタル。対戦相手が強そうだからといって自分のパフォーマンスが変わることもない、そんな力でしょうか。

石川 土方さんは今年、ものすごく勝ち続けてますけど、何かをつかんだんでしょうか。

土方 つかんだかと聞かれると、そうだとは言えないんですけど、今までよりも楽しくプレーできてるという実感はあります。ビリヤードではトッププロでもアマに負けることは結構あって、怖がっちゃう部分はあるんですけど、今年はそれが少ないかなと思います。

石川 主要な大会で勝ち続けるには、メンタルの面ではどういう要素が必要ですか。先ほど、会場の雰囲気を味方に付けることが大事と言われてましたが。

土方 それは最後の最後に必要というか、あればいい感じで、やはり基本的には誰が相手でも精神状態が変わらないことでしょうか。

石川 逆に言うと、相手がすごく気になるってことですか。

土方 すっごく気になります。ビリヤードって考える時間が長いんですよ。相手が突いている時もそうだし、自分が突いている時もそうだし。

石川 ゴルフにかなり近いですね。

土方 そうかもしれません。どのタイミングで突くかも自分で決められますし、お客さんもすぐ近くで見えますし。

石川 実際、どんなことを考えてるんですか。試合中、ずっと集中してるわけじゃないですよね。

相手のプレーは考えない

土方 それはそうです。相手が突く番の時はじっと見てるんですけど、相手がどうするんだろうとは考えないようにしてます。疲れちゃうんで。自分が突く時は、普通にこれをこう打って、ということだけ考えられるのが一番いいです。迷うとダメ。相手が強い人だと、やっぱりこっちがいいかなとか、もう回ってこなかったらどうしようとか、いろいろ考えてしまう。これは絶対マイナスなんです。

石川 自分のスタイルをきちんと見つけて、そこにフォーカスできると一番いいってことですかね。そのスタイルって、人によってどんな違いがあるんですか。

土方 たとえば、突くのが早いか遅いか。1球ごとに時間をかけて計算する人もいれば、ざっくり計算する人もいます。性格にもよりますね。あとは攻めるか、守るか。基本的にはみんな攻めるんですけどね。

石川 打つときは何手先くらいまで考えるんですか。


土方 最初に手玉を打って9つのボールを弾くことをブレイクというんですが、基本的にはブレイクして1番から3番くらいまでですね。ただし、全体の配置を見て、たとえば7番とか8番が難しい位置にあったら、それにも手玉を当てて崩しておく必要があります。それを1番を落とす時にやるか、2番を落とす時にやるか。考え始めるときりがないので、僕の場合は3手先までですね。

石川 先まで考えても、そうなるとは限りませんしね。

土方 そうですね。突く時も、この玉をここに置きたいと「点」で考えることはまずない。大体この辺りという「範囲」を決めたら、角度だけ大切にして打ちます。距離はあまり関係ありません。

石川 少し話題を変えて、ビリヤードの場合、対戦相手が誰かというのはどれくらい気になるものですか?

土方 うーん、どうでしょう。僕は相手に合わせてビリヤードをするってことはないですね。戦略を変えることもないです。

石川 ビリヤードの選手はみんなそうですか。

土方 たぶん、そうです。こういうボールの配置なら、相手はこう取るだろうというのは大体わかるから、相手のプレーのことは考えない。相手に合わせてやろうとすると、自分がおかしくなっちゃうんで。

石川 自分との勝負ってことですね。その中で自分の戦い方ってどうやって見つけるんでしょう。

土方 そこはもう経験から学んでいくしかないですね。守るか攻めるか、どちらも50%くらいの確率のとき、どちらを選ぶか。いろんな大会に出て、失敗や成功を積み重ねる中で、どちらを選択した方が勝ちやすいか、自分が後悔しないかが見えてくる。大事な場面での決断は、練習だけじゃ身に付きませんから。

石川 守った結果、相手が難しいショットをミスしたら「よし」と思うけど、それって相手のプレーに依存するというか、自分のプレーがよかったのか悪かったのか、自己完結しにくいですよね。

土方 その辺は性格にもよりますね。自分は攻めが得意なんでそちらを選ぶ方が多いですけど。

ルーティンを自信につなげる

石川 守って後悔したことはありますか。

土方 あります。でもそういう経験をいっぱいしたんで、最近は守ってミスして負けるってことはないですね。攻めて外して負けることはありますが、自分でやれることはやった結果だから、判断ミスではないと思えるんです。

石川 そういう場面って、集中しますよね。

土方 大事なショットは自分の中のルーティンをちゃんと守ってやります。それ以外では、あえて適当にやる。そのバランスが大事です。自分の実力をわかっていないと、難しい玉を適当に打って負けてしまいます。


石川 ビジネスパーソンの仕事でも、適当にさらっとやれる仕事と、ここぞという仕事があると思います。そういう意味で、本当に集中したいときに集中するために、ビリヤード選手の集中ルーティンというのが参考になりそうですが、具体的にはどんなことですか。

土方 フォームとか、構え方の手順をちゃんと決めています。まずどの穴を狙うかポイントを見定める。角度を決めたら、ボールに対して1歩下がって、右足、左足を構えて、打った後の意識もイメージしてから打つ。すべてをていねいにやるのです。大事な場面ではこういうルーティンをやれば成功する、と意識付けすることが自信につながります。

石川 なるほど。なかなか私たちは、そういう予備動作をしないですよね。たとえば、これから企画書を作ろうという時に、どういう風に座って、どういう風に仕事をするか、脳の中でイメージして取りかかる人はいないと思うんです。なんとなく席に着いちゃうもんだから、ハッと気づくとヤフーニュースを見てるとか、フェイスブックを開いてるとか(笑)。

土方 試合でそういうことをしてミスったら終わりです(笑)。

石川 集中ルーティンとして、1)予備動作をすること、2)1回イメージしてからやることの2つは参考になりますね。逆に、予備動作をしても球筋が見えてこないことってありますか。

土方 あります。見えないというか、湧かないというか。普段はボールを打つポイントが点で見えるのに、3倍くらい大きく見えちゃうんです。テンパッてる時、あるいは逆に集中しすぎて空回りすることもあります。ウワーッと。集中はしてるけど冷静じゃない。

石川 そういう時はどうするんですか。

土方 いやー、落ち着かせるしかないんで。構えを1回外します。また構えて、集中できなかったらまた外して。それを繰り返します。でも1回そうなっちゃうと抜け出すのは難しいですね。

石川 やはりゴールをちゃんとイメージすることですね。

土方 それはすごく大事ですね。何となく穴に入っちゃうことはあるんですが、それは自信にならない。ちゃんとやってできたことは自信になり、次につながります。

石川 どうして成功したかわからないと、フィードバックもできません。

なぜ成功したかをちゃんと考える


土方 なぜ失敗したかもそうですが、成功した時に何がポイントだったかをちゃんと考えられる人は強いと思います。調子が悪い時に、成功していた時のことを思い出せるかどうかはすごく大事なので。

石川 それは面白いですね。勝つことを考える人はいても、勝ち続けることを考える人は少ない。さらに進んで、伝説になるにはどうしたらいいか、考えることはありますか。

土方 実は今年、そういう気持ちがちょっと出てきてます。ビリヤードの大会って、年に2回優勝したらすごいことなんです。それがシーズン当初から3回連続して優勝してしまって、もう出来過ぎだと、ここから先は怖いなと覚悟してたんです。でも4回目に優勝したとき、「あれ、勝てるじゃん」と、前向きに考えられたんですね。こんな記録を狙えるチャンスは滅多にないと思って、モチベーションが湧いて、どんな試合も勝ってやるぞと貪欲になっていきました。今までとは全く違いますね。

石川 今まではどう考えたんですか。負けても仕方ないと思ってた?

土方 そうです。勝ち続けるなんて「あり得ない」と思ってました。

石川 どうして突然、考え方が変わったんでしょう。

土方 3年前に初めて国内のランキング1位になったんですが、この2年くらいは4位か5位くらいが続いてました。今年、1戦目で優勝できて、これが精神的には大きかったです。それと、もう一つ、技術面で自信になったことがあります。

石川 それは何ですか。

土方 いま、中国で普通のビリヤード台とは違う台が流行ってるんです。大きさは同じだけど、穴の形が違っていて、普通の台より入れるのが難しい。ちなみに、その台を使った大会は賞金が高いので、僕も何度か挑戦したんです。毎回毎回、ピンポイントでちゃんと狙わないと入らない。それを始めてから、シュートの精度も上がりました。シュートに対する意識がシビアになったんですね。

石川 ほかのプロはやってないんですか。

土方 日本には同じ台が少ないので、ほとんどやってないんじゃないでしょうか。やれば絶対うまくなるとは限りませんが、自分はその経験を試合で生かせてると思います。

上達するには2段階ある


石川 前回の対談(人間の限界はどこまで広げられるか)で為末大さんが「上達には2段階ある」と言われていました。1段階目は積み重ねで強くなる。ある程度まで行ったら、次は揺さぶらないといけない、と。バスケットボールのフリースローでも、同じ場所から投げ続けるより、色々とずらした所から投げた方がよく入るようになる。たぶん、脳が対応するんだと思うんです。

土方 たしかに。ビリヤードも同じショットを練習するばかりではダメですね。少し難しい台を経験することで新たな発見があり、1戦、2戦と勝つことによって自信がつきました。ただ、3年前もランキング1位になったけど次の年には下がったので、今の勢いが続くかどうか、正直言って怖さもあります。負け始めた時に、試合を楽しめるかどうかとか。

石川 勝つか負けるかは自分だけではコントロールできない。それで気分が揺れていては勝ち続けられませんよね。

土方 そこは一番難しいところです。

石川 勝ち負けじゃないところに価値を置くことも必要かもしれませんね。この連載では将棋の中村太地6段とも対談しているんですが(将棋の本質に迫るのは、人間か、AIか)、中村さんは将棋界最強といわれる羽生善治3冠について、もはや勝ち負けにはこだわってないように見えると話していました。負けたとしても、すばらしい棋譜を残すことを重視しているんじゃないかと。

土方 じゃあ、本当に勝ち負けより内容なんですね。私も最近、若干感じるところはあります。どれくらい、いい勝ち方をしたかが大事ではないかと。たぶん、勝ち続けないと羽生さんの境地までは行けないと思いますけど。

石川 その羽生さんを破って新名人になったのが佐藤天彦9段です。佐藤さんはずっとタイトルには縁がなかったんですが、本人はそれでいいと思っていたそうです。目先の勝利を追うよりも、本当にトップレベルになったときに勝ち続けられるよう、まずは自分のスタイルを見つけることに時間を費やそうと。ちなみに将棋の世界では、この20年くらい新戦法が出てないといわれるくらい、自分のスタイルを持つことはすごく難しくなっているそうです。

土方 それができる人は強いですね。

石川 佐藤名人によると、自分のスタイルをつくっている間に同期がどんどん上がって行って、ちょっとヤバいかなと思ったけど、今ここで自分の土台を作ることが強さにつながると信じたそうです。

土方 その時点で、もう自分のスタイルを見つけてたんじゃないですか。そこがすごいですね。周りに流されず、結果にも惑わされず。そこまで思い切ってやり抜くのはなかなかできません。

石川 練習の仕方もすごく変わっていて、昔の人の棋譜をずっと研究してるんだそうです。羽生さんと対戦する前も、羽生さんの過去の棋譜より昔の名人戦の棋譜を見ていたそうです。

相手を研究するだけでは勝てない


土方 それはいろんな人の棋譜を見ていたってことですよね。たぶん、それが一番強いと思います。羽生さんの棋譜だけを見るということは、もう羽生さんという敵を意識していることになるじゃないですか。競技にもよると思いますが、相手の研究ばかりやってると、いざ本番で対応する力が欠けちゃうと思うんです。もし羽生さんが今まで通りに指してこなかったら対応できないかもしれない。でもいろんな状況で練習していれば、何が起きても対応できる力が付く。

石川 企業の世界でも、かつては日本にも独自のスタイルを持った会社が多かったと思うんです。でもグローバル化で競争相手が増えてくると、相手に合わせて会社を変えてしまって独自のスタイルを見失ってしまうということが起きてるんじゃないでしょうか。自分のスタイルを見つけるためには、先ほど言っていた普段とは違う形のビリヤード台に挑戦するとか、視点を変えることが大事ですよね。

土方 確かに、あの台を経験した後は穴がすごく広く見えて、入れやすく感じます。

石川 プロゲーマーの第一人者である梅原大吾さんが「負けた後に反省し、修正する人は多いけど、勝ってから微修正でなく、視点レベルで修正できる人は少ない」と言ってました。ビリヤードでも多くの人は、攻めるか守るかといった視点でしか捉えてないかもしれないけど、見方を変えれば今までと全く違う捉え方ができるかもしれません。

土方 なるほど。スタイルという話でいうと、僕は最近、人の試合を全く見なくなりました。昔はうまい人をまねようとすることもありましたが、今は勝っても負けても自分のイメージ通りに打てているかどうかだけをチェックします。上達すればするほど、自分がどうだったかを見る方が、自分のスタイルを見つけるには意味がある。勝ったときの発見と負けたときの反省。それが一番大事かなと思いますね。

石川 そういう話を聞くと、ビリヤードって武道に近いかもしれない(笑)。

土方 ビリヤードは結局、その場で回ってきたボールに対応するしかありません。それは絶対に想定できない。相手に対応するのなら、強い相手に対して闘争心を焚きつけられるかもしれませんが、読めないものを相手にしている。だから、勝ち続けるのが難しいのかもしれません。

自分で自分の可能性を消していた


石川 メンタリティーとして、それだけ勝ち続けるのが難しいと、「年2回勝てば御の字じゃん」とか思いませんか(笑)。

土方 そうなんですよ(笑)。そう思ったら、そこから先はないですよね。それが見えない壁になって、自分で自分の可能性を消していたのかもしれません。今年はそれがなくなって、常に上を見てるから勝ち続けてるんでしょうね。

石川 最近、国際大会にも出場されましたが、土方さんは世界の中で、どのくらいの位置にいるんですか。

土方 日本もビリヤードのレベルは高くて、実力的にはそんなに差は感じません。今は世界でも絶対にこの人が強いという人はいなくて、30~40人くらいがトップレベルを形成している感じでしょうか。そこを一流とすると、一・五流、二流とあって、自分は一・五流までは来てるかなと。後は実績、結果を出すだけだと思ってます。

石川 メンタル的には外国人との違いを感じますか。

土方 そうですね。海外の人は1回勝つと勢いづいて勝ち続ける人が多いようです。日本人は一つ一つ階段を上っていく。だから日本人は実力で劣る人に負けることは少ないですね。爆発的に勝つこともありませんが。

石川 日本人は「幸せすぎてこわい」と言うように、いいことは続かないというメンタルの壁がありますね。それが慎重さを生んでいて、よいことでもある。外国人は実力を超えてメンタルで勝つかわりに、ダメなときは一気に落ちることが多い(笑)。

土方 一つ一つ上っていって自信を持てれば、ずっと上にいられると思いますね。

石川 本質をつかむという話でいうと、最近、「デザイン思考」を提唱するIDEOという会社の共同創業者のトム・ケリー氏と対談する機会があって、面白いことを言ってたんです。世界中からいろんなモノをデザインしてほしいという依頼はあるが、90年代に日本人が初めて「デザイン思考そのものを伝授してくれ」と言ってきたそうです。そこで、日本人は思想とか思考のエッセンスを抽出して広めるのがうまいんだと気づいたと。

土方 それは面白い話ですね。

石川 競技としてのビリヤードでなく、「道」としてのビリヤードを極める。これは土方さんのような日本人プレーヤーじゃないとできないんじゃないでしょうか。

土方 ビリヤードとは自分と向き合う競技である、とは言えますね。いろんなことを考えさせられますから。攻めるのか守るのか、いざという時、自分がどういう精神状態になるのか、自分がどんな人間かわかって面白いですけどね。

石川 採用試験でビリヤードをしてもらうと面白いかもしれない(笑)。考えて打つのか、パッと打つのか。入ったときに喜ぶのか、考えるのか、性格が出ますよね。

土方 僕は小学生の頃からビリヤードを始めましたが、師匠と呼べる人はずっといないんです。いつも自分で考えて、答えを見つけてやってきた。それがよかったと思います。コーチがいなくて不安になるってこともないし。

1日の練習は4時間以内

石川 そうなんですね! でもぶっちゃけたところ、コーチの厳しい視線もなく練習してると飽きませんか(笑)。

土方 練習は飽きますよ。というか、あまり好きじゃないです(笑)。本番で力を発揮するためには必要ですけどね。

石川 トップパフォーマーの研究によると、練習を楽しんでやる人は一流にはなれないそうです。

土方 ひえー、よかった(笑)。

石川 自分にちょっと負荷がかかることをやるのが練習だから、そもそも楽しいはずがないわけです。土方さんはどれくらい練習するんですか。

土方 若い頃は1日8時間練習して4時間試合するみたいな生活でした。でも、一定のレベルに達すると、こう打てば入るというイメージを保つ方が大事です。練習しすぎると集中力がなくなり、デメリットの方が大きい。今の練習時間は3~4時間くらいです。

石川 さっきのトップパフォーマーの研究でも、練習は1日4時間までで、同じ時間休んだ方がいいそうです。

土方 かつては練習できなかったら不安でマイナスに考えていました。でも最近は練習できなくても、それだけ試合に集中力をためられたんだと、プラスに考えられるようになりました。考え方次第ですよね。

石川 最後にエフレン・レイズ選手を歴代最強だとすると、土方さんは今、どのあたり?

土方 あんな存在になれたらうれしいなと思いますけど、まあまあ近いレベルには達してるかなとも思うんです。足りないのは実績というか、伝説というか。実力があっても認められない人って、どんな世界にもいるじゃないですか。そこをクリアして、自分に実力があることをどうやって見せつけるか、というのも大事だと思いますね。

石川 そこまでくると、もう奇跡を起こすしかない(笑)。というか、ストーリーが大事ってことですね。

土方 勝つだけじゃなくて勝ち方が大事。見ている人を楽しませながら勝てるような選手に早くなりたいですね。



キムタクの裏切り過去にも…1998年“SMAP解散情報”の真相

2016年08月18日 18時03分50秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/187933

キムタクの裏切り過去にも…1998年“SMAP解散情報”の真相
2016年8月18日

SMAPの年末解散を発表したジャニーズ事務所(C)日刊ゲンダイ

 SMAPの解散決定を家族でバカンス中のハワイで知らされた木村拓哉(43)。一度は「活動休止」でまとまった話である。それが自分が日本にいない隙に一気に解散へと雪崩を打つとは、他の4人のメンバーとの温度差はオアフ島と北極以上だ。

 ハワイにはジャニーズ事務所のメリー喜多川副社長(89)とその娘の藤島ジュリー景子副社長(50)も滞在中。本来であればSMAP25周年コンサートの企画などを燦々と降り注ぐ陽光の下で事務所の最高幹部と話し合う場のはずが、今は帰国後の対応を巡って大わらわだろう。

 実はメンバーにしてみれば、木村の裏切りは今回に限ったことではない。やはりSMAP解散説が飛び交った1998年10月、リーダーの中居正広(43)らがこのウワサを言下に否定したのに対して、「ないと思いますよ。(来年は)どうですかね」と煮え切らない態度に終始したのが木村だった。

「解散説が流れた最大の理由は、この2年前から噂されたキムタクの独立話でした。キムタクの父親がジャニーズ事務所とは無関係に息子の写真集を発売し、勤めていた1部上場企業も退職。息子のためとしか思えない個人事務所も設立と伝えられていたのです」(ベテラン芸能記者)

 結局、この時の独立説は立ち消えになったが、木村以外のメンバーが忘れたとは思えない。

「あの時はひとり抜け駆けして、独立を画策しておきながら、今回は事務所側に回って計画を潰すなんてふざけるな!」と思ったとしてもぜんぜん不思議じゃない。

 解散決定に際し「本当に無念」「情けない結果になってしまった」とコメントしたキムタクだが、決して胸を張って偉そうに物を言える立場ではないのだ。

SMAP解散 元凶はキムタクを変節させた工藤静香の独立潰し

2016年08月18日 18時01分02秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/187936

SMAP解散 元凶はキムタクを変節させた工藤静香の独立潰し
2016年8月18日

メリー氏とは家族ぐるみの付き合い(C)日刊ゲンダイ

 SMAP解散の裏で暗躍したのが木村拓哉(43)の妻でタレントの工藤静香(46)である。

 今年1月に明るみになった独立騒動の直接の引き金はジャニーズ事務所の女帝・メリー喜多川副社長とSMAPの育ての親とも言われるヤリ手マネジャー飯島三智氏の確執だったが、“独立潰し”のため「メリーさんの腰巾着」のように動いたのが工藤だ。

「1月に騒動が露見する前、いったんはキムタクも5人全員での独立に同意していたのです。それをひっくり返したのが工藤でした。工藤はジャニーズでは絶対的タブーだった結婚を許してくれたメリーさんに非常に恩義を感じており、結婚後は家族ぐるみの交際を続けています。そして夫のキムタクに対してジャニーズに残るよう説得し、キムタクも残留を決断しました。これが他のメンバーから見れば“女の言葉になびいた裏切り”と映り、亀裂は深まってしまったのです」(芸能評論家の肥留間正明氏)

 独立を画策した飯島氏に対して電話で猛抗議したとも報じられるなど、なりふり構わず夫を説いた工藤。キムタクも人の親である。メンバーで唯一の妻子持ちという状況が独立を踏みとどまらせたという一面は否定できないところだろう。メリーさんの意をくんで夫を“完落ち”させた工藤の覚えはさらにめでたくなり、キムタクは事務所幹部への道が約束されたも同然となれば内助の功といえなくもない。

 しかし、他のメンバーや多くのSMAPファンからみると「解散」という最悪の事態に至ってしまったのは「工藤がシャシャリ出てきたせいだ」と言われても致し方ないところ。すでにキムタクとそれ以外のメンバーの間には大きな亀裂が走っていたとはいえ、修復不能にしたのは周囲の女たちである。

 古来、「雌鶏歌えば家滅ぶ」という。SMAPは工藤の一鳴で完全に崩壊してしまった。

甘利ワイロ事件 握りつぶした“黒幕”が事務次官昇格の仰天

2016年08月18日 17時57分39秒 | 市場動向チェックメモ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/187989

甘利ワイロ事件 握りつぶした“黒幕”が事務次官昇格の仰天
2016年8月18日

大臣を辞めた甘利前経済再生担当相(C)日刊ゲンダイ

 15日付の新聞各紙の隅に小さく載ったベタ記事に、見過ごせない人事情報があった。法務省の黒川弘務官房長(59)が事務次官に昇格するからだ。黒川新事務次官は、甘利明前経済再生担当相の口利きワイロ事件を握りつぶした“黒幕中の黒幕”といわれている人物だ。

 この人事発表の翌日16日には、東京地検特捜部が甘利氏の元秘書2人を再び不起訴処分(嫌疑不十分)とすることを発表。あまりに絶妙過ぎるタイミングである。特捜部は「総合的に判断して(あっせん利得処罰法の)構成要件に当たらない」と説明しているが、元秘書2人は約1300万円ものワイロを受け取り、甘利氏本人も大臣室で50万円の現金をもらっている。これが犯罪でなくて何だというのだ。

「ワイロを渡した人が『渡した』と言って録音テープまで残っている。もらった側も『もらった』と認めている。これで不起訴になるなら、今後、国会議員や秘書はカネをもらって、口利きのやり放題。あり得ない話でしょう」(民進党の山井和則国対委員長代理)

 甘利氏はすでに不起訴が確定しているから、一連の捜査はこれでオシマイ。09年に生活の党の小沢一郎代表が政治資金規正法違反に問われた「陸山会」事件では、秘書らは収支報告書の「記載ミス」だけで逮捕、起訴されて有罪となったが、この時も当時の黒川官房長が“暗躍”したといわれている。そんないわく付きの人物が法務省事務方トップの事務次官なんて、メチャクチャ過ぎる。

■ゲシュタポ長官ヒムラーと同じ

「通常国会で成立した改正刑訴法でも、目的は冤罪をなくすという趣旨だったのに、いつの間にか、盗聴の適用範囲が拡大されていた。いわゆる焼け太りです。これを取り仕切ったのも黒川さん。情報を一手に握っているため、司法担当の新聞、テレビの記者も逆らえない存在です」(法務省担当記者)

 安倍首相はよくヒトラーに例えられるが、黒川新事務次官もゲシュタポ(秘密国家警察)の長官だったハインリヒ・ヒムラーを連想させる。警察の全権を握り、忠実にユダヤ人への迫害を実行していった冷酷非情な男だ。

「法務省の事務次官は、検事総長、東京高検検事長、大阪高検検事長に次ぐ“ナンバー4”です。しかし、菅官房長官と“蜜月関係”にある黒川さんは、裏で検察、法務省を牛耳っているとささやかれている。今回、甘利事件をうまく着地させたことで、彼の権力はますます増大するでしょう。すでに検事総長のイスも視野に入ったと思います」(前出の法務省担当記者)

 これじゃあ、現場の検事がどんなに正義感にあふれ、優秀であっても期待できない。安倍政権のやりたい放題だろう。戦前、戦中と同じ「警察国家」「暗黒国家」になるのだ。

 いっそのこと検察は「秋霜烈日」バッジなんてさっさと捨てた方がよっぽどスッキリする。

短期的な値幅取り狙いの売買が中心に【クロージング】[FISCO]

2016年08月18日 17時54分02秒 | 市場動向チェックメモ
短期的な値幅取り狙いの売買が中心に【クロージング】[FISCO]

・日経平均は大幅に反落。
・259.63円安の16486.01円(出来高概算18億7000万株)で取引を終えた。

・円相場が1ドル99円台と円高に振れて推移するなか、売り先行で始まった。
・日銀のETF買い入れ思惑で、インパクトの大きい銘柄の一角が強含みの展開で、16700円を回復する場面もみられた。

・午後、日銀のETF買い入れが観測されなかったことが嫌気、インデックスに絡んだ売りで、日経平均は下げ幅拡大。
・大引けにかけても下げ渋りはみられず、16500円を割り込み本日の安値圏で取引を終えている。

・東証1部の騰落銘柄は、値下がり数が1500を超え、全体の8割を占めている。
・セクターではパルプ紙のみが上昇。
・電力ガス、医薬品、情報通信、精密機器が2%を超える下落。

・日経平均は25日線を割り込んで、16600-16800円のレンジを再び割り込んだ。
・日銀のETF買い入れが観測されず、インデックスに絡んだ売りに押された格好。

・夏休みシーズンで参加者が限られている、指値状況の薄いところを断続的な売りによって下げ幅を拡大。
・指数インパクトの大きい銘柄に資金が集中し、より日経平均に影響。

・明日も薄商いの中でインデックスに絡んだ商いに振らされやすい
・短期的な値幅取り狙いの売買が中心

・休み明け後は改めて日銀のETF買い入れが意識されやすい
・日柄的にはTOPIXが上昇している局面においても、買いを入れてくる可能性
・次第に売り込みづらくなる


<AK>


(中国)不動産バブルは深刻、経済硬着陸の危険性も[FISCO]

2016年08月18日 17時37分30秒 | 市場動向チェックメモ
(中国)不動産バブルは深刻、経済硬着陸の危険性も[FISCO]


・中国の不動産バブルが深刻な状態
・一部では、政府が適切な対策を講じなければ、中国経済がハードランディング(硬着陸)に陥る可能性があると警告

・今年7月の固定資産投資(都市部)は1999年12月以来の最低水準まで落ち込んだ

・同月の小売売上高なども予想下振れ

・7月の新規貸出額4636億元(約6兆9540億円)のうち、住宅関連だけで4575億元を占めたというデータも報告

・直近1年の中国経済について、不動産市場が全体をけん引している形

・不動産価格がすでに庶民にはとても手の届かない水準まで上昇
・住宅ローンなどを返済するため、国民の可処分所得が大幅に縮小していると強調
・住宅市場を適切に調整しなければ、中国経済が硬着陸する恐れがある

<ZN>

東京都議・野上氏:訪日外国人消費の経済効果[FISCO]

2016年08月18日 13時53分03秒 | 市場動向チェックメモ
政治から読み解く【経済と日本株】東京都議・野上氏:訪日外国人消費の経済効果[FISCO]


・東京都議会議員野上氏(民進)は「訪日外国人消費の経済効果 関西各府県への影響の比較」とツイート(8/18)。

・アジア太平洋研究所の調査(トレンドウォッチNo.39)…
・訪日外国人消費は…
・2013年の関西GRP(域内総生産)を0.32%程度…
・14年0.44%…
・15年0.76%程度説明

・調査報告…
・関西におけるインバウンド・ツーリズムの影響力が高まっている
・15年のGRPに対する寄与は前年の1.73倍(14年は前年比1.38倍)

・就業者について…
・2013年は0.47%
・14年は0.66%…
・15年は1.10%程度押し上げたと指摘

・15年の雇用押し上げ効果は前年比1.67倍(14年は同1.40倍)

<MK>

「地価が値上がりしそうと思う街」は実際に地価が上昇したのか!?

2016年08月18日 11時28分48秒 | 市場動向チェックメモ
http://sumai.nikkei.co.jp/edit/suumojournal/detail/MMSUvk000014072016/

「地価が値上がりしそうと思う街」は実際に地価が上昇したのか!?

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 国土交通省が3月に発表した公示地価では、地価が上がっているところと下がっているところで分かれた動きになった。リクルート住まいカンパニーが、3月に発表した「2016年版 みんなが選んだ住みたい街ランキング」では「今後、地価が値上がりしそうと思う街(駅)ランキング」を調査している。そこで、ランクインした街(駅)が実際に地価が上がったのか検証してみた。

武蔵小杉、豊洲、品川が2年連続トップ3

 まず関東で地価が値上がりしそうと思う駅のランキングは表のとおり。上位10位のうち山手線の駅が4つランクインするなど、都心部の駅が目立つほか、タワーマンションなどの供給が活発化している再開発エリアも上位に入っている。1~3位の顔ぶれは昨年の調査と同じだった。


【表1】今後注目が集まり、地価が値上がりしそうと思う駅ランキング(関東全体/3つの限定回答)。および最寄り地点の公示地価上昇率(出典:ランキングはリクルート住まいカンパニー調べ、公示地価は国土交通省平成28年地価公示より)
 1位の武蔵小杉はまさにタワーマンションが林立しつつある街の代表格だ。2014年4月には「ららテラス武蔵小杉」、11月には「グランツリー武蔵小杉」が開業するなど、商業施設の新規オープンも相次いでいる。公示地価のデータはというと、武蔵小杉駅のある川崎市中原区の平均は住宅地が2.0%、商業地が4.1%と高い上昇率になっている。武蔵小杉駅の駅前広場に面する商業地は6.1%上昇した。

 タワーマンションの集まる街といえば、2位の豊洲も定番だ。駅周辺の開発は一段落し、今は隣接する新豊洲駅や市場前駅などでマンションや商業施設の建設が進んでいるが、これらも広い意味で豊洲エリアといっていい。公示地価でみると、駅に近い豊洲4丁目の住宅地が8.0%アップと、まだまだ上昇の勢いは衰えていないようだ。さらに駅に近い商業地も3.1%上昇している。

 3位の品川はリニア中央新幹線の開業のほか、2020年までの開業が予定されている新駅への期待度が高まっているエリアだ。同じ新駅がらみでは田町が6位、泉岳寺が20位にランクインしている。品川駅に近い港区港南2丁目の商業地は10.2%と2ケタの上昇。田町駅近くの港区芝5丁目の商業地は6.0%アップと、高い上昇率となった。さらに新駅予定地に最も近い港区高輪2丁目の泉岳寺駅最寄りの商業地は15.6%もアップしている。約50年ぶりとなる山手線の新駅開業の経済効果は相当なもののようだ。

立川、渋谷、清澄白河など急上昇した駅は地価も上昇傾向

 前回調査から大きくランクアップした駅としては、4位の立川(前回12位)、7位の渋谷(同17位)、11位の清澄白河(同34位)などが挙げられる。立川駅周辺はIKEAなど大型商業施設が集積し、2014年には都心並みの坪単価で注目された駅直結のタワーマンション「プラウドタワー立川」が発売後まもなく完売するなど話題に事欠かない。駅北口の立川市曙町2丁目の商業地は8.9%の上昇だった。

 再開発が進む渋谷駅周辺では、閑静な住宅地として知られる渋谷区松濤1丁目の住宅地が2.7%上昇した。また、ブルーボトルコーヒーなど海外発のカフェが相次いでオープンして話題の清澄白河駅近くでは、江東区清澄3丁目の商業地が2.5%のアップだ。

 このほか、2015年にららぽーとが開業した海老名が5位、リニア中央新幹線の新駅開設が予定されている橋本が8位と、神奈川県内の街も健闘している。海老名駅の近くでは海老名市中央1丁目の商業地が3.5%の上昇。橋本駅周辺では相模原市緑区橋本3丁目の商業地が6.5%と、実際の地価も上昇傾向が強まっている。

関西は前年に続き梅田がトップ。公示地価の上昇もトップクラス

 続いて、関西のランキングを見てみよう。


【表2】今後注目が集まり、地価が値上がりしそうと思う駅ランキング(関西全体/3つの限定回答)。および最寄り地点の公示地価上昇率(出典:ランキングはリクルート住まいカンパニー調べ、公示地価は国土交通省平成28年地価公示より)
 1位は前年と変わらず梅田だった。「うめきた2期」の街づくりが動き出し、阪神百貨店の建て替え工事がスタートするなど、再開発による整備が引き続き期待されるエリアだ。公示地価では駅至近の大阪市北区茶屋町の商業地がなんと32.1%アップ。この地点は全国の公示地価で6位の上昇率となっている。ちなみに全国トップは同じ大阪市の中央区心斎橋筋2丁目の商業地で45.1%アップしているが、残念ながら「今後、地価が値上がりしそうな街(駅)ランキング」では心斎橋はトップ10圏外だ。

 続いてランキング2位の千里中央では駅隣接地で商業施設とタワーマンションの再開発が進み、北大阪急行の延伸計画もスタートしている。公示地価をみると、駅前広場に面する豊中市新千里東町1丁目の商業地が9.9%の上昇、駅北西に位置する同新千里西町2丁目の住宅地が2.3%の上昇となっている。

 このほか、3位の万博記念公園では複合型商業施設EXPOCITYが昨年11月にオープン、6位の塚口では駅前再開発のZUTTOCITYが進行中、7位の神戸三宮では再整備に向けた取り組みが始まるなど、開発が進んで注目度がアップしている街がランクインしている。公示地価で確認すると、阪急塚口駅近くの尼崎市南塚口2丁目の商業地が1.2%アップ、神戸三宮に近い神戸市中央区三宮町1丁目の商業地が12.9%アップした。万博記念公園は最寄り地点で公示地価の調査が行われておらず、地価の動きは確認できなかった。

 こうしてみると、ランキングの上位に上がった街では、実際に地価が軒並みアップしていることが分かる。三大都市圏では住宅地・商業地とも公示地価が平均で上昇しているが、上昇率の平均は住宅地が0.5%、商業地が2.9%なので、ここで紹介した街の多くは平均より高い上昇率だ。「今後、地価が値上がりしそうな街(駅)ランキング」の調査は、地価の専門家ではない一般の男女にアンケート調査で聞いたものだが、一般の人の地価に対する感覚も、なかなか鋭いものがあるようだ。

(住宅ライター歴20ウン年 大森 広司、2016/04/25付SUUMOジャーナル)

地下鉄転落 「真面目で子ども好き」 品田さんの知人絶句

2016年08月18日 09時12分25秒 | 市場動向チェックメモ
http://mainichi.jp/articles/20160818/k00/00m/040/105000c?fm=mnm

地下鉄転落
「真面目で子ども好き」 品田さんの知人絶句

毎日新聞2016年8月17日 20時55分(最終更新 8月17日 23時18分)

 東京メトロ銀座線青山一丁目駅のホームから転落し死亡した東京都世田谷区の会社員、品田(しなだ)直人さん(55)は約10年前、北海道江別市のプロテスタント系の「元野幌めぐみ幼稚園」で園長を務めていた。当時を知る現園長の小原(おばら)愛香さん(43)は「真面目な性格で、子ども好きだった。事故が信じられない」と絶句した。

 小原さんによると、品田さんは2006年4月、江別市内の高校教諭などを経て、同幼稚園の園長に着任した。幼児教育は初めてだったが園児に温かく接し、月1回開かれる誕生日会で得意のギター演奏を披露し、賛美歌などを弾いたりしていたという。

 当時から視力が低下する病を患っており、在職中も視野が徐々に狭まっていたという。品田さん自身がトイレットペーパーの芯を園児に見せ、「先生の目はこの穴くらいしか見えないんだよ」と症状を説明したこともあった。

 病気が進行したため、08年9月ごろに園長を退任したが、その後も数年間にわたり、園内で行っている学童保育の代表として働いた。小原さんは「園長を辞めたころ、盲導犬を連れて歩くようになった。子どもたちを喜ばせようとする品田さんの姿ばかりが思い浮かぶ。本当に残念」と死を悼んだ。

 品田さんが園長だった当時、園の2階にある教会で牧師をしていた村田龍一さん(64)=千葉市若葉区=は17日、都内で営まれた品田さんの葬儀に参列した。

 村田さんは「失明するかもしれないという現実を受け止めるのはつらかったようだが、品田さんも家族も『盲導犬との生活は和やかで楽しい』と話していた」と振り返り、「盲導犬も万能ではない。周囲の声かけや少しのサポートがあれば、助かったかもしれない」と悔やんだ。【安達恒太郎、金森崇之】

視覚障害者ホーム転落 周囲の声掛け命綱

2016年08月18日 09時10分43秒 | 市場動向チェックメモ
http://mainichi.jp/articles/20160818/ddm/003/040/098000c?fm=mnm

視覚障害者ホーム転落 周囲の声掛け命綱

毎日新聞2016年8月18日 東京朝刊

品田直人さんが転落した青山一丁目駅のホーム=東京都港区で16日、宮武祐希撮影
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 東京メトロ銀座線の青山一丁目駅で起きた視覚障害者の品田直人さん(55)の転落死亡事故は、駅に点字ブロックがあり、盲導犬を連れていたのに防げなかった。主要駅すべてにホームドアが設置されるまでの過渡期にある今、事故防止に何が必要なのか。全盲でホームから転落した経験を持つ記者の見方も踏まえて考えた。

方向誤認しやすく
 既存の地下鉄駅で、全国で初めて可動式のホーム柵(ホームドア)が設置され運用が始まったのは2000年。東京都営地下鉄三田線の高島平駅(東京都板橋区)だった。毎日新聞が視覚障害者向けに発行する点字毎日の紙面は、当時「落ちない駅が実現」と紹介した。それから16年。ホームドアは着実に増えているとはいえ、まだ不十分だ。

 これを補うために点字ブロック敷設が進んでいる。国土交通省によると、青山一丁目駅のホームで品田さんが転落した場所にあったのは、歩く方向を示す「誘導ブロック」ではなく、ホームの端が近くて危険だと示す「ホーム縁端警告ブロック」だった。

 東京メトロによると、同駅では改札口から誘導ブロックの列が1本、ホームに向かって延び、途中で曲がったり分岐したりする場所には「警告ブロック」が張られている。誘導ブロックの列はホームのほぼ中央部で線路と平行に敷かれた縁端警告ブロックと接続。歩いてきた視覚障害者は、誘導から縁端警告に変わったところで止まり、電車を待つ仕組みだ。

 品田さんは両ブロックの接続する地点から離れた場所で転落した。同省担当者は「縁端警告ブロックの上を歩くことを想定していない」と指摘する。だが、混雑時には一般利用客が点字ブロックをふさぎ、機能しているとは言い難い状況も生まれる。実際、警告ブロックを頼りに移動する視覚障害者は少なくない。青山一丁目駅では、縁端警告ブロックの列を柱が遮るように建っている。

 国交省の指針ではホームに縁端警告ブロックを敷設する場合、途中に構造物があっても連続させるよう求めている。遠回りするよう敷くとかえって方向や位置が分からなくなるという視覚障害者の意見を反映させており、青山一丁目駅はこの指針に沿っている。

 結局、点字ブロックが敷かれていても、盲導犬を使っていても視覚障害者が転落するリスクはゼロにできない。特に地下鉄駅では、音や風向きも頼りに歩く全盲の視覚障害者が反響などで方向を誤る場合がある。

 ホームドアや点字ブロックなどの物理的なバリアフリーとともに、視覚障害者の事情を周囲が察知し、声をかけ、手を差しのべる「心のバリアフリー」が必要だ。しかし、最近は「歩きスマホ」の増加で周囲に目を配る人が減り、公共の場での視覚障害者の環境はむしろ悪化している。20年東京五輪・パラリンピックに向け、ハード面の整備に加え、周囲が視覚障害者に配慮する社会作りが求められている。【点字毎日・濱井良文、内橋寿明】

学生時代に転落経験 「もうだめだ」消えぬ恐怖 点字毎日・佐木理人
 今回の事故を知り、全盲の私の頭をまずよぎったのは自身の体験だった。

 大学生だった1995年、大阪市営地下鉄御堂筋線の天王寺駅で、白杖(はくじょう)を使って一人でホームを歩いている途中、動き始めた列車に接触して線路脇に転落した。つえで前方をしっかり確認していたはずだったが、頭の中で描いていた自身の位置と実際に歩いていた場所が一致していなかった。さらには、転落したホームに柵がなかった。

 それまで転落したことはなく、思いもせぬ突然の出来事にもうろうとした意識で「もうだめだ」と死を覚悟した。その一方で、直前にすれ違った数人の乗客から何の声もかけてもらえなかったことが、たまらなくむなしかった。頭と手足に重傷を負い、半年余りの入院生活を強いられた。

 事故の恐怖感は手足の傷の痛みと同様、なかなか消えなかった。退院後に復学し、通学のため一人でホームに立つと、列車が入ってくる風に全身がこわばり、腰が引けた。「一人で二度と列車に乗れないのでは」と思いつめた。

 悩んだ末に盲導犬と歩くことを選んだ。98年から9年余り盲導犬と過ごし、足元を一歩ずつ確かめながら歩くつえでは味わえない「風を切って歩く喜び」を満喫した。「相棒」が引退してからは、再び白杖を手にした。今は一人で各地へ出掛け、取材する。犬の食事やトイレ、手入れを気にせずにすむ白杖での歩行の手軽さも魅力だからだ。

 白杖や盲導犬を使ってまちを歩き、鉄道を利用する視覚障害者には「一人で自由に歩きたい」という思いがあり、それぞれ自分にあった手段を選んでいる。自由に行動したいという思いは誰でも同じだろう。

 近年、ホームドアや転落防止柵を備えた駅は確実に増えつつあるが、まだまだ少なく、全駅設置の道のりは険しい。そんな現状で、白杖や盲導犬のユーザーにとって何よりありがたいのが、周囲からの声かけだ。私自身の体験でも、転落事故の多くは、自分のいる場所についての間違った思い込みと、それを修正する機会がなかったことによって起きる。「声をかけるのは迷惑では」と思うかもしれない。しかし、私は「お手伝いしましょうか」の声に助けられたことが何度もある。ほんのひと言が命を救うかもしれないことを、ぜひ知ってほしい。